公認心理師 過去問
第1回 追加試験(2018年)
問19 (午前 問19)

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問題

公認心理師試験 第1回 追加試験(2018年) 問19(午前 問19) (訂正依頼・報告はこちら)

マルトリートメント(不適切な養育)について、最も適切なものを1つ選べ。
  • 貧困との関連は乏しい。
  • 初めに養育者に反省を促す。
  • 子どもの脳の器質的問題は発生しない。
  • 養育者自身の自尊感情とは関係がない。
  • 多角的な視点でアセスメントする必要がある。

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この過去問の解説 (3件)

01

マルトリートメントに関する問題です。

選択肢1. 貧困との関連は乏しい。

マルトリートメントの背景には、貧困などの経済的事情や家族関係の問題、養育者自身の問題、社会からの孤立などが考えられます。

選択肢2. 初めに養育者に反省を促す。

反省を促すよりも、養育者への共感的理解を示し、支援につながるように関わりことが求められます。

選択肢3. 子どもの脳の器質的問題は発生しない。

子どもの脳の萎縮や脳神経の発達に影響を及ぼすとされています。

選択肢4. 養育者自身の自尊感情とは関係がない。

養育者自身の自尊感情との関連がないとは言い切ることはできません。

選択肢5. 多角的な視点でアセスメントする必要がある。

適切です。子どもの安全確保や緊急性、家族状況などを確認してアセスメントを行い、今後の関わりについて検討していきます。

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02

正解は5です。

  1. 1. マルトリートメントの背景には家庭の貧困があることが多く、子どもに十分な食事を与えたり清潔な衣類を着せたりする経済的余裕がないことが要因となる場合があります。
  2. 2. マルトリートメントは、養育者自身も貧困や病気などの問題を抱えていることが少なくありません。よって養育者を「支援する」ことは適切ですが、「反省を促す」ことは適切とは言えません。
  3. 3. 身体的虐待やネグレクトのように、十分な食事を与えられず身体の成長が止まる場合、子どもの脳の発達も阻害されます。また性的虐待や心理的虐待も子どもの脳を傷つけることが最近の研究で解明されつつあります。
  4. 4. 養育者自身が自尊感情が低く、親になる自信がない場合、マルトリートメントが起こりやすいと言われています。
  5. 5. マルトリートメントは、望まぬ妊娠や経済的状況、養育者の抱える疾患、子どもの発達的特徴など多角的な視点でアセスメントを行う必要があります。

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03

マルトリートメントとは、身体的虐待、心理的虐待、性的虐待、ネグレクトだけでなく、虐待とは言い切れないが子どもの発達を阻害する大人の関わりを広く含んだ概念です。

選択肢を見てみましょう。

 

*この問題は次の資料を参考に解説します。

「脳科学から考えるマルトリ予防のすすめ(福井大学)」

「マルトリに対応する支援者のためのハンドブック(福井大学)」

選択肢1. 貧困との関連は乏しい。

誤りです。

マルトリートメントが生じる原因として、養育者のメンタルヘルス、子ども自身の課題、家庭内の不和、貧困などがあげられます。貧困も原因の一つになる場合がありますので、関連があると言えます。

選択肢2. 初めに養育者に反省を促す。

誤りです。

養育者の支援にあたる場面では、まず養育者に寄り添う、共感する、肯定するなどの態度で関わり、信頼関係を築くことが大切です。また、反省を促すよりも、子どもへのより良い関わり方は必要な情報を伝えていくことが求められます。

選択肢3. 子どもの脳の器質的問題は発生しない。

誤りです。

マルトリートメントを受けた子どもの脳は、感情コントロールが難しくなる、喜びを感じにくくなるなどの影響があるとされています。よって、器質的な問題が発生する場合があると言えます。

選択肢4. 養育者自身の自尊感情とは関係がない。

誤りです。

養育者自身の自尊感情の低さから、子育てにおいても自身が持てない、安定した気持ちが子育てに向き合えないなどの状態が起こり、不適切な養育につながる場合があると考えられます。

選択肢5. 多角的な視点でアセスメントする必要がある。

正答です。

マルトリートメントが起こる背景には、養育者の状態、子どもの状態、家庭内の状況など、さまざまな要因が考えられます。よって、多角的な視点でアセスメントを行い、支援を提供する必要があります。

まとめ

教育や医療の現場で働く公認心理師は児童虐待を発見する可能性があります。発見した場合には適切な対応ができるよう、知識を持ち、職場内外での連携を取るように努めましょう。また、虐待とは言えない程度の不適切な関わりに気づく場合もあります。公認心理師として養育者にどのようにアプローチできるかを学んでいくことが大切です。

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