公認心理師の過去問
第4回(2021年)
午後 問134

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問題

公認心理師試験 第4回(2021年) 午後 問134 (訂正依頼・報告はこちら)

社会的養護における永続性(パーマネンシー)について、正しいものを2つ選べ。
  • 里親委託によって最も有効に保障される。
  • 選択最適化補償理論に含まれる概念である。
  • 対象がたとえ見えなくなっても、存在し続けるという認識である。
  • 国際連合の「児童の代替的養護に関する指針」における目標である。
  • 子どもの出自を知る権利を保障できる記録の永年保存が求められる。

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この過去問の解説 (2件)

01

社会的養護における永続性は、児童養護施設に長期間収容されることによって生じる問題を指します。

多くの場合、社会的養護の対象者は家庭環境が不安定であり、適切な支援を受けられないことが原因で養護施設に入所することになります。

しかし、養護施設での生活が長期間にわたる場合、施設内での生活が当たり前になってしまい、外部社会との繋がりや自立支援の機会が減少するため、永続的な社会復帰の困難さが生じることがあります。

また、養護施設での生活が長期化することによって、自己肯定感や社会性の発達にも影響が出る場合があります。

選択肢1. 里親委託によって最も有効に保障される。

里親委託によって最も有効に保障されることは、子供たちの安全と幸福です。

里親は、子供たちが安心して過ごせる環境を提供し、必要な支援や愛情を与えます。

子供たちには、自分自身や周りの人たちに対する信頼感や希望、自尊心が育まれ、家庭環境によって引き起こされる心理的な影響を受けにくくなるとされています。

また、里親委託は、子供たちにとって家庭環境が改善される可能性があるため、将来的に生物学的な両親と再会するための機会を提供することもできます。

とはいえ、最も有効に保証されるという選択肢ではないため、誤りです。

選択肢2. 選択最適化補償理論に含まれる概念である。

選択最適化補償理論(Compensation Theory of Optimal Selection)は、職業選択やキャリア開発における意思決定の理論の一つです。

個人が職業を選択する際には、それぞれの職業にはメリットとデメリットがあり、個人が最も適した職業を選択するためには、メリットを最大化し、デメリットを最小化する必要があります。

しかし、完璧な選択はできないため、選択した職業には必ず何らかのデメリットが存在するという内容であり、本問の内容とは異なるため、誤りです。

選択肢3. 対象がたとえ見えなくなっても、存在し続けるという認識である。

本選択肢は「客観性の認識」を指しています。

この認識は、対象が見えていなくても、それが存在していると信じることができるということです。

例えば、私たちは自分が寝ている間に世界が消えたり、他の人が自分の意識を持っていないということは考えにくいでしょう。

これは、私たちが周りの世界を感じていることや、他の人が存在していることを常に想定しているためです。

よって、本問とは異なる内容のため、誤りです。

選択肢4. 国際連合の「児童の代替的養護に関する指針」における目標である。

国際連合の「児童の代替的養護に関する指針」における目標の1つに、客観的かつ公正な判断を下すために必要な、情報収集と記録の永続性が挙げられます。

これは、児童の代替的養護に関する情報が適時に収集され、記録され、評価されることによって、児童の福祉を確保することができるという考えに基づいています。

具体的には、児童が保護された時点から、その後も適切な情報収集と記録が継続的に行われ、必要に応じて評価されることで、児童の状況を正確に把握し、最良の利益を考慮した代替的養護を実現することが目指されています。

よって正解です。

選択肢5. 子どもの出自を知る権利を保障できる記録の永年保存が求められる。

子どもの出自を知る権利を保障するためには、客観性の永続性が重要です。

そのため、子どもが成長し、成人した後も、必要に応じて自分自身や関係者が子どもの出自を知ることができるように、適切な情報収集と記録の永年保存が求められます。

例えば、児童養護施設や里親家庭などで育った場合、出生時の状況や親族関係、養護に至る経緯などについて記録が残されていることが望ましいです。

また、養子縁組が行われた場合には、生物的親族との関係が切れることになるため、養子縁組に関する情報や手続きについても、記録の永年保存が求められます。

これらの記録が適切に保管され、必要な場合にアクセスできるようになることで、子どもの出自を知る権利が保障され、子どもの福祉が守られることにつながりますので、正解です。

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02

正答は国際連合の「児童の代替的養護に関する指針」における目標である。」

子どもの出自を知る権利を保障できる記録の永年保存が求められる。」です。

選択肢1. 里親委託によって最も有効に保障される。

厚生労働省の「「新しい社会的養育ビジョン」について(概要)」において、社会的養護における「永続的解決としての特別養子縁組は有力、有効な選択肢として考えるべき」と記載がありますので、誤りです。

選択肢2. 選択最適化補償理論に含まれる概念である。

選択最適化補償理論(ブループリントでは「補償を伴う選択的最適化理論」と記載)は、Baltes,P.B.が提唱し、高齢期に残された資源をいかに選択的に有効活用し、また喪失する資源をいかに補償するかが適応に影響するという理論です。

社会的養護の永続性とは関連のない理論ですので、誤りです。

選択肢3. 対象がたとえ見えなくなっても、存在し続けるという認識である。

対象がたとえ見えなくなっても存在し続けるという認識は「対象の永続性」と呼ばれ、乳児期に獲得することが明らかになっています。

社会的養護の永続性とは関連のない概念ですので、誤りです。

選択肢4. 国際連合の「児童の代替的養護に関する指針」における目標である。

国連の示す児童の代替的養護に関する指針の中の「一般原則及び展望」において、「非公式の養護を含め、代替的養護を受けている児童に関する決定は、安定した家庭を児童に保障すること、及び養護者に対する安全かつ継続的な愛着心という児童の基本的なニーズを満たすことの重要性を十分に尊重すべきであり、一般的に永続性が主要な目標となる」との記載がありますので、正しいです。

選択肢5. 子どもの出自を知る権利を保障できる記録の永年保存が求められる。

日本においては出自を知る権利がそれほど浸透しておらず、法的に保障されていません。

しかしながら、海外では子どもの福祉を重視し法律で保障する動きが進んでおり、日本でも今後公開される可能性があることから、記録の永年保存が求められています。

よって正しいです。

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