公認心理師の過去問
第4回(2021年)
午前 問16

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問題

公認心理師試験 第4回(2021年) 午前 問16 (訂正依頼・報告はこちら)

脳損傷者に対する神経心理学的アセスメントで使用される検査の説明として、最も適切なものを1つ選べ。
  • HDS-R の成績が低下している場合、遂行機能障害が疑われる。
  • RBMTは、手続記憶の障害を検討するために用いられる。
  • SLTAには、非言語性の認知検査も含まれる。
  • WAIS-Ⅳの数唱の成績は、注意障害の程度を知る助けになる。
  • WCSTは、失認症を評価する検査である。

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この過去問の解説 (2件)

01

正答は4です。

1. HDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)(Hasegawa’s Dementia Scale-Revised)は、認知症検査です。

HDS-Rの得点が20点以下の場合、認知症が疑われます。

遂行機能障害の神経心理学的検査には、BADS(Behavioural Assesment of the Dysexecutive Symdrome)やTMT(Trail Making Test)などが用いられます。

2. RBMT(日本版リバーミード行動記憶検査)(Rivermead Behavioural Memory Test)は、高次脳機能障害や、リハビリテーションなどの効果測定に使用できます。

これから先の予定の遂行に必要となる、展望記憶が測定できることが特徴です。

3. SLTA標準失語症検査(Standard Language Test of Aphasia)は、失語症の検査です。

「聴く」「話す」「読む」「書く」「計算」について評価する、言語性の検査です。

4. WAIS-Ⅳ(Wechsler Adult Intelligence Scale-Fourth Edition)は、16歳0カ月~90歳11カ月に適用される知能検査です。

15の下位検査があり、全体的な認知能力(全検査IQ:FSIQ)、言語理解指標(VCI)、知覚推理指標(PRI)、ワーキングメモリ―指標(WMI)、処理速度指標(PSI)の5つの合成得点が算出できます。

「数唱」は、ワーキングメモリ指標に入ります。

5. WCST(Wisconsin Card Sorting Test)は、前頭葉機能検査法です。

遂行機能を測定するものです。

図形のカードを示しながら、被検査者の反応をみる検査です。

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02

神経心理学的アセスメントに用いられる検査の知識が問われています。

選択肢を見てみましょう。

選択肢1. HDS-R の成績が低下している場合、遂行機能障害が疑われる。

誤りです。

HDS-Rは「改訂長谷川式簡易知能評価スケール」と呼ばれるものです。認知症の可能性を評価する検査です。

遂行機能障害とは、物事に取り組む際の段取りが上手くできない、状況が悪くなっても臨機応変に対応できないなどの様子が見られるものです。

よって、HDS-Rで測る能力としては不適切です。

選択肢2. RBMTは、手続記憶の障害を検討するために用いられる。

誤りです。

RBMTは「リバーミード行動記憶検査」と呼ばれるものです。日常記憶(約束通りに行動する、人の顔と名前を覚えるなど)の力を測ります。

手続き記憶とは、物の使い方、課題解決のための考え方など、同じ経験の繰り返しによって得られる方法の記憶です。

よって、RMBTで測る能力としては不適切です。

選択肢3. SLTAには、非言語性の認知検査も含まれる。

誤りです。

SLTAは「標準失語症検査」と呼ばれるものです。聴く、話す、読む、書く、計算するなどの力を評価し、失語症の可能性や程度を検討します。

非言語性の認知とは、推理する、抽象的に考える、状況の変化に対応するなどの力を指していると考えられます。

よって、SLTAで測る能力としては不適切です。

選択肢4. WAIS-Ⅳの数唱の成績は、注意障害の程度を知る助けになる。

正答です。

WAIS-Ⅳは成人用の「ウェクスラー式知能検査」と呼ばれるものです。全体的な知的能力、言語理解、知覚推理、ワーキングメモリー、処理速度の力を測る事ができます。

注意障害では、些細なミスをしやすい、周りの刺激に反応しやすい、ぼんやりしやすい、落ち着きがないなどの様子が見られます。

数唱への取り組みでは、特に集中して検査者の言葉を聞く事が必要であり、注意障害の症状がある場合には成績が下がる事が予想されます。

よって、注意障害の程度を知る助けになると考えられます。

 

選択肢5. WCSTは、失認症を評価する検査である。

誤りです。

WCSTは「ウィスコンシンカードソーティングテスト」と呼ばれるものです。抽象的な思考の力、状況の変化に柔軟に対応する力を評価します。

失語症は、文字の読み書き、話の理解などに困難が生じます。

よって、WCSTで評価する疾患としては不適切です。

まとめ

公認心理師が使用する心理検査は多岐に渡ります。それぞれの検査の特徴を理解しておきましょう。

また、心理検査は時代の変化によって、内容の改訂があります。この問題の中では、RBMTが2023年に増補版が出ています。内容の変更などについて、公認心理師試験で出題される事がありますので新しい情報にも触れておくと良いと考えます。

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