公認心理師の過去問
第5回 (2022年)
午前 問64
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問題
公認心理師試験 第5回 (2022年) 午前 問64 (訂正依頼・報告はこちら)
14歳の女子 A、中学2年生。1学期に学校を休むことが多かったことを心配した母親 Bに連れられ、夏休みに小児科を受診した。Bによると Aは、5月の連休明けから頭が痛いといって朝起きられなくなり、遅刻が増えた。めまい、腹痛、立ちくらみがあるとのことで、6月からは毎日のように学校を休むようになった。家では、午後になっても身体がだるいとソファで横になって過ごすことが多い。しかし、夕方からは友達と遊びに出かけ、ゲームやおしゃべりに興じることもある。排便によって腹痛が改善することはないという。
Aの状態の理解として、最も適切なものを1つ選べ。
Aの状態の理解として、最も適切なものを1つ選べ。
- 不安症
- 統合失調症
- 過敏性腸症候群
- 起立性調節障害
- 自閉スペクトラム症
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この過去問の解説 (2件)
01
精神医学領域の設問です。
不適切です。
不安症の症状に関する記述が設問中には見当たりません。
不適切です。
統合失調症の症状に関する記述が設問中には見当たりません。
不適切です。
腹痛を訴える記述があり、過敏性腸症候群を選択してしまいそうですが、最後の一文「排便によって腹痛が改善することはないという」により、過敏性腸症候群ではないと判断できます。
適切です。
起立性調節障害(OD)とは、立ちくらみやめまい、倦怠感、動悸、頭痛、腹痛などの症状を伴う、思春期(10~16歳頃)に好発する自律神経機能不全の一つです。
これらの症状は朝(午前)に強く現れ、午後からは軽快していきます。軽快してからは趣味やゲームを楽しむこともできるため、周囲からは「怠け」「気持ちの問題」などといわれ誤解されてしまうこともあります。小学生の約5%、中学生の約10%の児童・生徒が起立性調節障害といわれています(100万人程度)。ODといわれる児童・生徒の約半数が不登校状態となっています。
設問中の女子Aの状態は、起立性調節障害に当てはまります。
不適切です。
設問中に自閉症スペクトラム症の特性などの記述は見当たりません。
起立性調節障害は不登校問題にも関係します。症状などについて理解をしておく必要があります。
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02
選択肢の各症状について押さえておきましょう。
不安症とは、特定の対象や場所、日常生活での出来事などに対して、過度な不安と恐怖を感じる症状です。動悸やめまい、心拍数の増加、発汗などの身体症状を伴います。Aは何かにおびえている様子はないため、不正解です。
統合失調症とは、精神機能の働きをまとめることが難しくなる疾患です。通常は聞こえない幻聴や妄想などの陽性症状と、思考や発言がまとまらない、異常な運動行動といった陰性症状があります。Aの場合は、統合失調症の症状はないため不正解です。
過敏性腸症候群とは、検査では腸に炎症などの異常がみられないにも関わらず、慢性的に腹痛や下痢などの便通の異常を感じる症候群です。精神的ストレスや自律神経失調などが原因と考えられます。Aは腹痛の症状はみられるものの、めまいや立ちくらみ、だるさといった症状があるため、過敏性腸症候群ではないといえます。
起立性調節障害とは、自律神経系の異常で、立ちくらみ、腹痛、倦怠感などの症状がみられます。思春期には健常な子どもでも自覚することがしばしばあり、朝起きられないことから不登校に繋がることもあります。Aの症状から、起立性調節障害が当てはまるといえます。よって正解です。
自閉スペクトラム症は、視線が合わない、会話が続けられないといった社会的コミュニケーションに障害があり、同じ行動を繰り返したり、こだわりが強いといった症状がみられます。Aの場合、こういった症状はみられないため不正解です。
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