公認心理師の過去問
第4回(2021年)
午後 問78

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問題

公認心理師試験 第4回(2021年) 午後 問78 (訂正依頼・報告はこちら)

公認心理師が担当する成人のクライエントに関する情報を、本人の同意なく開示することについて、秘密保持義務違反に当たるものはどれか、最も適切なものを1つ選べ。
  • クライエントが、友人に危害を加える可能性が高い場合、当事者に知らせる。
  • クライエントが、1歳の娘の育児を放棄している場合、児童相談所に通報する。
  • 所属する医療チーム内で、クライエントの主治医及び担当看護師と情報を共有する。
  • クライエントが、自殺を企図する可能性が高い場合、同居している保護者に連絡する。
  • 別居中の母親から音信不通で心配していると相談された場合、クライエントの居場所を教える。

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この過去問の解説 (2件)

01

 公認心理師の役割、個人情報の取り扱いに関わる基本的な理解が求められています。

 まず公認心理師の役割について、公認心理師は一対一のカウンセリングよりも、多職種と連携・協働することが期待されています。

ここではクライエントの秘密保持の原則は当然のことながら前提としてありますが、多職種関係者との連携情報、あるいはクライエントの自傷あるいはクライエントの周囲の者に対する他傷などのリスクが想定される場合の情報は、クライエントの同意がなくとも、該当する関係者と情報の共有を行うことと一般にはされています。

ですから、クライエントの何を誰に話してよいのかについて、具体的に尋ねて明確にすることも大切ですね。

 なお、ここでの情報とは、あくまで生存する個人」であり、故人の情報は適用外ですね。

又、配慮が必要な情報を「要配慮個人情報」と呼びます。

 さらに、【秘密保持義務】についてこれを違反した場合、1年以下の懲役または30万円以下の罰金が規定されています(46条)。

ただし、被害者等からの告訴がなければ公訴を提起できないとされています。

また、40条【信用失墜行為の禁止】、41条【秘密保持義務】、42条2項【主治の医師の指示】に違反した場合は、資格登録取り消しになることがあります。

さらに、取り消されない場合でも、文部科学大臣・厚生労働大臣は、名称の使用停止を行うことができるとされています。

 したがって、選択肢①②④は何らかのリスクが生じようとしていますので、関係する他者との情報共有が必要です。

また、選択肢③は、多職種チーム内での情報共有ですからこれも問題はありませんね。

ただし、選択肢➄はやはり個人情報の取り扱いとしては拙速そしりを免れないケースとなり、×ですね。

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02

秘密保持義務は、公認心理師がクライエントとの関係において情報を秘密に保持することを要求する義務です。

この問題では、クライエントに関する情報を本人の同意なく開示することについて、秘密保持義務違反に当たるものを選ぶ必要があります。

ここでは、クライエントの秘密保持の原則が当然の前提としてありますが、クライエントが自傷または周囲の者に対する他傷などのリスクがある場合や、多職種関係者との連携情報が必要な場合は、クライエントの同意が得られていなくても、関係者と情報の共有が一般的に行われています。

選択肢1. クライエントが、友人に危害を加える可能性が高い場合、当事者に知らせる。

友人に危害を加える可能性が高い場合は、クライエントの安全を保つために必要な情報の開示であり、秘密保持義務に反しないように、倫理的な指針に従って行うことができます。

選択肢2. クライエントが、1歳の娘の育児を放棄している場合、児童相談所に通報する。

クライエントが1歳の娘の育児を放棄している場合、児童相談所に通報することができます。

これは、クライエントの娘の安全を保つために必要な情報の開示であり、秘密保持義務に反しないように、倫理的な指針に従って行うことができます。

選択肢3. 所属する医療チーム内で、クライエントの主治医及び担当看護師と情報を共有する。

医療チーム内でクライエントの情報を共有することは、クライエントの治療に必要な情報の開示であり、秘密保持義務に反しないように、倫理的な指針に従って行うことができます。

選択肢4. クライエントが、自殺を企図する可能性が高い場合、同居している保護者に連絡する。

クライエントが自殺を企図する可能性が高い場合、同居している保護者に連絡することができます。

これは、クライエントの安全を保つために必要な情報の開示であり、秘密保持義務に反しないように、倫理的な指針に従って行うことができます。

選択肢5. 別居中の母親から音信不通で心配していると相談された場合、クライエントの居場所を教える。

別居中の母親から音信不通で心配していると相談された場合、クライエントの居場所を教えることは秘密保持義務違反になります。

この場合、クライエントと心理師との間に秘密保持義務の関係があるため、家族であってもクライエントの同意なしに情報を開示することは違法であり、保持義務違反になります。

まとめ

【秘密保持義務】に違反した場合、刑事罰として、懲役1年以下または30万円以下の罰金が規定されています(46条)。

ただし、被害者等からの告訴がなければ、公訴を提起することができません。

また、40条【信用失墜行為の禁止】、41条【秘密保持義務】、42条2項【主治医の指示】に違反した場合、資格登録が取り消される可能性があります。

取り消されない場合でも、文部科学大臣・厚生労働大臣は名称の使用停止を命じることができます。

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