公認心理師の過去問
第1回 追加試験(2018年)
午前 問22

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問題

公認心理師試験 第1回 追加試験(2018年) 午前 問22 (訂正依頼・報告はこちら)

D. A. AndrewsとJ. Bontaが主張するRNRモデル<Risk-Need- Responsivity model>の内容について、正しいものを1つ選べ。
  • 予後評定の際には犯罪歴や処分歴は考慮しない。
  • 予後評定の精度は伝統的な非構造的臨床判断より低い。
  • 犯罪を支える態度が変容すれば、再犯リスクは低減する。
  • ニーズ原則は対象者の能力や学習スタイルに適した処遇課題を与えることである。
  • 再犯リスクを低減させることに限定せず、良い人生を送ることを目標に掲げている。

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この過去問の解説 (2件)

01

正解は3です。

RNRモデルとは、犯罪者の処遇に関するモデルの一つで、リスク(再犯リスクの高に応じて)、ニード(再犯を誘発する要因に焦点を当てつつ)、レスポンシビティ(反応の良い方法を用いる)という3つの要因から構成されます。

  1. 1. 犯罪歴や処分歴はリスク要因の一つで、考慮されるので、これは誤りです。
  2. 2. RNRモデルに基づいた構造的な評定の方が、非構造的な臨床判断より精度が高いとされています。
  3. 3. 犯罪を支える態度とは、例えば衝動性や自己中心性のような反社会的な態度のことを指します。これは再犯を誘発する要因(ニード)に該当するので、これが正解です。
  4. 4. 対象者の能力や学習スタイルに適した処遇課題を与えるのはレスポンシビティ原則に当たるので誤りです。
  5. 5. 「良き人生モデル」とはWard & Stewart(2003)が、RNRモデルを批判して提唱したモデルなので誤りです。

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02

犯罪者処遇モデルのひとつである「RNRモデル」についての問題です。

選択肢1. 予後評定の際には犯罪歴や処分歴は考慮しない。

犯罪歴や処分歴は予後評定の際に考慮されます。

選択肢2. 予後評定の精度は伝統的な非構造的臨床判断より低い。

RNRモデルは構造化されたアセスメントのため、非構造的臨床判断よりも妥当性が高いと考えられます。

選択肢3. 犯罪を支える態度が変容すれば、再犯リスクは低減する。

適切です。再犯のリスク要因として、犯罪歴(静的因子)と犯罪誘発的要因(動的因子)があり、犯罪誘発的要因には「犯罪促進的態度」「反社会的人格パターン」「犯罪促進的な者との交流」「仕事・学校の状況」「家族・婚姻の状況」「薬物乱用」「余暇・娯楽の状況」があります。RNRモデルでは、犯罪誘発的要因を変容することで再犯リスクを低下すると考えられています。

選択肢4. ニーズ原則は対象者の能力や学習スタイルに適した処遇課題を与えることである。

RNRモデルは、3つの原則に基づきます。3つの原則とは、「リスク原則」「ニーズ原則」「応答性の原則」です。「リスク原則」は再犯リスクの高いものに集中させることです。「ニーズ原則」は犯罪誘発要因に絞って処遇することです。「応答性の原則」は対象者の適した課題を与え、応答性を高めることです。設問文は「応答性の原則」についての説明です。

選択肢5. 再犯リスクを低減させることに限定せず、良い人生を送ることを目標に掲げている。

RNRモデルでは、再犯リスクを低減させることを目標にしています。

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