問題
Aの状況から考えられることとして、不適切なものを1つ選べ。
正答は2です。
1 共依存関係とは、特定の相手との関係に過剰に依存している(依存し合っている)状態を表しています。
これまで暴力などDVを受け続けているにもかかわらず、「夫は今頃反省している。これまで何度も暴力の後に優しくしてくれた」「夫のもとに戻る」など夫を見捨てることができず、優しいところがあると弁明しているような発言が見られます。こうした点から、暴力でAを支配する夫と、その夫に尽くすことで自分の存在意義を確認しようとしているAの関係性が窺え、共依存関係にあると考えることができます。
2 DVでは「緊張期」「爆発期」「ハネムーン期」のサイクルが繰り返されていると考えられています。加害者が怒りっぽくなる緊張期や、暴力を振るったりする爆発期においては緊張状態が続きますが、ハネムーン期として加害者が反省し、優しくなるといったタイミングが訪れるため、DVのサイクルから抜け出しにくくなります。ハネムーン期がやってくるように、常に緊張状態とは言えないため、誤りとなります。
3 「夫から殴られる夢を見て眠れない」といった再体験には、PTSDの特徴的な症状が表れています。さらに、「日中ぼんやりとし、名前を呼ばれても気づかないことがある。外出すると、自分の居場所が分からなくなる。」といった解離(つらい体験を収めておくことができず、体験の記憶やその感情などを切り離すことで自身へのダメージを避けるための防衛反応)もPTSDにおいて見られることがあります。
4 「これまで何度も暴力の後に優しくしてくれた」との発言からも、Aは夫の暴力に対して、好意があるからこそ暴力を振るうといった、愛情表現のひとつであると捉えていることが窺えます。
5 「パワーとコントロール」の構造とは、男性が身体的暴力だけでなく、社会的・経済的・体力的な優位性(パワー)により、立場の弱い女性をコントロールしようとする構造のことを言います。
これまでDVを受けても、夫の元に戻ることが繰り返されている様子からも、支配と被支配の関係が形成されていることが窺えます。