公認心理師の過去問
第4回(2021年)
午後 問118

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問題

公認心理師試験 第4回(2021年) 午後 問118 (訂正依頼・報告はこちら)

緊急一時保護が必要であると児童相談所が判断する基準に該当しないものを1つ選べ。
  • 保護者に被虐待歴がある。
  • 子どもへの性的虐待の疑いが強い。
  • 子どもに重度の栄養失調が認められる。
  • 保護者が子どもを殺してしまいそうだと訴えている。
  • 保護者が暴力を振るうため帰りたくないと子どもが訴えている。

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この過去問の解説 (2件)

01

 緊急一時保護の判断基準については、それらを示す具体的かつ法的な文書があるわけではありません。

それでは一体、難しい判断が迫られる中、児童相談所は何をリスクと捉え、決断を下すのでしょうか。

厚生労働省「子ども虐待対応の手引き」を見てみることにしましょう。

その中に、緊急一時保護あるいは一時保護の判断をしていく流れを図示した「一時保護に向けてのフローチャート」があります。

 この図によれば、緊急一時保護の判断材料として、まず「1.当事者(子ども)が保護を求めている」ことがあげられています。

そして次に、「2.当事者が訴える状況が差し迫っている」ことです。

これは選択肢➄が該当しますね。

では、子どもが保護を求めていない・求められない場合はどうでしょうか。

つまり、他者・他機関からの通報による場合ですね。

この場合は「3.すでに重大な結果がある」ことが判断材料となります。

ですから、選択肢②③がこれに該当しますね。

選択肢②は、性的虐待が「強く」疑われるわけですから、児童相談所の判断の中に医学的な所見の存在があると考えれば緊急一時保護の対象であると言えるでしょう。

フローチャートでは、この「1」「2」「3」のいずれかが認められる場合、緊急一時保護を検討することとされています。 

 

 それでは選択肢①④はどのように考えればよいでしょうか。

1つ消去しなければなりませんね。

①の「保護者に被虐待歴がある」については、確かに虐待には世代間連鎖があるとはいえ、一時保護の判断を行うにあたっては、二次的かつ補足的な要素でしかありませんね。

まずは、何が起きたのか・差し迫って起ころうとしているかが大事なのですから。

選択肢①は×ですね。

④は、フローチャートの「4.」「重大な結果の可能性が高い」ものにあたりますね。

わが子への殺意を訴える、保護者の尋常とはいえない心理状態に子どもを巻き込まないためにも緊急避難的な保護は必要です。

ちなみに、通告を受理した後、速やかに緊急受理会議を開催し初期対応を検討することになっています。

 以上のことから、緊急一時保護の基準に該当しないのは①です。

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02

緊急一時保護とは、子どもの福祉に関する法律に基づき、児童相談所が保護の必要があると判断した場合に、即時に児童を保護し、その後の処遇を決定するための仮の保護措置です。緊急一時保護は、児童にとって急を要する危険や苦痛から守るために行われます。緊急一時保護期間は最長で20日間であり、その期間中に児童相談所は、児童を保護する必要性や処遇方針を検討し、適切な処置を講じます。緊急一時保護は、児童の人権を尊重し、児童の最善の利益を考慮した上で行われることが原則とされています。緊急性のある一時保護の観点のポイントは、“今すぐ”の支援が必要であることがテーマです。

選択肢1. 保護者に被虐待歴がある。

保護者に被虐待歴がある場合、自身の被虐待経験から虐待行為を行う可能性は高いとされています。しかし、可能性の高さだけで、緊急一時保護となることはありません。

選択肢2. 子どもへの性的虐待の疑いが強い。

正しい。児童が虐待や暴力などの危険な状況にあると判断された場合は緊急一時保護に該当します。

選択肢3. 子どもに重度の栄養失調が認められる。

正しい。児童が家庭環境に適切に配慮されていないと判断された場合は緊急一時保護に該当します。

選択肢4. 保護者が子どもを殺してしまいそうだと訴えている。

正しい。児相への虐待通告に目が行きがちだが、虐待相談も児相にはよく電話がかかってきます。保護者が自分を抑えられず、SOSを出すパターンもあるため、緊急一時保護に該当します。

選択肢5. 保護者が暴力を振るうため帰りたくないと子どもが訴えている。

正しい。児童が虐待や暴力などの危険な状況にあると判断された場合は緊急一時保護に該当します。

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