公認心理師の過去問
第4回(2021年)
午後 問126
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問題
公認心理師試験 第4回(2021年) 午後 問126 (訂正依頼・報告はこちら)
アルコール依存症について、最も適切なものを1つ選べ。
- 不安症とアルコール依存症の合併は少ない。
- アルコール依存症の生涯自殺率は、約1%である。
- アルコール早期離脱症候群では、意識障害は起こらない。
- 脳機能障害の予防に、ビタミンB1の投与が有効である。
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この過去問の解説 (2件)
01
アルコール依存症とは、アルコールの摂取が止められなくなる精神状態を指します。
アルコールを飲まないと不快感や緊張感、不安感などの離脱症状が現れることがあり、アルコールを飲まないと生活が成り立たなくなるような状態になっていることが多いです。
また、アルコールを飲み続けることによって、肝臓や脳、胃腸などの機能が損なわれることがあります。
アルコール依存症は、心身ともに健康を損なう危険性があるため、早期の治療が必要です。
誤り。
不安な気持ちを払拭するために飲酒行動に移ることは臨床的に多くあります。
結果、酩酊状態でないと気持ちが落ち着かない、不安な気持ちを避けられるという思考が働き、次の飲酒行動を強化されてしまいます。
誤り。
アルコール依存症に関する研究によれば、アルコール依存症の人々は、一般的な人々に比べて自殺のリスクが高くなっています。
例えば、アメリカ合衆国の調査では、アルコール依存症の人々の自殺リスクが、依存症を持たない人々の2倍から3倍になることが報告されています。
誤り。
アルコールの摂取が続くことで慢性的な脳障害を引き起こすことがあり、この脳障害には、意識障害も含まれます。
アルコールの影響で、脳の神経細胞がダメージを受けることがあり、その結果、意識を失うことがあります。
症状の軽いものでは注意力が散漫になる程度であり、深刻なものでは昏睡状態に陥ることがあります。
また、アルコール依存症による脳障害は、長期間にわたってアルコールを摂取し続けることで進行することがあり、最終的には脳萎縮を引き起こすこともあります。
正しい。
ビタミンB1は、体内でブドウ糖をエネルギーに変換する際に必要な栄養素であり、脳の正常な機能を維持するためにも欠かせない栄養素です。
アルコール依存症の人々は、アルコールによるビタミンB1の消費が激しく、ビタミンB1不足に陥ることがあるため、脳機能障害のリスクが高くなります。
そのため、適切なビタミンB1の摂取は、脳機能障害の予防に役立ちます。
ビタミンB1は、豚肉、大豆、玄米、ナッツ、酵母などの食品に含まれています。
ビタミンB1を含む食品をバランスよく食べることが、脳機能障害の予防につながるとされています。
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02
正答は「脳機能障害の予防に、ビタミンB1の投与が有効である。」です。
不快な気持ちを忘れるための飲酒は、問題飲酒につながりやすく、PTSDや不安症を抱える人がアルコール依存症になるケースは多いです。
また、飲酒がうつ病や不安症を引き起こしたり、抑うつ気分を悪化させることから、不安症とアルコール依存症の合併は少なくないため、本肢は誤りです。
世界保健機関(WHO)「Preventing Suicide: a global imperative」(2014)では、自殺者のうち精神障害のある人は90%、自殺関連行動と最も関連のある精神障害はうつ病とアルコール使用障害である明言しています。
また、自殺の生涯リスクは気分障害4%、アルコール依存症7%、双極性障害8%、統合失調症5%と推定されています。
よって本肢は誤りです。
アルコール早期離脱症候群は飲酒を止めて数時間で出現します。
手や全身の震え、発汗、不眠、吐き気、嘔吐、血圧上昇、不整脈、イライラ、集中力低下、一過性の幻覚、軽い見当識障害などがみられます。
意識障害は後期離脱症候群で頻発するとされていますが、軽い見当識障害も意識障害に含まれますので、本肢は誤りです。
アルコール依存症で起こりやすい脳機能障害として、ウェルニッケ脳症があります。
ウェルニッケ脳症はビタミンB1の欠乏によって生じるため、予防としてビタミンB1の補給をすることが重要です。
よって本肢は正しいです。
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