公認心理師の過去問
第4回(2021年)
午前 問27

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問題

公認心理師試験 第4回(2021年) 午前 問27 (訂正依頼・報告はこちら)

アルコール健康障害について、正しいものを1つ選べ。
  • コルサコフ症候群は、飲酒後に急性発症する。
  • アルコール幻覚症は、意識混濁を主症状とする。
  • アルコール性認知症は、脳に器質的変化はない。
  • 離脱せん妄は、飲酒の中断後数日以内に起こる。
  • アルコール中毒において、フラッシュバックがみられる。

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この過去問の解説 (2件)

01

正答は4です。

1. コルサコフ症候群とは、記憶障害を主症状とし、不可逆的な神経障害を伴う認知症のひとつです。

ビタミンB1の不足によって発症リスクが高まります。

飲酒後に急性発症するというのは誤りです。

2. アルコール幻覚症は、長期間にわたる大量のアルコール摂取によって生じる精神障害です。

アルコールを中止ないしは減量後、24~48時間以内に出現します。

具体的な症状としては、意識がはっきりしているにもかかわらず、実際には存在しないはずの声聴こえてきたり、不安や恐怖を感じたり、被害妄想や追跡妄想が出現するといったものです。

3. アルコール性認知症とは、アルコールを多量に摂取したことにより、脳梗塞などの脳血管障害や、ビタミンB1の不足による栄養障害などを起こした結果、起こるとされている認知症です。

脳の器質的変化は起こります。

4. アルコールを多量に摂取したのち、アルコール中断後、数日以内に起こるのは、離脱せん妄です。

5. フラッシュバックとは、アルコールや薬物の中止後に、少量の薬物使用や飲酒、喫煙、睡眠不足、ストレスなどで、精神病症状が簡単に再燃することをいいます。

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02

アルコール健康障害対策基本法第二条では、アルコール健康障害を「アルコール依存症その他の多量の飲酒、二十歳未満の者の飲酒、妊婦の飲酒等の不適切な飲酒の影響による心身の健康障害をいう」と定義しています。

私達の身近にある健康障害ですので、基本的な知識をしっかり学んでおきましょう。

 

では、選択肢を見てみましょう。

選択肢1. コルサコフ症候群は、飲酒後に急性発症する。

誤りです。

コルサコフ症候群とは、アルコールを多量に摂取する事により、ビタミンB1が不足するために起きる疾患です。

急性期をウェルニッケ脳症、慢性期をコルサコフ症候群と呼びます。

症状としては、記憶障害(最近の事を忘れる、昔の事を思い出せない)、見当識の障害(日時や場所がわからなくなる)、作話(作り話をしてしまう)などがあげられます。

 

よって、「飲酒後に急性発症する」という説明は不適切です。

選択肢2. アルコール幻覚症は、意識混濁を主症状とする。

誤りです。

アルコール幻覚症とは、長期間、多量の飲酒の後に、飲酒を止めた際(減量した際)に起きる精神障害です。

飲酒を中止、減量した後24~48時間以内に出現します。

症状としては、幻聴、被害妄想、追跡妄想などが生じます。

 

よって、「意識混濁を主症状とする」という説明は不適切です。

選択肢3. アルコール性認知症は、脳に器質的変化はない。

誤りです。

アルコール性認知症は、アルコールを多量に摂取した事による、脳梗塞などの脳血管障害を言います。

脳の萎縮があるとされています。

症状としては、注意・集中が低下する、感情コントロールができない、歩行時にふらつく、手が震える、作話がある、見当識の障害が見られるなどがあげられます。

 

よって、「脳に器質的な変化はない」という説明は不適切です。

選択肢4. 離脱せん妄は、飲酒の中断後数日以内に起こる。

正答です。

アルコールの離脱症状の一つです。

アルコール依存者が飲酒を中断・減量して、2~4日後に出現します。

症状としては、手の震え、脱力、頭痛、幻覚、意識障害などがあげられます。

選択肢5. アルコール中毒において、フラッシュバックがみられる。

誤りです。

慢性のアルコール中毒では、飲酒を止められない、朝や昼から飲酒してしまう、飲んではいけない状況で飲んでしまうという状態があります。

急性のアルコール中毒では、吐き気や酩酊、歩行障害、判断低下、気持ちのコントロールができない、昏睡、呼吸停止などの症状があります。

 

よって、「フラッシュバックがみられる」という説明は不適切です。

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