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公認心理師の過去問 第4回(2021年) 午前 問76

問題

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20歳の女性A、大学3年生。Aは、母親Bと精神科を受診した。Bによると、Aは、1か月前に親友が交通事故に遭うのを目撃してから、物音に敏感になり不眠がちで、ささいなことでいらいらしやすく、集中力がなくなったという。一方、初診時にAは、「事故のダメージはない。母が心配し過ぎだと思う」と声を荒げ、強い調子でBや医師の話をさえぎった。医師の依頼で、公認心理師CがAの状態把握の目的で心理検査を施行した。検査用紙を渡すと、Aはその場で即座に記入した。結果は、BDI-Ⅱは10点、IES-Rは9点であった。
CがAの心理検査報告書に記載する内容として、最も適切なものを1つ選べ。
(注:「PTSD」とは、「心的外傷後ストレス障害」である。)
   1 .
心理検査の得点やBの観察、Aの様子からは、PTSDが推測される。
   2 .
心理検査の得点からはAのPTSDの可能性は低いため、支援や治療が必要なのは過度に心配するBである。
   3 .
心理検査の得点からはPTSDの可能性が高いが、Aが否定しているため、結果の信ぴょう性に問題がある。
   4 .
心理検査の得点からはPTSDの可能性は低いが、その他の情報と齟齬があるため、再アセスメントが必要である。
( 公認心理師試験 第4回(2021年) 午前 問76 )
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この過去問の解説 (2件)

67

 この設問では、PTSD検査とうつ病検査を実施しています。

まずは、それぞれのカットオフポイントの理解が必要ですね。

 IES-R (Impact of Event Scale-Revised)とは、PTSDの診断基準に則しており、再体験症状、回避症状、覚醒亢進症状から構成されています。

ほとんどの外傷的出来事について、使用可能な心的外傷ストレス症状尺度と言われています。

PTSDのハイリスク者をスクリーニング目的では、24/25のカットオフポイントが推奨されていますね。

Aさんは、9点ですからPTSDの診断基準は満たしていませんね。

 BDI‐Ⅱは、自己記入式質問紙で、DSM-Ⅳに準拠したうつ病の症状を網羅しており、全21項目から構成されています。

それぞれに4つの反応形式が設定(4件法)されています。

BDIでは総得点によって重症度分類がされており、0~13を極軽症、14~19を軽症、20~28を中等症、29~63を重症とされています。

ですから、Aさんは極軽症ですね。

 しかしながら、Aさんの言動は「物音に敏感になり不眠がちで、ささいなことでいらいらしやすく、集中力がなくなった母が心配し過ぎだと思うと声を荒げ、強い調子でBや医師の話をさえぎった」といあるように、検査からPTSDでも、うつ病でもないので、お母さんの情報とに齟齬があることから、改めてアセスメントする必要がありますね。

 したがって、心理検査報告書として適切なのは選択肢④です。

付箋メモを残すことが出来ます。
2

IES-RとBDI-IIは、心的外傷ストレス症状とうつ病の症状を測定するための尺度です。

IES-Rは、「Impact of Event Scale-Revised」の略称で、PTSDの症状を測定するための標準的な尺度の1つです。

このスケールは、1990年代に開発され、被災者、戦争退役軍人、虐待や事故、犯罪被害者など、様々なストレス体験を持つ人々に対して、そのストレス反応に関する情報を収集するために使用されています。

スケールは、22の項目から構成されており、被験者はそれぞれの項目について、0から4の5段階で回答します。

得点は、被験者のストレス反応の程度を反映するもので、高得点ほどストレス反応が強いことを示します。

カットオフポイントは、IES-Rの得点が24以上の場合、高ストレス反応群として分類されます。

BDI-IIは、ベックうつ病指数第二版(Beck Depression Inventory-II)の略称です。

これは、自己記入式の質問紙で、うつ病の症状を評価するために使用される標準的な心理評価尺度の1つです。

BDI-IIは、DSM-IVに基づいて、うつ病の症状を網羅しています。

BDI-IIには、21の項目があり、それぞれに4つの反応形式が設定されています。

総得点に基づいて、極軽症、軽症、中等症、重症の4段階の重症度分類があります。

BDI-IIは、うつ病の症状を客観的に評価するために幅広く使用されています。

以上をふまえて、以下選択肢について考えていきます。

選択肢1. 心理検査の得点やBの観察、Aの様子からは、PTSDが推測される。

検査の結果ではIES-Rの得点が低くなっています。

PTSDの可能性も低くなりますから、PTSDと推測することはできません。

検査の結果だけで判断するのではなく、本人や家族の主訴や病歴を聞くことでより適切なアセスメントが可能です。

選択肢2. 心理検査の得点からはAのPTSDの可能性は低いため、支援や治療が必要なのは過度に心配するBである。

Bが過度な心配をしているとは言えません。

検査の結果だけで判断するのではなく、本人や家族の主訴や病歴を聞くことでより適切なアセスメントが可能です。

選択肢3. 心理検査の得点からはPTSDの可能性が高いが、Aが否定しているため、結果の信ぴょう性に問題がある。

心理検査の得点からはPTSDの可能性が低いことがわかります。

選択肢4. 心理検査の得点からはPTSDの可能性は低いが、その他の情報と齟齬があるため、再アセスメントが必要である。

Bさんの説明では、「物音に敏感になり不眠がちで、ささいなことでいらいらしやすく、集中力がなくなった。」とあり、検査の結果とは異なっています

したがって、検査結果とお母さんの情報とは異なるため、改めてアセスメントする必要があります。

まとめ

自記入式の心理検査は受検者の自己評価により検査結果が周囲の評価と変わるという特性があります。

その点を理解しているとより適切な対応を選択できます。

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