公認心理師の過去問
第5回 (2022年)
午前 問9

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問題

公認心理師試験 第5回 (2022年) 午前 問9 (訂正依頼・報告はこちら)

子どものディスレクシアの説明として、最も適切なものを1つ選べ。
  • 知的能力障害(精神遅滞)を伴う。
  • 生育環境が主な原因となって生じる。
  • 文字の音韻情報処理能力に問題はない。
  • 読字と同時に、書字にも障害がみられることが多い。
  • この障害のある人の割合は、言語圏によらず一定である。

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この過去問の解説 (2件)

01

ディスレクシアは文字の読み書きが困難となる学習障害の一種です。

例として文字がにじむ、かすむ等と認識してしまうことなどがあります。

選択肢1. 知的能力障害(精神遅滞)を伴う。

誤りです。

ディスレクシアとは、精神的な遅滞はないが文字の読み書きが困難となる状態のことです。

選択肢2. 生育環境が主な原因となって生じる。

誤りです。

ディスレクシアは生育環境ではなく、中枢神経系の障害によって読み書きの能力に障害が発生するとされています。

選択肢3. 文字の音韻情報処理能力に問題はない。

誤りです。

音韻情報処理は文字と音を結びつける、文字の羅列を単語と認識して読み方を探してくるといったプロセスのことです。

この処理は読字能力と関連するため、ディスレクシアでは音韻処理能力に問題はないという選択肢は不適切です。

選択肢4. 読字と同時に、書字にも障害がみられることが多い。

正解です。

ディスレクシアでは、読字のみの障害、書字のみの障害、読字と書字の両方の障害がみられるといった3つのパターンがあり、読字だけでなく書字の障害も多いです。

選択肢5. この障害のある人の割合は、言語圏によらず一定である。

誤りです。

ディスレクシアは音韻処理の問題をバックグラウンドとしているため、1つの文字に対して複数の読み方が存在するような複雑な言語を用いる地域では割合が高くなります。

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02

ディスレクシアとは、限局性学習障害の一つで、文字を読んだり書いたりすることの障害を指します。では、問題を見ていきましょう。

選択肢1. 知的能力障害(精神遅滞)を伴う。
  1. DSM-5において限局性学習障害は「知的発達に遅れはない」と定義されています。

選択肢2. 生育環境が主な原因となって生じる。
  1. 後天的な環境ではなく、先天的なものが原因と言われています。

選択肢3. 文字の音韻情報処理能力に問題はない。
  1. 音韻情報処理とは、言葉の読み(音)と書かれた文字とが合致し、意味を持ったまとまりとして認識される処理の過程です。ディスレクシアはこの音韻情報処理能力に問題があることが多いと言われています。

選択肢4. 読字と同時に、書字にも障害がみられることが多い。
  1. 書字の障害には、「同じ文字を書き写すことができない」「文字が枠からはみ出てしまう」等の視覚情報処理の問題を抱える場合があります。しかし、音韻情報処理能力に問題がある場合は、「聞いた音を書き留める」(=メモをとる)作業に困難を生じやすいです。よってこれが正解です。

選択肢5. この障害のある人の割合は、言語圏によらず一定である。
  1. 言語圏によって、言葉の特徴は変わります。「音韻」が優位の言語もあれば、「文字」が優位の言語もあります。例えば、日本語の「漢字」は視覚によって認知しやすく、英語に比べて音韻の影響を受けにくいという説があります。よって、ディスレクシアの割合も言語圏によって異なってきます。

まとめ

発達障害の問題は頻出です。押さえておきましょう。

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