公認心理師の過去問
第1回 追加試験(2018年)
午前 問62

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問題

公認心理師試験 第1回 追加試験(2018年) 午前 問62 (訂正依頼・報告はこちら)

84歳の女性。5年前にAlzheimer型認知症と診断された。現在、ミニメンタルステート検査<MMSE>が5点で、介護老人保健施設に入所中である。夜中に自室からスタッフルームにやってきて、「息子が待っているので自宅に帰りたい」と言い、廊下を歩きはじめた。
このとき、一般的に勧められる職員の対応として、最も適切なものを1つ選べ。
  • 息子に連絡し、外泊をさせるように依頼する。
  • 頓用の睡眠薬を服用させ、徘徊による体力の消耗を避ける。
  • 施錠できる安全な部屋に誘導し、保護の目的で扉を施錠する。
  • 息子は自宅に不在であることを説明し、自室に戻るよう説得する。
  • しばらく一緒に廊下を歩き、「夜遅いのでここに泊まりましょう」と提案する。

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この過去問の解説 (2件)

01

正解は5です。

見当識障害による訴えだと思われます。

1.→×

アルツハイマー型認知症の方のこういった訴えは、この日この時の1回限りではありません。

毎回、外泊対応することは現実的ではないでしょう。

2.→×

「眠れない」という訴えではないので、睡眠の頓用の薬を服用させるのは本人の意思が尊重されているとはいえません。

3.→×

施錠は医師の指示など特別な理由がある時に行います。

安易に行わないよう気を付けましょう。

4.→×

嘘の説明はあまり望ましい対応とはいえません。

見当識が低下しているため、説明を行ったとしてもこの方の「息子が待っている」という認識を改めることは難しいです。

5.→○

フェイルのバリデーション療法にあたります。

認知症の患者さんは、思い出せないことによる抑うつ感や、自分の認識と現実がそぐわない不安混乱などさまざまな周辺症状が現れます。

バリデーション療法は、こういった気持ちを共感や受容しながら関わることに焦点を置いたコミュニケーションのことです。

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02

介護老人保健施設の職員の対応に関する問題です。

選択肢1. 息子に連絡し、外泊をさせるように依頼する。

84歳の女性が「息子が待っているので自宅に帰りたい」と話されていますが、夜中に息子にすぐ連絡をすることは適切ではありません。

MMSEが5点ということから、84歳女性は見当識が低いと考えられます。

選択肢2. 頓用の睡眠薬を服用させ、徘徊による体力の消耗を避ける。

薬の服用については、医師の指示に従うことが必要です。

医師からそのような指示があれば、頓用の睡眠薬を服用させることもあるかもしれませんが、問題文にはそような記述がないため、指示の有無については分かりません。

もし職員の判断で頓用の睡眠薬を服用させるのであれば、不適切です。

選択肢3. 施錠できる安全な部屋に誘導し、保護の目的で扉を施錠する。

施錠できる安全な部屋に誘導し、保護の目的で扉を施錠することは、良い対応とはいえません。

扉を施錠するくらい保護が必要な状況かどうか分かりません。

選択肢4. 息子は自宅に不在であることを説明し、自室に戻るよう説得する。

息子が自宅に不在であるかどうかは分かりません。

もし84歳の女性を納得させるために嘘を言うのであれば、それは倫理的によいとはいえません。

選択肢5. しばらく一緒に廊下を歩き、「夜遅いのでここに泊まりましょう」と提案する。

しばらく一緒に廊下を歩くことで84歳女性に寄り添うことは、安心感を与えることや、納得をしてもらうという観点からも適切な対応です。

「夜遅いのでここに泊まりましょう」と提案することは、常識的な対応であり、適切です。

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