公認心理師 過去問
第5回 (2022年)
問53 (午前 問53)

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問題

公認心理師試験 第5回 (2022年) 問53(午前 問53) (訂正依頼・報告はこちら)

ナラティブ・アプローチで用いられるナラティブの概念の説明として、適切なものを2つ選べ。
  • ABCシェマの形式をとる。
  • 内容であると同時に行為も意味している。
  • 人間の認識形式の1つに位置付けられる。
  • 一般的な法則を探求するための手がかりとなる。
  • 語り手や環境とは切り離された客観的な現実を示すものである。

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この過去問の解説 (3件)

01

ナラティブアプローチは、自分自身を再構築し、より良い未来を創造するために、自分自身の物語を探究することに焦点を当てた手法です。自分自身の物語を探求することで、自分に対する理解が深まり、問題を克服するために必要な洞察や知識が得られます。

選択肢1. ABCシェマの形式をとる。

ABCスキーマは、認知行動療法における思考や感情、行動のパターンを理解し、変化を促すためのフレームワークの一つです。ABCとは、それぞれの頭文字を表すもので、以下のように解釈されます。

  • A (Activating event): 問題やストレスを引き起こす刺激や出来事
  • B (Belief): Aに対する自分自身の信念や考え方
  • C (Consequence): Bに基づく自分自身の感情や行動

選択肢2. 内容であると同時に行為も意味している。

正解です。ナラティブアプローチは、行動の関係についても考慮しています。物語は、人々が自分自身に対して持つ信念や価値観、そして過去や現在の出来事に対する解釈を反映します。自分自身を中心に物語を作り上げることで、自分自身に対する考え方や行動が変わると考えられています。

選択肢3. 人間の認識形式の1つに位置付けられる。

正解です。人間は、自分自身や周りの世界について、物語やストーリーとして認識することがあります。ナラティブアプローチは、このような人間の認識形式を活用して、自己理解や自己成長を促す心理療法のアプローチとして位置付けられます。

選択肢4. 一般的な法則を探求するための手がかりとなる。

ナラティブアプローチは、主観的な解釈やバイアスが存在する可能性があるため、一般的な法則や原因と結果の関係を明確に示すことができない場合があります。

選択肢5. 語り手や環境とは切り離された客観的な現実を示すものである。

ナラティブアプローチでは語り手の主観や価値観が反映されるため、客観的な現実を示すものではありません。

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02

ナラティブアプローチに関する問題です。

選択肢1. ABCシェマの形式をとる。

ABCシェマは、アルバート・エリスの提唱した論理療法の概念です。

選択肢2. 内容であると同時に行為も意味している。

正解です。ナラティブアプローチでは、ドミナントストーリー(クライエントを支配している物語)をオルタナティブストーリー(望ましく書き換えられた物語)にすることで、クライエントが主体的に自分の人生を生きることができるようにする。

選択肢3. 人間の認識形式の1つに位置付けられる。

正解です。ナラティブアプローチは社会構成主義を背景としています。社会構成主義は、人は自身のもつ認識の枠組みや知識を使い主観的に意味を構成し、世界を作り上げていると捉えます。

選択肢4. 一般的な法則を探求するための手がかりとなる。

ナラティブアプローチは社会構成主義を背景としています。社会構成主義は、人は自身のもつ認識の枠組みや知識を使い主観的に意味を構成し、世界を作り上げていると捉えます。そのため、一般的な法則を探求することは難しいと思わえます。

選択肢5. 語り手や環境とは切り離された客観的な現実を示すものである。

ナラティブアプローチは社会構成主義を背景としています。社会構成主義は、人は自身のもつ認識の枠組みや知識を使い主観的に意味を構成し、世界を作り上げていると捉えます。客観的な事実というよりむしろ、主観的な事実を示すものです。

まとめ

心理的アプローチが何を元に発展してきたのか整理して理解しておくと良いでしょう。

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03

 ナラティブアプローチにおいては、物語がどのように構築されるか、その語りや個人や社会にどのような影響を与えるかを探ることを重視されます。

選択肢1. ABCシェマの形式をとる。

 不適切です。ABCシェマは、認知心理学で使われるモデルですが、ナラティブとは異なります。ナラティブ・アプローチは出来事や経験を物語として意味付ける過程に焦点を当てており、特定の形式に限定されるものでありません。

選択肢2. 内容であると同時に行為も意味している。

 適切です。ナラティブとは、語りの内容だけでなくクライエントが物語る行為そのものも意味しており、その語りが自己認識や行動にどのような影響を与えるかを査定することは重要な要素になります。

選択肢3. 人間の認識形式の1つに位置付けられる。

 適切です。人は出来事を単なる事実ではなく、物語として意味付け、それを基に行動や価値観を形成するとされています。そのため、ナラティブは人間が出来事をどのように理解し、世界をどのように認識しているか明らかにすることにつながると考えられます。

選択肢4. 一般的な法則を探求するための手がかりとなる。

 不適切です。ナラティブは具体的な経験や文脈に基づいて独自の意味を見出すものであり、一般的な法則よりも個別的な理解や解釈を重視します。

選択肢5. 語り手や環境とは切り離された客観的な現実を示すものである。

 不適切です。ナラティブは語り手の考えや価値観、文脈と密接に結びついているため、客観的な現実を示すというよりも、むしろ、主観的に構築されるものです。

まとめ

 ナラティブ・アプローチは臨床場面だけでなく、教育場面でも広い分野で応用されています。その他の認知行動療法との違いを抑えておくことが重要になります。

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