公認心理師の過去問 第4回(2021年) 午後 問109
この過去問の解説 (2件)
これはちょっといじわるな問題だと思った方も多いはずです。
なぜかといいますと、5つの選択肢のどれもが情報開示するに足る要件(いずれの事例も個人情報保護委員会からの文書で示されています)ではありますが、問題は、開示請求する機関又は人が「どこ・だれ」なのかという条件が、法律で決められていることが情報開示では必要になるということですね。
つまり情報内容と開示先が、必要十分に担保されているかどうかということです。
考えてみてもおわかりいただけると思いますが、「児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合」としたとしても、相手によることは明らかですよね。
これは、心理師にとっても、まずは法律順守が大切なのだという出題者側のメッセージととらえることもできるでしょう。
したがって選択肢③「医療法に基づく立入検査など、法令に基づく場合」など、医療関係者にとって、法的に強制力を行使できる事象しか情報開示できないというのが基本的解釈ですね。
医療関係者が患者から取得した個人情報の開示には、本人の同意が必要な場合がありますが、例外的に同意を得る手続が不要な場合があります。ここでは、その例外的な場合について、問題の各設問ごとに解説します。
本文はいずれも情報開示することに足る要件であると考えられますが、情報開示の主体が医療関係者であるという点や法的な強制力の強さを選択肢ごとに検討していく必要があります。
財産の保護のため情報の開示に本人の同意は不要と考えられますが、この設問の場合、より適切な選択肢があります。
感染症の発生など、公衆衛生上の危険性がある場合には、個人情報を開示することがあります。ただし、その範囲は最小限に抑えられることとなっています。
医療法に基づく立入検査など、法令に基づく場合には、個人情報を開示することがあります。他の選択肢と比較してより法的な強制力のあるものはこの選択肢だと言えます。
患者が重篤な状態にある場合、その治療に必要な個人情報を開示することがあります。しかし、この設問の場合、より適切な選択肢があります。
児童虐待など、児童の健全な育成に関わる場合には、個人情報を開示することがあります。ただし、その範囲は最小限に抑えられることとされており、この設問の場合、より適切な選択肢があります。
守秘義務の問題などを学んでいるといずれの選択肢も正答な気がしてきますが、国家資格である公認心理師としてはまずは法令遵守が必要とされている点に注意して回答しましょう。
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