公認心理師の過去問
第4回(2021年)
午前 問41

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問題

公認心理師試験 第4回(2021年) 午前 問41 (訂正依頼・報告はこちら)

医師から依頼を受け、MMSEを実施・解釈し報告する際の公認心理師の行動として、不適切なものを1つ選べ。
  • 被検査者の実際の回答内容を解釈に含める。
  • 検査時の被検査者の緊張や意欲についても解釈に含める。
  • カットオフ値を上回った場合は、認知症ではないと所見を書く。
  • 総得点だけでなく、被検査者が失点した項目についても報告する。
  • 被検査者が難聴で口頭による実施ができない場合は、筆談による実施を試みる。

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この過去問の解説 (2件)

01

正答は3です。

アセスメントの結果のフィードバックについて、問われています。

「不適切なもの」が問われています。

MMSEは、精神状態短時間検査です。

精神状態短時間検査-日本版(MMSE-J)は、11項目からなる30点満点の認知機能検査です。

・23点以下は「認知症の疑い」となります。

・27点以下は「軽度認知障害(MCI)」が疑われます。

内容は、時間の見当識、場所の見当識、単語の即時再生と遅延再生、計算、物品呼称、文章復唱、3段階の口頭命令、書字命令、文章書字、図形模写となっております。

1.被検査者の実際の回答内容は、貴重な情報ですので、クライエントを理解するために解釈に含めることは、適切です。

2.被検査者の緊張や意欲は、MMSEの得点をどう理解するかについて重要な情報ですので、解釈に含めることは、適切です。

3.MMSEのカットオフ値については、23点以下は認知症が疑われます。

27点以下は軽度認知障害(MCI)が疑われます。

カットオフ値を上回った場合でも、「認知症ではない」と断言することは、適切ではありません。

「MMSEの得点からは認知症の疑いに関する知見は得られなかった」とするのが、適切な解釈であると考えられます。

また、診断をするのは医師です。

したがって、この選択肢は不適切です。

4.実施結果から得られるクライエント理解のために必要な情報として、MMSEの総得点だけでなく、失点した項目についても報告します。

したがって、適切です。

5.MMSEにおいて、口頭による実施ができない場合は、筆談による実施を試みます。

筆談による実施を試みた場合、必ず、その旨を所見に書き、医師に報告します。

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02

MMSEは「ミニメンタルステート検査」と呼ばれるもので、認知機能の低下の程度について簡便に評価できます。10~15分程度で実施する事ができます。

 

問題には「時間の見当識」「場所の見当識」「即時想起」「計算」「遅延再生」「物品呼称」「文の復唱」「口頭指示」「書字指示」「自発書字」「図形模写」などがあります。

 

30点満点中、23点以下で認知機能の低下が強く疑われる、24点から27点で認知機能の軽い低下が疑われる、と考えます。

 

この問題では、検査結果の報告についての適切な対応について問われています。

では、選択肢を見てみましょう。

選択肢1. 被検査者の実際の回答内容を解釈に含める。

適切な対応です。

心理検査での具体的な回答内容は、被検査者のアセスメントにつながりますので、解釈の際には含めて考える事が良いと言えます。

選択肢2. 検査時の被検査者の緊張や意欲についても解釈に含める。

適切な対応です。

被検査者の緊張や意欲などの心理的な状態は、結果に影響する場合があります。検査者は被検査者の様子をよく観察し、その様子から解釈を考える事が大切です。

選択肢3. カットオフ値を上回った場合は、認知症ではないと所見を書く。

不適切な対応であり、この問題では正答となります。

この検査は認知機能の低下について測るものですので、認知症についての判断はできません。

また、公認心理師は医療的な診断をする立場でもありませんので、所見に診断についての意見を記す事は不適切と言えます。

選択肢4. 総得点だけでなく、被検査者が失点した項目についても報告する。

適切な対応です。

被検査者が誤った項目について注目し、どのように誤ったか、なぜ誤ったかなどを検討する事、その内容を報告する事が大切です。被検査者の理解や支援の方向性を考える事に役立ちます。

選択肢5. 被検査者が難聴で口頭による実施ができない場合は、筆談による実施を試みる。

適切な対応です。

心理検査では、被検査者のさまざまな理由より、口頭による実施が難しい場合があります。できる限り被検査者が力を発揮できるよう、筆談などの別の手段を検討する事が求められます。また、本来の方法とは異なる手段をとった場合には、その状況や方法の変更による結果への影響なども含めて所見作成や結果報告をする事が大切です。

まとめ

MMSEに限らず、心理検査を実施する場合には、その検査の仕組みや目的、実施方法について正しく理解する事が重要です。また、所見作成や結果報告の際には、公認心理師自身の個人的な考えや感情に偏らないように、冷静に心理検査の内容から言える事を伝えるように意識する事も大切です。

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