公認心理師の過去問
第4回(2021年)
午後 問84

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

公認心理師試験 第4回(2021年) 午後 問84 (訂正依頼・報告はこちら)

色覚の反対色過程と関連するものとして、最も適切なものを1つ選べ。
  • 中心窩の存在
  • 色の残効の生起
  • 桿体細胞の存在
  • 色の恒常性の成立
  • 二色型色覚者の存在

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (2件)

01

 色覚の反対色過程と聞いて、まずはへリングの「4色説」を想起し、3色説と現在広く支持されている段階説、そして目の構造が理解できている方は正答できたことでしょう。ただし、学習していなければちんぷんかんぷんの問題だったと思います。

 さて、へリング「反対色説」の学習です。

このことをより深く理解するためには、ヤング=ヘルムホルツの「3色説」が必要となります。

 この説では、赤・緑・青の光(波長)を選択的に反応できる錐体細胞があり、3つの錐体細胞L:赤 М:緑 S:青を形成(LМS空間)し、3種類の反応の組み合わせで色の知覚を行うとされています。

錐体細胞は網膜の中心部に密集し[網膜の中心が中心窩]、周辺には杆体細胞が配置されています。

 ここで重要なのが、3色説で説明できる現象できない現象です。

 加法混色・減法混色という現象は、とても説明しやすいです。

加法混色とは、赤・緑・青を混ぜるほど明るくなる(白くなっていく)現象で、実際、スマホやパソコンの白はこの原理で作られているそうです。

又、減法混色とは黄色・マゼンタ・シアンを混ぜると暗くなる(黒くなる)現象で、こちらもポスターやチラシなどのインクなどで使われていますね。

その他、色の恒常性、例えば暗いところでもその対象の色が分かるという現象も、色の対比効果、例えば、同じオレンジでも背景が黄色である場合、そのオレンジは赤めいて見えたり、逆に背景が赤の場合、黄色っぽく見えたりする現象も、3色説で説明されるとされています。

 しかし、反対色(補色)残像(残効)は、3色説では説明できませんでした。

補色残像とは、例えば、紙に塗られた赤い丸をずっと見た後、白い紙を見ると反対色の緑が見える現象ですね。

これを説明するために、へリングは4色による反対色説を考えるに至りました。

この説は、三原色の赤・緑・青に加えて、黄色を独立した色として加えました。

つまり、実際に、赤緑が存在しないように、青黄も存在しないことをもって、へリングは、赤―緑、青―黄色、白―黒の3対の反対色が3種類の錐体細胞に対応・反応して、色が知覚されると説いたのでした。

 

 現在、色の知覚のメカニズムは、3色説と反対色説を統合した「段階説」として知られています。

光が網膜・錐体細胞で色処理(一次処理)される過程を3色説で説明し、網膜以降から視神経に行くまでの(二次処理=中枢神経系)間は、反対色説による色処理であると見立てられています。

すなわち、この二次処理間の色処理過程のことを「反対色過程」と呼んでいるのです。

 さあ、ここまで解説すれば正答を導けるのではないかと思います。

中心窩、杆体細胞、色の恒常性は一次処理時に関係していますね。

色覚障害は、錐体細胞の欠落や障害等によるものですから、こちらも二次処理に関連していませんね。

したがって、反対色過程に関連するのは選択肢②「色の残効の生起」です。

参考になった数84

02

この問題に関連するのは、色覚の反対色過程です。

色の知覚のメカニズムは、現在「段階説」として知られています。

まず、「3色説」によると、網膜中心部の3つの錐体細胞(L:赤、M:緑、S:青)が組み合わせて色の知覚を行います。

これによって加法混色・減法混色、色の恒常性、色の対比効果などが説明できます。

しかし、網膜以降の二次処理である「反対色過程」では、反対色説による色処理が行われます。

この過程によって、補色残像(残効)の生起が挙げられます。

ヘリングは、3原色の赤・緑・青に加えて、黄色を独立した色として加え、赤―緑、青―黄色、白―黒の3対の反対色が3種類の錐体細胞に対応・反応して、色が知覚されると説いたのです。

以上の説明に基づいて、以下の選択肢について正誤を判断しましょう。

選択肢1. 中心窩の存在

中心窩には、三種類の錐体細胞が存在し、色の知覚に関与しています。

しかし、反対色過程との関連性はありません。

選択肢2. 色の残効の生起

色の残効とは、視覚刺激が消えた後にも、しばらくその色を感じ続ける現象のことです。

この色の残効は、反対色過程に関係しています。

例えば、赤い刺激を見た後に、緑色の刺激を見ると、緑色がより鮮明に感じられます。

このように、反対色過程によって、赤と緑、青と黄色、白と黒の色の対が生じます。

選択肢3. 桿体細胞の存在

桿体細胞は、暗所での視覚に重要な役割を果たす細胞です。

しかし、反対色過程との関連性はありません。

選択肢4. 色の恒常性の成立

色の恒常性とは、照明の変化や物体の影響を受けずに、物体の色を一定に認知する能力のことです。

色の恒常性は、反対色過程とは無関係です。

選択肢5. 二色型色覚者の存在

二色型色覚者とは、赤と緑の刺激を区別できない人のことです。

彼らにとって、反対色過程は正常に機能していません。

まとめ

反対色過程は、色の残効を生じさせることや、二色型色覚者の場合には正常に機能していないことが知られています。

参考になった数6