公認心理師 過去問
第5回 (2022年)
問38 (午前 問38)

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問題

公認心理師試験 第5回 (2022年) 問38(午前 問38) (訂正依頼・報告はこちら)

生物心理社会モデルに関する説明として、誤っているものを1つ選べ。
  • 心理的要因には、感情が含まれる。
  • 生物的要因には、遺伝が含まれる。
  • 社会的要因には、対処行動が含まれる。
  • 多職種連携の枠組みとして用いられる。
  • 生物医学モデルへの批判から提案されたモデルである。

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この過去問の解説 (3件)

01

この問題の正解は、社会的要因には、対処行動が含まれる。 です。

各選択肢については以下の通りです。

選択肢1. 心理的要因には、感情が含まれる。

感情のほかに、ストレス、認知、パーソナリティ、信念などが含まれます。

選択肢2. 生物的要因には、遺伝が含まれる。

遺伝のほかに脳、身体、細胞などが含まれ、生物学的な器質・機能に関する要因です。

選択肢3. 社会的要因には、対処行動が含まれる。

対処行動とはストレスを乗り越えるための行動のことで、心理的要因に含まれます。

選択肢4. 多職種連携の枠組みとして用いられる。

生物心理社会モデルは、疾患の原因を器質など生物的なものに限定していた既存の考え方に対して、精神的・社会的な要因も含めた視点からの追求を促すものであり、多職種連携の土台として適当といえます。

選択肢5. 生物医学モデルへの批判から提案されたモデルである。

1970年代にエンゲルがその論文"The Need for a New Medical Model: A Challenge for Biomedicine"において提案しました。

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02

生物心理社会モデル(BPSモデル)とは、人間の抱えるさまざまな問題や疾患を総合的に捉えようとするモデルです。では一つずつ見ていきましょう。

選択肢1. 心理的要因には、感情が含まれる。
  1. 心理的要因には、認知や感情、ストレスなどが含まれます。

選択肢2. 生物的要因には、遺伝が含まれる。
  1. 生物的要因には、身体、遺伝、神経などが含まれます。

選択肢3. 社会的要因には、対処行動が含まれる。
  1. 社会的要因には、経済的な状況や社会的リソースなどが含まれます。「対処行動」は含まれないので、この選択肢が誤りです。

選択肢4. 多職種連携の枠組みとして用いられる。
  1. 生物心理社会のそれぞれの側面に、それぞれの専門家が連携しつつアプローチすることで、総合的な問題解決を図るモデルです。

選択肢5. 生物医学モデルへの批判から提案されたモデルである。
  1. 生物医学モデルは「生物」の側面(主に身体)を重視してきましたが、それに替わるモデルとして生物心理社会モデルが提案されました。

まとめ

他職種との連携において、このモデルは欠かせないものです。押さえておきましょう。

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03

 この問題の正答は「社会的要因には対処行動が含まれる」です。

 生物心理社会モデル(BPSモデル)は、ジョージ・エンゲルが1970年代に提唱したもので、精神疾患をはじめとする病気は一つの原因によって引き起こされるのではなく、複数の要因の相互作用によって引き起こされていると捉えます。

選択肢1. 心理的要因には、感情が含まれる。

 心理的要因には、感情のほかに、認知や知能など個人的な要因が含まれます。

選択肢2. 生物的要因には、遺伝が含まれる。

 生物的要因とは、体の構造的な要因を指し、遺伝のほかに、脳や臓器などの状態も含まれます。

選択肢3. 社会的要因には、対処行動が含まれる。

 誤りです。社会的要因とは、その人を取り巻く環境についての要因で、サポート体制なども含みます。対処行動は、問題に対して個人がどのように対応するのかということなので心理的要因に含まれます。

選択肢4. 多職種連携の枠組みとして用いられる。

 生物・心理・社会と3つの側面からアセスメントを行うことができるため、それぞれの分野の専門職が行うアプローチが明確になりやすく、包括的な治療や支援につながります。

選択肢5. 生物医学モデルへの批判から提案されたモデルである。

 このモデルが提唱される以前は生物医学モデルが主流でしたが、ジョージ・エンゲルは、病気を生物学的な異常であるという観点のみからしか理解しない点を批判し、心理的要素や社会的要素も考慮するBPSモデルこそが医学にとって正しいモデルであると主張しています。

 それは論文のタイトル「The need for a new medical model:a challenge for biomedicine (Engel,1997)」からもうかがえます。

まとめ

 BPSモデルは現在の主流なモデルですので、多機関連携を行う際の共通言語となり得ます。関係機関にBPSモデルによるアセスメントを伝えることで、クライエントの問題を自分一人で抱えず、包括的な支援へとつなげることが可能になると考えられます。

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