公認心理師の過去問
第4回(2021年)
午後 問88
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問題
公認心理師試験 第4回(2021年) 午後 問88 (訂正依頼・報告はこちら)
「感情は覚醒状態に認知的評価が加わることで生じる」とする感情理論として、最も適切なものを1つ選べ。
- A. R. Damasio のソマティックマーカー説
- P. Ekman、C. E. Izard の顔面フィードバック説
- S. Schacter、J. Singer の2要因説
- W. B. Cannon、P. Bard の中枢起源説
- W. James、C. Lange の末梢起源説
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この過去問の解説 (2件)
01
選択肢①「ソマティック・マーカー説」とは、Damasioが主張したもので、ヒトの意思決定において、情動的な身体反応(特に危険信号)が重要な信号を提供するとするものです。
生体信号説と覚えておきましょう。
選択肢②「顔面フィードバック説」とは、「感情が表情を生み出すのではなく、表情が感情を作り出すのではないか」としたトムキンスによるものですね。
W. James、C. Lange の末梢起源説が理論的背景として知られています。
選択肢③「感情の2要因説」は、感情を、二つの要因の組み合わせ、つまり、「1、まだ説明されていない覚醒状態(身体の状態)」に、「2、認知的説明が加わって」生じると、主張するものです。
この考え方はラザルスの認知評価理論につながっていきますね。
選択肢④「感情の中枢起源説」は、大脳皮質が主観的感情を生み出す本体であるとするものです。
CannonとBardによって提唱され、「情動は、知覚の興奮が視床下部を介して、大脳皮質と末梢器官に伝えられ、情動体験(皮質)と情動反応(末梢)が起こる」としました。
選択肢➄「情動の末梢説」は、「情動反応(末梢)から情動体験」が起こるということですね。
CannonとBard説の真逆ですね。「泣くから悲しい」で有名です。
したがって選択肢③が正解です。
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02
感情とは、人間の心理的な反応の1つであり、様々な要因によって引き起こされます。感情の発生には、脳の中枢や末梢神経系などが関与しています。
A. R. Damasioによるソマティックマーカー説は、感情の発生には身体的な反応が不可欠であるという考え方です。具体的には、過去の経験によって学習された「体感的なマーカー」が、現在の状況に適切な反応をするように働きかけるとされています。
P. EkmanやC. E. Izardによる顔面フィードバック説は、顔の筋肉を動かすことで感情が生じるという仮説です。具体的には、表情を作ることで、その表情に対応する感情が生じるとされています。
S. SchacterとJ. Singerによる2要因説は、感情の発生には覚醒状態と認知的な評価が必要であるという考え方です。具体的には、外部からの刺激によって覚醒状態が生じ、その状態に対して認知的な評価が行われることで、適切な感情が生じるとされています。
W. B. CannonとP. Bardによる中枢起源説は、感情の発生には脳の中枢が関与しているという考え方です。具体的には、脳の中枢にある「覚醒中枢」と「感情中枢」が連動して、感情を生じさせるとされています。
W. JamesとC. Langeによる末梢起源説は、感情の発生には身体の末梢神経系が関与しているという考え方です。具体的には、身体的な反応が先に生じ、その後に感情が生じるとされています。
感情理論は、感情がどのようにして生じるのかを解明する理論です。脳の中枢や末梢神経系、身体的な反応、覚醒状態、認知的な評価などが感情の発生に関与しています。これらを理解することで、より深い感情の理解が可能となります。
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