公認心理師の過去問
第4回(2021年)
午前 問50

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問題

公認心理師試験 第4回(2021年) 午前 問50 (訂正依頼・報告はこちら)

心理的支援活動の理論化について、最も適切なものを1つ選べ。
  • 参加的理論構成者は、理論化を専門に行う。
  • 地域援助においては、参加的理論構成者としての役割が必要になる。
  • 臨床心理面接の事例論文においては、一般化に統計的手法が必須である。
  • 量的データを扱う際には、研究者のリフレクシヴィティ<reflexivity>が重要である。

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この過去問の解説 (2件)

01

公認心理師の研究者としての側面に関する知識を問われている問題です。

選択肢1. 参加的理論構成者は、理論化を専門に行う。

「参加的理論構成者」とは、現場において自ら参加者となり、そこにある心理学的問題のプロセスについて分析し、支援を実践しながら、理論化をも行う研究者を指しますので、本選択肢は誤りです。

選択肢2. 地域援助においては、参加的理論構成者としての役割が必要になる。

心理師が地域で生活する人々に対する支援を行う場合、環境の中での本人を捉えるためにも、心理師がそのコミュニティの一員であることは重要で、当事者への働きかけだけでなく、関係者へのコンサルテーション、インフォーマルな支援の構築が可能になります。よって、本選択肢は正しいです。

選択肢3. 臨床心理面接の事例論文においては、一般化に統計的手法が必須である。

統計的手法は、多くの対象者から得たデータから仮説を検証するときに用いられます。事例論文は、自ら担当したケースの支援経過を分析し、そこから見いだされた事柄を論じる論文ですので、扱う事例は単一であることが多く、また質的データを重視するため、統計的手法が取らないのが一般的です。よって、本選択肢は誤りです。

選択肢4. 量的データを扱う際には、研究者のリフレクシヴィティ<reflexivity>が重要である。

リフレクシヴィティとは研究者自身と研究対象者が互いに影響を与え合う再帰的な関係になっているため、研究者自身のことも研究対象にしなければならない状態のことです。量的なデータを扱う研究では、リフレクシヴィティがないことが前提です。よって、本選択肢は誤りです。

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02

「心理的支援活動の理論化」とは、つまり心理的な支援を実施した内容について抽象化、体系化することと考えられます。

この問題では、理論化のような研究についての知識が問われています。

では、選択肢を見てみましょう。

選択肢1. 参加的理論構成者は、理論化を専門に行う。

誤りです。

参加的理論構成者は、理論化だけを行うのではなく、地域や集団に参加し、支援しながら研究を進める専門家を意味します。

選択肢2. 地域援助においては、参加的理論構成者としての役割が必要になる。

正答です。

地域援助では、公認心理師自身がその地域に与えている影響を理解しながら、心理的な問題のアセスメントや支援方法について考えるような参加的理論構成者の役割が求められます。

選択肢3. 臨床心理面接の事例論文においては、一般化に統計的手法が必須である。

誤りです。

事例論文についての研究では、事例の経過、公認心理師の関わり方、心理学の理論的な説明などについて検討するような質的な研究を行います。

統計的手法は、量的な研究に適していると言えます。

選択肢4. 量的データを扱う際には、研究者のリフレクシヴィティ<reflexivity>が重要である。

誤りです。

リフレクシヴィティとは、再帰性、反省性と訳されます。研究者自身が研究する対象に影響を与えており、その影響が研究者自身にも帰ってくるという事を理解しながら研究を進める必要があります。このような考え方は、量的データを扱う研究よりも、質的な研究を行う場面で重要になると考えられます。

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