公認心理師 過去問
第5回 (2022年)
問39 (午前 問39)

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問題

公認心理師試験 第5回 (2022年) 問39(午前 問39) (訂正依頼・報告はこちら)

アクセプタンス&コミットメント・セラピー〈ACT〉の説明として、誤っているものを1つ選べ。
  • 第3世代の行動療法と呼ばれる。
  • 「今、この瞬間」との接触を強調する。
  • 心理的柔軟性を促進させることを目指す。
  • 理論的背景として対人関係理論に基づいている。
  • 価値に基づいた行動を積み重ねていくことを重視する。

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この過去問の解説 (3件)

01

この問題の正解は、理論的背景として対人関係理論に基づいている。 です。

ACTは、不安な感情や思考を制御するのではなく、コアプロセスを経てそれらがもたらす行動を変化させ、行動に対する心理的柔軟性を高めることを目的とした手法です。

第一世代の行動療法、第二世代の認知療法と行動療法のハイブリッドに次ぐ第三世代の認知行動療法とされています。

ACTにおける6つのコアプロセスの中には、今、この瞬間」との接触価値に基づいた行動を積み重ねていくことが含まれています。

選択肢4. 理論的背景として対人関係理論に基づいている。

対人関係理論はサリヴァンによって提唱され、これに基づく手法は対人関係療法です。

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02

ACTとは、自分の中のネガティヴな感情を否定せず、ありのまま受け入れる作業を通して、心理的な柔軟性や、価値(自分にとって大切なもの)を獲得していくセラピーです。マインドフルネスなどの新しい技法も取り入れており、「第3世代の行動療法」とも言われます。以上の説明に当てはまらないのは、「対人関係理論に基づいている」という選択肢です。

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03

 正答は「理論的背景として対人関係理論に基づいている」です。

 ACTは認知行動療法(マインドフルネス)の一種で、関係フレーム理論(RFT)が理論的基盤とされています。

選択肢1. 第3世代の行動療法と呼ばれる。

 正しいです。

 第3世代の認知行動療法は、認知機能やそのプロセスに重点を置いて治療するという特徴があり、ACTのほかにマインドフルネスなども含まれます。

 なお、第一世代はレスポンデント条件付けやオペラント条件付けを基にした行動療法的な志向が強く、暴露療法や系統的脱感作法がそれにあたります。それまでの行動療法に認知療法を加えたものが第二世代です。

選択肢2. 「今、この瞬間」との接触を強調する。

 正しいです。ACTには、「受容(acceptance)」、「脱フュージョン(defusion)」、「拡張(Expansion)」、「今この瞬間の接触(getting in cintant with the present moment)」、「文脈としての自己(self-as-context)」、「価値(Values)」、「コミットされた行為(committed action)」の6つコアプロセスがあります。

選択肢3. 心理的柔軟性を促進させることを目指す。

 正しいです。心理的柔軟性とは、「今、この瞬間への気づきを得つつ、ありのままの自分を受け入れながら、自分にとって価値のある行動を起こす力」のことで、心理的柔軟性を広げることでクライエントが自分の価値に基づいた行動を取れるようになります。

選択肢4. 理論的背景として対人関係理論に基づいている。

 誤りです。対人関係論とは、サリヴァンの提唱した精神病理に関する理論体系です。人格の発達は対人関係における経験によってなされるという考え方で、精神病理も対人関係の失調として捉えられています。

選択肢5. 価値に基づいた行動を積み重ねていくことを重視する。

 正しいです。ACTの6つのコアプロセスの「価値」と「コミットされた行動」は、自身の人生の価値を明確にし、それに基づいた行動を一貫して取り続けることです。

まとめ

 ACTは、1980年代にスティーブンヘイズ(Steven C.Hayes)らによって開発されました。

 ACTは、うつ病や不安障害など様々な状況で治療に用いられる認知行動療法で、現在の苦痛を受け入れ、自分の人生における価値や目標を明確にし、それに基づいて行動していくように支援します。

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