公認心理師 過去問
第2回(2019年)
問150 (午後 問152)

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問題

公認心理師試験 第2回(2019年) 問150(午後 問152) (訂正依頼・報告はこちら)

58歳の男性A。Aは仕事の繁忙期に寝つきが悪くなり、近所の内科で2か月前から睡眠薬を処方され服用していた。最近入床から1時間以上たっても眠れない日が増え、中途覚醒も認められるようになった。日中の疲労感が強くなってきたため、心療内科を受診した。不眠以外の精神疾患や身体疾患は認められず、主治医から公認心理師に心理的支援の指示があった。
Aへの対応として、適切なものを2つ選べ。
  • 認知行動療法を勧める。
  • 筋弛緩法を実践するように勧める。
  • これまでよりも早めに就床するように勧める。
  • 中途覚醒した際に寝床に留まるように勧める。
  • 夜中に起きた際には時計で時刻を確認するように勧める。

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この過去問の解説 (3件)

01

正答は1と2です。

1 睡眠に対する考え方や行動(過ごし方)に焦点を当てた認知行動療法のアプローチによって、不眠が改善することが期待されます。また、睡眠に関する日誌を付けるなどしてセルフモニタリングを行うといった認知行動療法で用いられるアプローチも有効であると言われています。したがって、適切です。

2 睡眠の質を高めるために、リラクセーション法を用いることも有効であると言われています。筋弛緩法とは、意識的に筋肉の緊張(力を入れる)と弛緩(緩める)を繰り返すことで身体を緩めていく、リラクセーション法のひとつです。したがって、適切です。

3 早く就寝しなければならないと考えてしまい、焦りやプレッシャーが生じることから、かえって入眠から遠ざかってしまいます。そのため、無理に早く寝ようとするのではなく、リラックスできることに取り組み、眠気が訪れてから寝床につくといった助言の方が望ましいと言えます。

4 (3)と同様、目が覚めて眠れない状態で寝床に居続けると、眠れないことへの苛立ちや焦りにつながり、かえって眠りから遠ざかってしまうことが懸念されます。中途覚醒した際には、音楽を聴いたり、温かい飲み物を飲んだりするなど、リラックスできることを試しながら、再び眠気が訪れることを待つ方が良いとされています。

5 時刻を見ることによって、睡眠が十分に取れていないといった不安を掻き立てることにつながり、(3)(4)同様に、リラックス状態から遠ざかってしまいます。したがって、不適切となります。

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02

正解は、1と2です。

各選択肢については、以下の通りです。

1→認知行動療法は、不眠に対する効果もあるとされています。
Aには、不眠が認められるため、認知行動療法を進めることは適切です。
よって選択肢は、正しいです。

2→筋弛緩法は、心身の緊張を解くリラクセーションの1つです。
体の各部分の筋肉を意識的に緊張させたあと、力を抜いてゆるめることを繰り返すことでリラックスしていく方法です。
筋弛緩法は、不眠に対する効果もあるとされています。
よって選択肢は、正しいです。

3→眠気が無いのに就床することは有効ではありません。
また、就床しても眠れないとそれ自体がストレスとなってしまいます。
よって選択肢は、誤りです。

4→中途覚醒後に寝床にとどまると、眠れないことがストレスとなります。
再び眠たくなるまで、寝床から離れることが必要です。
よって選択肢は、誤りです。

5→中途覚醒時に時計を見ると、脳が覚醒してしまい、その後、眠りにくくなります。
また、時計を確認することで、少ししか眠れていないとの認識をしてしまい、結果、ストレスとなる可能性もあります。
よって選択肢は、誤りです。

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03

本事例は、58歳の男性Aが不眠を訴えて心療内科を受診し、公認心理師に心理的支援を依頼されたケースです。Aは入眠困難や中途覚醒、日中の疲労感を抱えている一方、不眠以外の精神疾患や身体疾患は認められていません。不眠症の心理的支援においては、行動や認知を改善するためのアプローチやリラクゼーションの活用が有効とされています。以下、各選択肢について解説します。

選択肢1. 認知行動療法を勧める。

不眠症に対する認知行動療法(CBT-I)は、科学的根拠に基づいた治療法として広く推奨されています。Aの不眠症状に対して、睡眠に関する誤った認知を修正したり、睡眠衛生を整える行動療法を導入することは効果的です。この選択肢は適切です。

選択肢2. 筋弛緩法を実践するように勧める。

筋弛緩法は、心身をリラックスさせるリラクゼーション技法の一つであり、不眠症の改善に役立つことが示されています。Aのように入眠困難や日中の疲労感を訴えている場合、筋弛緩法を取り入れることで入眠を助け、不眠の改善が期待できます。この選択肢は適切です。

選択肢3. これまでよりも早めに就床するように勧める。

早めに就床することは、かえって眠れない時間を増やし、睡眠に対するストレスを高めるリスクがあります。不眠症の治療では、眠気が強くなるまで就床を控える「睡眠制限」や「刺激制御療法」が推奨されるため、この選択肢は不適切です。

選択肢4. 中途覚醒した際に寝床に留まるように勧める。

中途覚醒時に寝床に留まり続けることは、眠れない時間が長引き、睡眠に対する不安やストレスを助長する可能性があります。むしろ、眠れない場合には一度寝床を離れ、リラックスできる活動をしてから再び眠気が来るのを待つことが推奨されます。この選択肢は不適切です。

選択肢5. 夜中に起きた際には時計で時刻を確認するように勧める。

夜中に時刻を確認することは、睡眠に対する焦りや不安を高め、不眠を悪化させる要因となる可能性があります。不眠症の心理的支援では、時計を見ることを避けるよう助言するのが一般的です。この選択肢は不適切です。

まとめ

Aの不眠症状に対する心理的支援として、認知行動療法(CBT-I)や筋弛緩法は、科学的根拠に基づいた適切な対応です。一方で、早めの就床や寝床に留まること、時計で時刻を確認することは不眠を悪化させる可能性があるため、不適切な対応となります。

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