公認心理師の過去問
第4回(2021年)
午後 問152

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問題

公認心理師試験 第4回(2021年) 午後 問152 (訂正依頼・報告はこちら)

10歳の女児A、小学4年生。Aは、自己主張の強い姉と弟に挟まれて育ち、家では話すが学校では話さない。医療機関では言語機能に異常はないと診断を受けている。Aは、幼なじみのクラスメイトに対しては仕草や筆談で意思を伝えることができる。しかし、学級には、「嫌なら嫌と言えばいいのに」などと責めたり、話さないことをからかったりする児童もいる。Aへの対応について、担任教師BがスクールカウンセラーCにコンサルテーションを依頼した。
CのBへの助言として、不適切なものを1つ選べ。
  • Aの発言を促す指導は、焦らなくてよいと伝える。
  • できるだけAを叱責したり非難したりしないように伝える。
  • Aが話せるのはどのような状況かを理解するように伝える。
  • Aの保護者と連絡を密にし、協力して対応していくように伝える。
  • 交流機会を増やすため、Aを幼なじみとは別の班にするように伝える。

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この過去問の解説 (2件)

01

10歳女児に対する学校の担任に対して、スクールカウンセラーとしてのコンサルテーションについての問題です。

選択肢1. Aの発言を促す指導は、焦らなくてよいと伝える。

Aに無理に話させようとせず、焦らないくてもよいと伝えることは適切です。

選択肢2. できるだけAを叱責したり非難したりしないように伝える。

Aに対して叱責や非難はしないように伝えることは適切です。

選択肢3. Aが話せるのはどのような状況かを理解するように伝える。

Aが話せる状況を理解することで、学校でも発言できる状況はないか検討したり、環境を整えるなど工夫することができるため、適切です。

選択肢4. Aの保護者と連絡を密にし、協力して対応していくように伝える。

保護者との連携は重要で、保護者と担任が協力して対応するように伝えることは、適切です。

選択肢5. 交流機会を増やすため、Aを幼なじみとは別の班にするように伝える。

Aにとって安心できる環境を作ることが適切と考えられるため、幼なじみと別の班にすることは不適切です。

まとめ

スクールカウンセラーとしての対応を問われている設問です。

チーム学校の考え方なども含めて理解しておく必要があります。

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02

この事例の女児Aは、場面緘黙の状態と考える事ができます。

学校生活では、女児Aが安心して過ごす、自己表現できるような環境を作る事が大切です。

そのために担任教師Bができる事を検討します。

 

では、選択肢を見てみましょう。

選択肢1. Aの発言を促す指導は、焦らなくてよいと伝える。

適切な対応です。

場面緘黙は、急いで改善を求めるのでなく、本人の気持ちやペースに合わせて対応する事が大切です。担任教師も焦らずに落ち着いて指導できるよう、スクールカウンセラ―から、このような助言があると良いと考えられます。

選択肢2. できるだけAを叱責したり非難したりしないように伝える。

適切な対応です。

場面緘黙の児童生徒の多くは、本人も話したいと思っていたり、上手くできなくて悔しい思いを抱えていたりします。さらに、周囲から叱責や非難を受ける事があると、さらに自信を失う、自分を責める事が心配されますので、そのような指導は避けるように伝える事も良いです。

選択肢3. Aが話せるのはどのような状況かを理解するように伝える。

適切な対応です。

上手くできている状況や場面について目を向け、理解する事が大切です。できていない事にばかり注意が向きやすいですが、できている事についてよく知る事により、新たな対応のアイディアが生まれる事もあります。

選択肢4. Aの保護者と連絡を密にし、協力して対応していくように伝える。

適切な対応です。

保護者の考えや希望、家庭で本人が話している内容などを、担任教師と保護者が情報共有する事により、本人へのより良い指導ができると期待されます。担任教師だけで抱えるのでなく、保護者の協力を得られるような関係作りをするように助言する事も良いです。

選択肢5. 交流機会を増やすため、Aを幼なじみとは別の班にするように伝える。

不適切な対応です。よって、この問題では正答となります。

他の児童との交流を増やす事は良いですが、女児Aが安心感を持っている幼なじみと距離を取らせる事は効果的ではありません。女児Aの不安が高まり、今できている自己表現もしにくくなると心配されます。幼なじみと同じ班にし、その中で別の児童との関係も築けるような配慮があると良いと考えます。

まとめ

コンサルテーションでは、クライエントについてだけでなく、助言指導をする相手(ここでは担任教師)のアセスメントもしながら対応する事が大切です。相手の持っている知識や経験、気持ちの状態を図りながら、クライエントにとってより良い支援や指導を考えるよう努めましょう。

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