公認心理師の過去問
第4回(2021年)
午前 問75
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問題
公認心理師試験 第4回(2021年) 午前 問75 (訂正依頼・報告はこちら)
70歳の女性A。Aは、Aの夫である会社役員のBに付き添われ、開業している公認心理師Cのもとを訪れた。Bによると、Aは自宅近くのスーパーマーケットで大好きなお菓子を万引きし、店を出てから食べているところを警備員に発見されたとのこと。Aは、「万引きはそのときが最初で最後であり、理由は自分でもよく分からない」と述べるとともに、同居している半身不随のBの母親の介護を一人で行っているため自分の時間を持てないことや、Bが介護はAの仕事であると言っていることへの不満を述べた。AとBは、Cに対してAが二度と万引きしないようになるための助言を求めている。
CのAへの理解として、不適切なものを1つ選べ。
CのAへの理解として、不適切なものを1つ選べ。
- Aは、窃盗症の疑いが強い。
- Aは、ストレスへの対処力が弱まっている。
- AとBの夫婦間コミュニケーションが不十分である。
- Aにとっては、Bの母親の介護が負担になっている。
- Aに器質的疾患があるかどうかを確認する必要がある。
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この過去問の解説 (2件)
01
この設問は、認知症と窃盗症(クレプトマニア)の違いについて問う問題ですね。
この問題を間違えた方や解答に混乱を極めた方は、おそらくAさんが70歳であることから、認知症の中に窃盗症様の症状が存在するという理由で選択肢①の扱いに困ったのではないかと推察されます。
確かに窃盗症様の症状は、前頭側頭型認知症(FTD)の説明の中で、触れられることがありますね。
例えば、「衝動性が高まり、目先の欲求を優先してしまいがちになるため、万引きや、痴漢や下着窃盗といった性犯罪、スピード違反などの交通違反、突発的な傷害事件などに繋がることもあります」と。
しかし、FTDは、若年性の認知症の一種で、40〜50代に発症することも多く、早ければ30代頃から徐々にその症状が見られることもあるので、Aさんをこれにあてはめるには無理がありますね。
そして、窃盗症ですけれども、DSМ‐5によれば、「窃盗直前のスリルや緊張感、窃盗後の達成感や解放感等が特徴的で、盗むこと自体が目的にもなっており、窃盗を他者から咎められたり、逮捕されることがあっても窃盗行為を繰り返してしまう。自分自身でも窃盗行為を止めることが困難なため、窃盗行為の後で強い罪悪感や後悔を経験することも少なくない」とあります。
ですから、問題文中の「万引きはそのときが最初で最後であり、理由は自分でもよく分からない」ということ判断材料として、窃盗症と疑うのは強引すぎますね。
ここは万引きの見立てはひとまず行わず、選択肢➄の「器質的疾患があるかどうかを確認する必要がある。」とするのが心理師の助言・支援として適切ですね。
したがって、Aさんの理解として不適切なのは選択肢①です。
これも受験者の言語力・読解力こそ問われる問題ですね。
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02
この問題は、認知症と窃盗症(クレプトマニア)の違いについて問う問題です。前頭側頭型認知症(FTD)には窃盗症様の症状が存在しますが、若年性認知症であり70代のAさんに当てはめるのが困難であることを理解する必要があります。
文章にはAが「万引きはそのときが最初で最後であり、理由は自分でもよく分からない」と述べていることが明記されており、これは繰り返し万引きを行う窃盗症とは異なる点です。
DSM-5で定義されている窃盗症は窃盗行為を繰り返す点が基準としてあることを知っておく必要があるでしょう。
Aは半身不随のBの母親の介護を一人で行っており、自分の時間を持てないことや、Bが介護はAの仕事であると言っていることへの不満を述べています。
これらのことから、Aはストレスを抱えている可能性があります。ストレスが長期間続くと、ストレスへの対処力が弱まり、うつ病などの精神障害を引き起こすことがあります。
文中でAは半身不随のBの母親の介護を一人で行っており、自分の時間を持てないことや、Bが介護はAの仕事であると言っていることへの不満を述べています。
文章中には、Aが介護の負担を感じていることが述べられています。また、Bが介護はAの仕事であると言っていることについても不満を述べています。
現時点では認知症や窃盗症とは断定できないため心理師の助言として適切な対応と言えます。
認知症はアルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などの変性性認知症がありそれぞれ症状が異なります。よく理解して試験に望みましょう。
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