問題
DSM−5の診断基準から考えられる Aの病態として、最も適切なものを1つ選べ。
この問題の正解は、反応性アタッチメント障害/反応性愛着障害 です。
DSM-5によれば
反応性アタッチメント障害では苦痛な時でも子供はめったに安楽に反応しない。
この問題では、まず女児Aの特徴を整理しましょう。
女児Aは、知的な問題はない様子です。しかし、対人関係においては、交流を求めない、笑わないなど、年齢相応のコミュニケーションが難しい事が読み取れます。施設の担当職員(大人)に対しては、徐々に心を開いている様子が見られています。
この女児Aについて想定される病態を検討します。
誤りです。
「脱抑制型対人交流障害」の児童には、初対面の相手にもためらわずに近づく、初めての場所でも緊張感なく振る舞うなどの行動が見られます。子ども同士の関わりが苦手で、大人を求めやすい特徴もあります。また、認知機能や言語発達の遅れ、常同症(同じことを繰り返す)などの併存が認められる場合があります。
よって、児童Aについては、この病態は想定しにくいと言えます。
誤りです。
「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」とは、災害や事故などの大きなショックを受ける出来事を体験した後、1カ月以上が過ぎても、その体験を不意に思い出して強い不安を感じるなど、生活への支障がある状態を言います。
この女児Aは、身体的虐待やネグレクトを受けていますが、生活への大きな支障はない様子です。よって、児童Aについては、この病態は想定しにくいと言えます。
正答です。
「反応性アタッチメント障害/反応性愛着障害」の児童では、ポジティブな感情表現が非常に乏しい、大人に素直に甘えられない、他者へ対して過度に警戒するなどの特徴が見られます。また、苛立ちや悲しみ、不安を感じやすく、そのコントロールが難しい様子もあります。
この児童Aの見立てとして、選択肢の中では最も適していると考えられます。
誤りです。
「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)」とは、発達障害の一つとされ、コミュニケーションの難しさ、物事への強いこだわりなどの特徴があるものです。
よって、児童Aについては、この病態は想定しにくいと言えます。
誤りです。
「小児期発症流暢症(吃音)/小児期発症流暢障害(吃音)」の児童には、なめらかに会話する事が難しく、会話中にどもってしまう、止まってしまうなどの様子が見られます。
よって、児童Aについては、この病態は想定しにくいと言えます。
事例検討では、まずクライエントの状況について整理した上で、どのような障害や疾患で説明できるかを考えましょう。障害や疾患についての基礎知識を持ち、試験に臨む事が必要です。また、実際の臨床現場では、1つの可能性に絞るのでなく、さまざまな可能性を想定しながらアセスメントする態度が重要です。