公認心理師の過去問
第1回 追加試験(2018年)
午前 問77
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問題
公認心理師試験 第1回 追加試験(2018年) 午前 問77 (訂正依頼・報告はこちら)
36歳の男性A、会社員。3年ほど前から、外出する際に戸締りやガスの元栓を閉めたかが気になって何回も確認するようになった。そのため、最近は外出するのに非常に時間がかかる。また、車を運転しているときに人をひいたのではないかと気になって、頻繁に道路を確かめる。Aは、これらの行為が不合理なものと認識しており、行為をやめたいと思っているが、やめられない。そのほかには思考や行動に明らかな異常はなく、就労を継続している。
Aに対する治療法として、適切なものを2つ選べ。
Aに対する治療法として、適切なものを2つ選べ。
- 行動療法
- 自律訓練法
- 非定型抗精神病薬
- ベンゾジアゼピン系抗不安薬
- 選択的セロトニン再取り込み阻害薬<SSRI>
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この過去問の解説 (2件)
01
正解は1と5です。
何回も確認してしまう強迫行為と、その行為を引き起こす不合理な思考の強迫観念が見られます。男性Aさんは強迫症と考えられます。
1.→○
強迫症の治療として行動療法の曝露反応妨害法がよく用いられます。人をひいたかもと思うと気が気ではありませんよね。その不安や恐怖を低減させるために確認するという回避反応を、妨害し止め続けることで不安や恐怖の軽減を目指す療法です。
2.→×
ここでは強迫症の治療の代表例である曝露反応妨害法である行動療法を選ぶ方が自然です。
3.→×
非定型抗精神病薬や定型抗精神病薬は主に統合失調症に用いられます。副作用として、錐体外路症状、過鎮静、高プロラクチン血症、代謝系副作用、悪性症候群などが見られます。
4.→×
主に不安や不眠に用いられます。副作用として、筋弛緩作用、反跳性不眠、依存などが見られます。
5.→○
抗うつ薬の一種で抑うつに用いられますが、不安症にも用いられます。強迫症は不安症に含まれるので、SSRIを用いることは適切です。
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02
36歳の男性Aは、戸締りやガスの元栓を「気になって何度も確認する」こと、「車を運転しているときに「頻繁に道路を確かめる」ことから、強迫性障害が疑われます。
強迫性障害は、DSM-5の強迫症および関連症群に分類されます。
この障害を特徴づけるのは、強迫観念と強迫行為です。
強迫観念とは、繰り返される持続的な思考、衝動、またはイメージのことです。
強迫行為とは、繰り返しの行動、または心の中の行為のことです。
その行動や行為は、明らかに過剰です。
行動療法は、強迫性障害の有効な治療法です。
特に、暴露反応妨害法が推奨されます。
暴露反応妨害法は、強迫観念や不安をそのままにし、不安場面に曝しながら(暴露)、強迫行動を禁止(妨害)することで、時間の経過とともに自然に不安や緊張が和らいでいくことを体験させる行動療法です。
強迫性障害の治療には、暴露反応妨害法を含む認知行動療法の有効性が確立しています。
自律訓練法は、リラクゼーションや心身症の治療によく用いられます。
非定型抗精神病薬は、強迫性障害の治療に用いられることもありますが、強迫性障害の治療に用いられる薬物療法としては、現在は、SSRIが一般的です。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、かつては強迫性障害の治療に用いられていましたが、現在では、SSRIが一般的です。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、不安や興奮状態などに適用される薬物です。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬<SSRI>は、強迫性障害の薬物治療として、有効性が実証されています。
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