公認心理師の過去問
第5回 (2022年)
午後 問63
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問題
公認心理師試験 第5回 (2022年) 午後 問63 (訂正依頼・報告はこちら)
公認心理師 A。台風の被害が出たため、災害派遣チームの一員として避難所を訪れ、心理教育を目的に講習会を開くことになった。Aは、被災によるストレスについて講義をした後、一部の参加者が残って自発的な話し合いをもった。ある人が、「洪水で流された家があるが、自分の家は浸水もしなかった。申し訳ない」と涙ながらに語った。別の人は、「自分の家は浸水したが、家族は無事だった。家族に不明者がいるという話を聞くたびに、自分も罪の意識を感じる」と語った。二人の発言を、皆はうなずきながら聞いていた。
ここで生じているコミュニケーションについて、I. D. Yalomの集団療法の概念として、適切なものを1つ選べ。
ここで生じているコミュニケーションについて、I. D. Yalomの集団療法の概念として、適切なものを1つ選べ。
- 普遍性
- 愛他主義
- カタルシス
- 情報の伝達
- 希望をもたらすこと
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この過去問の解説 (2件)
01
この問題の正解は、普遍性 です。
各選択肢については以下のとおりです。
I. D. Yalomの集団療法には選択肢のものを含む11の治療的因子があります。
正解です。普遍性とは集団と接することで、自分に限った体験でないことに安心することです。2人の話を人々がうなずきながら聞くという本問の状況はこれと合致しています。
誤りです。役に立つ、助ける等の体験によって自身は必要とされていると感じ、自尊心が回復することです。本問の状況とは合致しません。
誤りです。苦しみなどの大きな感情を誰かに理解してもらうことで、心の調和に繋げることです。本問の状況とは合致しません。
誤りです。名前の通り、多くの人から有用な情報を得ることです。本問の状況とは合致しません。
誤りです。集団に所属するメンバーの再起する姿など集団が将来に向けての希望をを提供するということです。本問の状況とは合致しません。
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02
I.D.Yalomは、集団精神療法の理論的基礎を築いたアメリカの精神科医です。
集団精神療法が与える11の治療因子を示しています。
11の治療因子は、選択肢に挙げられている他に、「社会的適応技術の発達」「模倣行動」「初期家族関係の修正的繰り返し」「実存的因子」「グループの凝集性」「対人学習」があります。
正答です。
「普遍性」とは、いろいろな人と接する中で、「自分だけではない」という感覚を持ち、安心できる事を指します。
よって、この事例の状況を説明する概念として適切です。
誤りです。
「愛他主義」とは、集団の中で自分の言動が他者の役に立ち、喜ばれることによって、自分は必要とされていると感じることを言います。
よって、この事例の状況の説明としては適しません。
誤りです。
「カタルシス」とは、集団に受け入れられたと感じ、自身の感情について向き合い、語る事によって、心が癒されることを言います。
よって、この事例の状況の説明としては適しません。
誤りです。
「情報の伝達」とは、集団の中で、自分の困り事や病気についての対処法や役立つ情報を得ることを言います。
よって、この事例の状況の説明としては適しません。
誤りです。
「希望をもたらすこと」とは、集団の中で将来への希望を持てるような体験をし、前向きな気持ちを持てるようなことを言います。
よって、この事例の状況の説明としては適しません。
上記のような治療因子は、意図して集団精神療法を実施する場面でなくても、集団の中において起きる可能性があるものです。I.D.Yalomの概念の知識を持っておく事によって、集団場面で起きている事を理解しやすくなりますので、学んでおくと良いでしょう。
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