公認心理師の過去問
第5回 (2022年)
午後 問23

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

公認心理師試験 第5回 (2022年) 午後 問23 (訂正依頼・報告はこちら)

DSM−5における素行症/素行障害の説明として、適切なものを1つ選べ。
  • 素行症を持つ人の反抗や攻撃性は、反抗挑発症を持つ人よりも軽度である。
  • 素行症における虚偽性には、義務を逃れるためしばしば嘘をつくことが含まれる。
  • 診断基準にある重大な規則違反には、性行為の強制、ひったくり及び強盗が相当する。
  • 素行症は、発症年齢によって、小児期発症型、青年期発症型又は成人期発症型に特定される。
  • 問題行動歴のない者でも、被害者を死亡させる重大事件を起こした場合には、素行症と診断される。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

この問題の正解は、

素行症における虚偽性には、義務を逃れるためしばしば嘘をつくことが含まれる。 です。

各選択肢については以下の通りです。

選択肢1. 素行症を持つ人の反抗や攻撃性は、反抗挑発症を持つ人よりも軽度である。

誤りです。DSM-5によると、反抗挑発症の特徴は口論好き、易怒性などであるのに対して、素行症の特徴はいじめ、強迫や強盗、動物に対する残酷性など、より攻撃性の高いものです。

選択肢2. 素行症における虚偽性には、義務を逃れるためしばしば嘘をつくことが含まれる。

正解です。DSM-5によると、素行症の診断基準として虚偽性や窃盗があげられます。

選択肢3. 診断基準にある重大な規則違反には、性行為の強制、ひったくり及び強盗が相当する。

誤りです。DSM-5において、性行為の強制、ひったくり及び強盗は重大な規則違反ではなく、人や動物に対する攻撃性に該当します。

選択肢4. 素行症は、発症年齢によって、小児期発症型、青年期発症型又は成人期発症型に特定される。

誤りです。素行症の発症は少年、青年または特定不能とされています。

選択肢5. 問題行動歴のない者でも、被害者を死亡させる重大事件を起こした場合には、素行症と診断される。

誤りです。素行症の診断には、診断基準における行動のうち3つ以上が直近12か月以内にみられ、少なくとも1つが直近6か月以内にみられることが必要です。本選択肢の内容とは矛盾します。

参考になった数6

02

素行症の特徴についておさえておきましょう。

選択肢1. 素行症を持つ人の反抗や攻撃性は、反抗挑発症を持つ人よりも軽度である。

反抗挑発症とは、しばしば反抗的な態度や行動を示す子どもや青年に診断される障害です。軽度の素行症とみなされる場合もあるため、不正解です。

選択肢2. 素行症における虚偽性には、義務を逃れるためしばしば嘘をつくことが含まれる。

素行症における虚偽性は、頻繁に嘘をついたり、他人を欺いたりすることがあります。嘘をつく理由は、他人を欺くことで自分の利益を得たり、責任を回避したりすることが多いです。したがって、正解です。

選択肢3. 診断基準にある重大な規則違反には、性行為の強制、ひったくり及び強盗が相当する。

素行症の診断基準における重大な規則違反には、親の禁止を破りしばしば夜間に外出したり、長期にわたって家に帰らない、学校を怠けるといった行為が当てはまります。したがって、不正解です。

選択肢4. 素行症は、発症年齢によって、小児期発症型、青年期発症型又は成人期発症型に特定される。

小児期発症型は、10歳になるまでに素行障害の症状を発症することが特徴です。また、青年期発症型は、10歳以降に素行障害の症状を発症することが特徴です。成人期発症型というのはないため不正解です。

選択肢5. 問題行動歴のない者でも、被害者を死亡させる重大事件を起こした場合には、素行症と診断される。

素行症の診断基準には、「長期にわたって、社会的規範に反する行動が見られる」とあります。したがって、不正解です。

参考になった数3

03

素行症/素行障害とは、「他者の基本的人権または年齢相応の主要な社会的規範または規則を侵害することが反復し持続する行動様式(DSM-5)」を言います。

診断基準には、『人および動物に対する攻撃性』『所有物の破損』『虚偽性や窃盗』『重大な規則違反』について15の項目があり、少なくとも3つが過去12カ月以内に存在し、少なくとも1つは過去6ヵ月以内に存在したことによって診断されます。

 

では、選択肢を見てみましょう。

選択肢1. 素行症を持つ人の反抗や攻撃性は、反抗挑発症を持つ人よりも軽度である。

誤りです。

素行症を持つ人の言動は、取っ組み合いの喧嘩、凶器の使用、ひったくり、建物への侵入、放火、性行為の強要など、他者が傷つくようなことがあります。

反抗挑発症を持つ人の言動は、かんしゃくを起こす、怒りやすい、口論する、反抗する、人を苛立たせるなどの様子があり、素行症と比較すると軽度と考えられます。

選択肢2. 素行症における虚偽性には、義務を逃れるためしばしば嘘をつくことが含まれる。

正答です。

DSM-5には、「物または好意を得たり、または義務を逃れたりするためしばしば嘘をつく」と説明があります。

選択肢3. 診断基準にある重大な規則違反には、性行為の強制、ひったくり及び強盗が相当する。

誤りです。

『重大な規則違反』とは、親が禁止しても夜間に外出する、一晩中家を空ける、学校を怠けるなどの行為について記されています。

性行為の強要、ひったくり及び強盗については、『人および動物に対する攻撃性』の項目に含まれています。

選択肢4. 素行症は、発症年齢によって、小児期発症型、青年期発症型又は成人期発症型に特定される。

誤りです。

素行症は、『児童期発症型』『青年期発症型』『特定不能の発症年齢』を特定するようになっています。

『児童期発症型』は、10歳になるまでに特徴的な基準が少なくとも1つ発症している場合を言います。

『青年期発症型』は、10歳になるまでに特徴的な症状が認められない場合を言います。

『特定不能の発症年齢』は、素行症の基準は満たしているけれども、症状の出現時期が10歳より前か後かの判断するための十分な情報がない場合を言います。

選択肢5. 問題行動歴のない者でも、被害者を死亡させる重大事件を起こした場合には、素行症と診断される。

誤りです。

素行症の診断には、基準となる症状の少なくとも3つが12カ月以内に存在する、少なくとも1つが6ヵ月以内に存在するという記載があります

よって、1回の事件だけでは診断されません。

まとめ

2023年9月に、DSM-5-TRが発行されており、素行症/素行障害は『素行症』と疾患名が変更になっています。

公認心理師試験に向けて、新しい情報も取り入れながら勉強することが大切です。

参考になった数1