公認心理師の過去問
第4回(2021年)
午前 問55

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問題

公認心理師試験 第4回(2021年) 午前 問55 (訂正依頼・報告はこちら)

我が国における子どもの貧困問題について、適切なものを2つ選べ。
  • 学力達成や教育機会に対する影響は小さい。
  • 貧困と児童虐待の発生には、関連がみられる。
  • 子どもの貧困と関連する問題は、顕在化しやすい。
  • 貧困状態にある母子世帯の8割以上が、生活保護を受給している。
  • 生活保護を受給する家庭で育った子どもは、出身世帯から独立した後も生活保護を受給する割合が高い。

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この過去問の解説 (2件)

01

子どもの貧困に関する問題です。

選択肢1. 学力達成や教育機会に対する影響は小さい。

貧困家庭では学校外の教育(塾や習いごと)の費用を出せず、子どもは学習の機会やさまざまな体験活動の機会が少なくなりがちです。また進学をあきらめざるを得ない場合も多く、教育格差が生まれます。よって、本選択肢は不適切です。

選択肢2. 貧困と児童虐待の発生には、関連がみられる。

虐待のリスク要因には、保護者側のリスク要因、子ども側のリスク要因、養育環境のリスク要因があり、養育環境のリスク要因の一つとして経済的不安定があります。よって、本選択肢は適切です。

選択肢3. 子どもの貧困と関連する問題は、顕在化しやすい。

子どもの貧困と関連する問題として、虐待、不登校、非行、予期せぬ妊娠、ひとり親世帯などが考えられますが、顕在化するのはそのごく一部です。よって、本選択肢は不適切です。

選択肢4. 貧困状態にある母子世帯の8割以上が、生活保護を受給している。

母子世帯の貧困率は50%を上回っている一方、生活保護の受給率は11.2%であり(厚生労働省,2017)、貧困率と比較して極めて低いことが指摘されています。よって、本選択肢は不適切です。

選択肢5. 生活保護を受給する家庭で育った子どもは、出身世帯から独立した後も生活保護を受給する割合が高い。

貧困世帯に育つ子どもは様々な側面で、貧困でない世帯に育つ子どもに比べて不利な立場にあり、その影響は成長して大人になっても持続します。学歴や職業階層の連鎖が、貧困の連鎖とも大きく関わっており、後に生活保護を受給する割合が高いことは想像に難くありません。よって、本選択肢は適切です。

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02

厚生労働省の調査では、子どもの約7人に1人が貧困であると示されています。

選択肢1. 学力達成や教育機会に対する影響は小さい。

塾や家庭教師など学校外教育の機会が減少します。また、子どもの学習理解は所得が高いほど高いとされています。

選択肢2. 貧困と児童虐待の発生には、関連がみられる。

全国児童相談所長会の調査によると、虐待の要因として「経済的な困難」が33.6%であるそうです。

選択肢3. 子どもの貧困と関連する問題は、顕在化しやすい。

子どもの貧困は多様な面で困難を抱えやすいです。そして、相談できる人も限られるため社会から孤立しやすいです。子どもの貧困は見えにくいとされていますので、社会的な取り組みが重視されています。

選択肢4. 貧困状態にある母子世帯の8割以上が、生活保護を受給している。

厚生労働省の調査によると、母子世帯の生活保護の受給率11.2%とあまり高くはありません。

選択肢5. 生活保護を受給する家庭で育った子どもは、出身世帯から独立した後も生活保護を受給する割合が高い。

上述のとおり、所得が低いと学習の機会や理解は低くなります。また、進学率も全世帯より低いです。総務省の調べでは、学歴が高くなるほど、所得も高くなります。そのため、貧困問題は次世代に連鎖するといわれています。

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