問題
Bや学校がとるべき初期対応として、適切なものを2つ選べ。
野村芳太郎監督、緒形拳主演「鬼畜」という映画をご存じでしょうか。
緒形拳扮する優柔不断な父親が、愛人の指南を受けつつ、あろうことか子どもたちを崖から突き落とすのです。
しかし、死を逃れた子どもたちは、警察官に連れられて父親との対面を果たすのでした。「この人はお父さん?」との警察官の質問に「お父さんじゃない!」と気丈に答える子どもと、泣き崩れる緒形拳。
この結末に、怒りとやるせなさを覚え、涙したことを今でも鮮明に記憶しています。
現在、児童虐待の4分類「ネグレクト」「身体的虐待」「心理的虐待」「性的虐待」のうち、最も多いのは「心理的虐待」で、全体の半分を占めていますね。
乳幼児総合支援センターの入所理由の4割は虐待です。
心理的虐待が増加した要因として、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力の増加があります。
つまり、DVの増加は同時に面前DVでもあるからですね。
近年、通告者が警察署であるケースが増えているのはこのためです。
「子どもは親を選べない」という言説が、今では、「親ガチャ」という冷めた言葉として使用される時代に、私たちは生きています。
そんな時代や社会の中で果たすべき公認心理師の役割が問われてもいる設問ですね。
正答のポイントは、虐待が「疑い」の段階であったとしても、公認心理師他の子どもに関わる専門職は、通告義務があるということです。
これに尽きるのではないかと思います。
選択肢③のような「確証を得る」ことを深堀する暇はないのです。
又、選択肢①②に記されているような両親のけんかに関わる聴き取りや両親への働きかけは、二次的な働きかけとして理解すべきでしょう。
まずは、子どもたちの安全確保、そして安心できる生活に戻すことが最優先課題なのです。
したがって、公認心理師と学校がとるべき初期対応は選択肢④⑤となります。
ちなみに、虐待を受け一時保護(原則2か月)をしている子の保護者で、
面会や通信の制限を受けている場合、6か月以内であれば、
児童相談所長が子どもへのつきまといや住居・学校周辺の徘徊を禁止する
ことができます。
また、一時保護の解除は、児童相談所長または都道府県知事の判断で
行われます。
この問題は、スクールカウンセラーが生徒の家庭環境について心配を抱いた場合、どのような初期対応が適切かを考える必要があります。
この場合はAが暴力を受けている可能性があるため、即時の対応が求められます。
そのため、この対応は適切な初期対応とは言えません。
Aが直接的な暴力を受けている可能性があるため、細かな質問は控えるべきです。
本対応は一定の意義があるものの、より適切な初期対応があるため、正解ではありません。
情報収集をすることは大切ですが、まずはAに直接話を聞いて状況を把握する必要があります。
本対応は、必要な対応の一つではあるものの、この段階では適切な初期対応とは言えません。
Aから聞いた発言やその際の表情・態度をそのまま記録することは、証拠として残すために必要な対応です。
この情報は後に必要になるため、本対応は初期対応として適切と言えます。
このような状況で必要な対応です。
公認心理師他、子どもに関わる専門職は、虐待が「疑い」の段階であったとしても、通告義務があることを理解する必要があります。
本対応も適切と言えます。
正答のポイントは、初期段階で二次対応が必要な場合に備え、虐待が疑われた場合は速やかに通告することが重要であることです。