公認心理師の過去問
第4回(2021年)
午後 問86

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問題

公認心理師試験 第4回(2021年) 午後 問86 (訂正依頼・報告はこちら)

認知言語学の説明として、最も適切なものを1つ選べ。
  • 生成文法理論をもとに構築されている。
  • 言語習得における経験の役割を重視する。
  • 言語に特化した認知能力を強調する立場をとる。
  • 言語的カテゴリーには、明確な境界線があるとみなす。
  • ゲシュタルト心理学でいう「図と地」の概念には、否定的である。

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この過去問の解説 (2件)

01

ブルーノートに掲げられている「言語の習得における機序 」あるいは「N.Chomsky の言語理論(普遍文法、生成文法、言語獲得装置)と言語獲得支援システム」については、これまで、何をどの程度理解すればよいのか、深入りすればするほど難解に感じられる学問領域だけに、なかなか勉強しにくかった箇所ですよね。

そういう意味で、今回の設問は、心理師として、言語学分野の何を理解しておくべきかを少し明確にしてくれたのではないかと思います。

すなわち、それは、生成文法と認知言語学の違いですね。

選択肢①生成文法理論を基に構築されている」は、直球で、受験者の言語学に対する理解度を測ろうとしていますね。

生成文法理論はチョムスキー「人間には、そもそも生得的に言語を生成する生物学的装置を持っている」とする理論で認知言語学とは一線を画しています。

答えは×ですね。

選択肢②「言語習得の経験の役割を重視する」とは、生成文法理論が言語習得は生得的なものであるとしているのに対して、認知言語学は環境的なものである、つまり経験的なものであると捉えるわけですね。

これが正解となります。

選択肢③「言語に特化した認知能力を強調する立場をとる」のは、生成文法理論ですから×です。

選択肢④「言語的カテゴリーには、明確な境界線があるとみなす」ではなく、認知言語学では、境界線が曖昧であるとする立場です。

メタファーひとつをとってもお分かりいただけると思います。

選択肢➄「ゲシュタルト心理学でいう「図と地」の概念には、否定的である」では、認知言語学では、反対に「肯定的」「親和的」です。

認知が文法を作っていくという理論ですから。選択肢④と関連する内容ですね。

したがって、選択肢②が正解となります。

ちなみに「言語獲得支援システム」はブルーナーの理論のみを指しています。

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02

この問題は、認知言語学と生成文法理論の違いについて問うものです。

生成文法理論は、チョムスキーが提唱した言語学の理論です。

この理論によれば、人間は生得的に言語を生成する能力を持っています。

それに対して、認知言語学は、言語習得における経験の役割を重視する言語学の理論です。

言い換えれば、環境的要因が言語習得に大きな影響を与えるという考え方に基づいています。

選択肢1. 生成文法理論をもとに構築されている。

生成文法理論はチョムスキーが提唱した言語学の理論で、人間は生得的に言語を生成する能力を持っているとされます。

これに対して、認知言語学は言語習得における経験の役割を重視する言語学の理論であり、環境的要因が言語習得に大きな影響を与えるという考え方に基づいています。

選択肢2. 言語習得における経験の役割を重視する。

認知言語学は、言語習得において環境的要因が重要であるという経験主義的な言語学の理論です。

選択肢3. 言語に特化した認知能力を強調する立場をとる。

「言語に特化した認知能力を強調する立場をとる」は、生成文法理論の考え方です。

選択肢4. 言語的カテゴリーには、明確な境界線があるとみなす。

言語的カテゴリーには、明確な境界線があるとみなす代わりに、認知言語学は、境界線が曖昧であるとする立場をとっています。

選択肢5. ゲシュタルト心理学でいう「図と地」の概念には、否定的である。

認知言語学は、文法を認知の一部として捉えるため、ゲシュタルト心理学でいう「図と地」の概念には「肯定的」です

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