公認心理師の過去問
第5回 (2022年)
午後 問12
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問題
公認心理師試験 第5回 (2022年) 午後 問12 (訂正依頼・報告はこちら)
ある実験において、写真に写った本人は左右反転の鏡像をより好み、その友人は同じ人の正像をより好むという結果が得られたとする。この結果を説明する心理学概念として、最も適切なものを1つ選べ。
- 傍観者効果
- 単純接触効果
- ピグマリオン効果
- 自己中心性バイアス
- セルフ・ハンディキャッピング
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この過去問の解説 (3件)
01
自分で自分の姿を見る際は鏡に映った姿である鏡像を見る場合が多く、他者が自分を見る際はそのままの姿である正像を見る場合が多いです。この実験の結果から、本人と友人がそれぞれよく見慣れている姿を好むということが分かります。この解釈と合う心理概念を選択しましょう。
傍観者効果とは、手助けが必要な状況を目撃した際に、自分以外にも多くの人がその状況を目撃していると援助行動を起こさなくなる集団心理のことをいいます。今回の実験の結果を説明する現象ではないため、不正解です。
単純接触効果とは、最初は興味がなかったものでも、繰り返し見たり聞いたりすると好感をもつようになるという現象です。今回の実験結果は、繰り返しよく見ている姿を好むという現象のため、単純接触効果で説明が可能です。
ピグマリオン効果とは、他者から期待されると成績が向上するという現象のことをいいます。ローゼンタールが行った実験では、小学校の学級担任に対して無作為に選んだ子どもたちを、今後成績が伸びる子たちだと伝えたところ、数か月後に確かに成績が伸びたと報告されています。ピグマリオン効果と今回の実験結果には関連がないため、不正解です。
自己中心性バイアスとは、自分の視点で相手の感情や心理を捉えてしまう現象のことをいいます。例えば自分の髪型が気に入らないと、他者も同じように自分の髪型が変だと思っていると考えてしまう例が当てはまります。今回の実験は自分の視点で相手の心理を判断している結果ではないため、不正解です。
セルフ・ハンディキャッピングとは、あることが失敗した場合の予防線として、自分にハンディキャップを負わせることをいいます。例えば、試験前にゲームや他のことに没頭してしまったり、「全く勉強していないんだよね」と周囲に発言したりすることが該当します。こちらも、今回の実験の結果とは関連がないため不正解です。
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02
他者と関わる場面での心の動きを研究する社会心理学では、さまざまな心の特徴や効果が研究されています。カウンセリングや研究において役立つ知識ですので、学んでおきましょう。
誤答です。傍観者効果とは、社会的な場面で事件や事故が起きた時に、自分以外にもその現場を見ている人がいた場合、事件や事故への対応に消極的になる傾向の事を言います。よって、この実験の説明には適していません。
正答です。単純接触効果は、同じ刺激を繰り返し見聞きすると、親近感や好感を持ちやすくなる事を言います。初めは興味がなかった、あまり良い印象を持っていなかったという場合でも、刺激に何度も接する事で、良い印象に変わっていきます。今回の実験についても、見慣れている鏡に映った自分の顔、つまり鏡像を好みやすいと説明する事ができます。
誤答です。ピグマリオン効果は、他者からの期待を感じる事によって、良い結果を出しやすくなる効果です。勉強、仕事、スポーツなどのあらゆる場面において、周囲からの適度な期待を受ける事により力を発揮しやすくなると考えられます。よって、この実験の説明には適していません。
誤答です。自己中心性バイアスとは、自分の知識や情報によって、他者の心や考えを捉えてしまう傾向を言います。幼い子供にとっては自然な事で、成長するにつれて、段々と相手の立場に立って考える事ができるように変わっていきます。よって、この実験の説明には適していません。
誤答です。セルフ・ハンディキャッピングは、何か失敗するとその理由を外に求め、成功すると裡に求めるような考え方です。外に理由を求めるとは、「問題が難しかったからテストの成績が悪かった。仕方ない(自分の努力不足ではない)」と、自分以外に理由を考える事です。内に求めるとは、「頑張って勉強したから成績が上がった。あの勉強法が良かったからだ」と、自分の努力などを成功の理由を考える事を言います。失敗した時に落ち込み過ぎないようにするため、心を守るための機能と考える事もできます。よって、この実験の説明には適していません。
上記のような社会心理学の効果は、意味だけでなく、具体例も併せて学んでおく事が大切です。理解が深まり、臨床場面でも活用しやすくなります。
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03
心理学の概念についての設問です。
傍観者効果とは、援助が必要とされる状況において、自分以外の他者が存在することで、援助が抑制されてしまうことです。
適切です。単純接触効果とは、繰り返し経験する人や事象に対して、好意が高まることです。この場合、繰り返し鏡に映る自分の顔について親近感を持ち、より好むと考えられます。
ピグマリオン効果とは、教師期待効果とも言われます。生徒に期待する気持ちを持って関わると、生徒も期待されていることを意識するため、成績が向上したという実験が知られています。
自己中心性バイアスとは、自分の視点で物事を考え過ぎてしまい、偏った思考パターンになることです。
セルフ・ハンディキャッピングとは、自分自身にハンデを課すことによって、失敗した時の言い訳をあらかじめ作っておくことです。
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