公認心理師の過去問
第5回 (2022年)
午後 問62

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問題

公認心理師試験 第5回 (2022年) 午後 問62 (訂正依頼・報告はこちら)

23歳の女性 A、会社員。高校時代にわいせつ行為の被害に遭った。大学卒業後、会社員となったが、今年の社員旅行の際に、仕事の関係者から性行為を強要されそうになり、何とかその場から逃げ出したものの、帰宅後に強い心身の不調を自覚した。その後3か月経っても症状が改善しないため、精神科受診に至った。同じような悪夢を繰り返し見ることが続き、よく眠れない。「このような被害に遭うのは、私が悪い」、「自分は駄目な人間だ」と話す。
Aの状態像を把握することを目的に、公認心理師が行う可能性のある心理的アセスメントとして、最も適切なものを1つ選べ。
  • CAPS
  • DN−CAS認知評価システム
  • JDDST−R
  • KABC−Ⅱ
  • TEG

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題の正解は、CAPS です。

各選択肢については以下の通りです。

選択肢1. CAPS

正解です。CAPSは、PTSD症状評価尺度で、本問で女性は性的被害によるPTSDの可能性が考慮されるので本方法の実施は適切といえます。

選択肢2. DN−CAS認知評価システム

誤りです。DN−CAS認知評価システムは、5歳から17歳までの子供の認知能力を評価するもので本問での実施は不適切です。

選択肢3. JDDST−R

JDDST−Rは、幼児の発達評価のためのスクリーニング検査で本問での実施は不適切です。

選択肢4. KABC−Ⅱ

KABC−Ⅱは、2歳から18歳までを対象として行われる認知処理と習得度を評価するもので本問での実施は不適切です。

選択肢5. TEG

誤りです。TEGは性格検査の一種で、本問での実施は不適切です。

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02

この問題では、まず女性Aの状況について整理する事が必要です。

女性Aは過去に性的な被害に遭っており、強いショックを受けた様子です。それからしばらく時間は過ぎていますが、似たような体験をした事がきっかけで心身に不調が生じています。その不調が長く続いており、健康的な睡眠がとれていない、自分自身を責めるような考え方を持ってしまうなど、生活へも影響が出ています。

現在の状態はPTSDの状態である事が推測されます。それを理解した上で、アセスメントの方法として適切なものを選択しましょう。

選択肢1. CAPS

正答です。

「CAPS」は、PTSD診断用構造化面接尺度であり、PTSDを診断するための尺度です。医療においても高い信頼があります。

よって、この事例について用いる事が適切と言えます。

選択肢2. DN−CAS認知評価システム

誤りです。

「DN-CAS認知評価システム」は、子ども(5歳0か月~17歳11か月)について、認知処理機能を評価するものです。

よって、この事例について用いる必要性はありません。

選択肢3. JDDST−R

誤りです。

「JDDST-R」は、改訂日本語版デンバー発達スクリーニング検査です。6歳までの児童の発達をみるものであり、この事例について用いる必要性はありません。

選択肢4. KABC−Ⅱ

誤りです。

「KABC-Ⅱ」は、子ども(2歳6か月~18歳11か月)の認知処理能力と基礎学力を測るものです。よって、この事例について用いる必要性はありません。

選択肢5. TEG

誤りです。

「TEG」とは、東大式エゴグラムの略称で、質問紙による性格検査です。15歳以上の方に実施する事ができます。ただし、この事例では、性格を測るよりもPTSDの可能性や状態を測る事が優先と言えますので、検査の選択としては不適切と考えます。

まとめ

心理検査の選択のためには、クライエントの年齢、状態を十分に確認した上で、何の目的で検査を実施するのか検討する事が重要です。心理検査の適用年齢、目的、方法などをよく理解し、クライエントに合わせて選択する事が求められます。

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