公認心理師の過去問
第4回(2021年)
午後 問116

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問題

公認心理師試験 第4回(2021年) 午後 問116 (訂正依頼・報告はこちら)

災害支援者を対象とするストレス対策として、不適切なものを1つ選べ。
  • 生活ペースを維持する。
  • 業務のローテーションを組む。
  • 住民の心理的反応に関する研修を行う。
  • ストレスのチェックリストによる心身不調の確認を行う。
  • 話したくない体験や気持ちについても積極的に話すように促す。

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この過去問の解説 (2件)

01

災害支援者への心理的支援については、「サイコロジカル・ファーストエイド実施の手引き 第2版」日本語版をぜひ熟読してください。

 この中で、災害支援者の「安全と安心感」を活動のテーマとして掲げられていますね。

ここでは次のことが示されています。

1. 現在の安全を確かなものにする

2. 災害救援活動や支援事業に関する情報を提供する

3. からだへの配慮

4. 人々の交流を促進する

5. 親(保護者)と離ればなれになっている子どもに対応する

6. さらなるトラウマ体験や、トラウマを思い出すきっかけになるものから身を守る

7. 家族の生存が確認できない被災者を支える

8. 家族や親しい友人を亡くした被災者を支える

9. 悲嘆と信仰の問題

10. 棺や葬儀に関する情報を提供する

11. 外傷性悲嘆に関連した問題に対応する

12. 死亡通知を受けとった被災者を支える

13. 遺体の身元確認をしなくてはならない被災者を支える

14.遺体の身元確認について、子どもに説明しなくてはならない保護者を支える

 以上の事から、「見る」「聞く」「つなぐ」が基本的な行動原則であることがわかります。

相手の安全や尊厳、権利を尊重して行われるものであり、とりわけ災害早期に被災者への支援については、より一般的で生活再建に即した実際的な支援が求められることに留意する必要があります。

また、項目6にあるように心理的デブリーフィングは行わないこととされていますね。

 内閣府による都道府県対応ガイドラインによると、被災者は3段階に分類されます。

①一般の被災者、②見守り必要、③疾患というレベルです。

こころのケアレベルのスクリーニングについては、市町村保健センターの保健師が担うとされています。

 以上の事から、災害支援者を対象とするストレス対策として、やってはいけないのが選択肢➄ですね。 

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02

災害時に医療支援を行うために編成されたチームにDMATがあります。日本では、医療法第72条に基づき、国が指定した医療機関や医療従事者などから編成されています。自然災害や大規模事故などの災害現場に派遣され、救急医療や急性期医療の提供、医療資源の調整、被災者の心理的なケアなどを行います。医療職のみならず、非医療職のメンバーも含まれており、医療現場での業務に必要な知識や技術を有する人材が参加しています。

選択肢1. 生活ペースを維持する。

正しい。被災者が生活ペースを維持することは非常に重要です。災害によっては、被災地での生活環境が大きく変化し、普段とは違う生活を余儀なくされることがあります。そのため、生活のリズムが崩れてしまい、身体的・精神的な不調が生じることがあります。

選択肢2. 業務のローテーションを組む。

正しい。 災害支援は、自分の役割や責任を明確にすることが重要です。また、支援活動のために必要な物資や道具を準備し、計画を立てておくことで、不安やストレスを軽減することができます。

選択肢3. 住民の心理的反応に関する研修を行う。

正しい。災害に遭遇した住民は、様々な心理的反応を示すことがあります。

① ショックや否認:災害の出来事自体が信じられず、ショック状態になることがあります。また、被災者自身が被害に遭っているという現実を認めたくないという否認の感情があらわれることもあります。

② 悲しみや喪失感:災害によって大切な人や物を失ったり、生活環境が変化したりすることで、悲しみや喪失感を抱くことがあります。

③ 焦燥感や不安感:災害によって日常生活が大きく変わったり、被災地での生活が不安定になることで、焦燥感や不安感を感じることがあります。

④ PTSD(心的外傷後ストレス障害):災害によって心的外傷を受けた場合、PTSDの症状を発症することがあります。具体的には、過去のトラウマ的体験の再現や、トラウマを引き起こす場面や音、匂いなどに反応することがあります。

選択肢4. ストレスのチェックリストによる心身不調の確認を行う。

正しい。災害支援においては、被災者や関係者のストレスチェックが重要な役割を果たします。ストレスチェックは、心身の状態やストレス反応を把握することで、適切な支援策を提供するための情報収集や、早期に心理的ケアを必要とする人を発見することができます。

選択肢5. 話したくない体験や気持ちについても積極的に話すように促す。

誤り。心理的反応の中には、PTSD症状を呈する場合があります。治療的な取り組みができる設備が整っていない以上、いたずらに話をさせることは、却って症状の悪化を助長します。

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