公認心理師の過去問
第5回 (2022年)
午後 問68
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問題
公認心理師試験 第5回 (2022年) 午後 問68 (訂正依頼・報告はこちら)
24歳の女性 A。同居している男性Bから繰り返し暴力を受けている。ある日、怪我をしている Aを心配して友人が問い詰めたところ、Bから日常的に暴力を受けていると語ったため、Bとの関係を解消し、家を出るように勧めた。一時は、「関係を解消しようかな」と言っていた Aであったが、結局 Bとの関係を解消することはなく、再び暴力を受けることになった。その後も周囲が関係の解消や相談機関への相談を勧めたことで、一時家を離れることもあったが結局は Bの元に戻り、暴力を受けることを繰り返している。
このように暴力の被害者が、被害を受ける関係の中に留まり続ける現象を説明するものとして、最も適切なものを1つ選べ。
このように暴力の被害者が、被害を受ける関係の中に留まり続ける現象を説明するものとして、最も適切なものを1つ選べ。
- バウンダリー
- ハネムーン期
- 複雑性 PTSD
- サバイバーズ・ギルト
- トラウマティック・ボンディング
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この過去問の解説 (2件)
01
暴力を受け続ける被害者が、なぜ関係を解消できずに留まり続けるのか、その現象について、本文をのケースを見立てることと用語の理解が必要です。
バウンダリーとは、自分と他人の間に引く「境界線」のことを指します。
暴力被害者が自分に対する暴力を正当化してしまう場合、その原因の一つとして、バウンダリーが曖昧になっていることが挙げられます。
しかし、この問いの現象を説明するより適切な選択肢があります。
ハネムーン期とは、暴力を受け始めた直後に訪れる、被害者に対する加害者の「愛情表現」のことを指します。
この期間中に、加害者が過去の暴力を謝罪し、改善することを約束することがあります。
しかし、この問いの現象を説明するより適切な選択肢があります。
複雑性 PTSDとは、長期間にわたるトラウマ体験によって引き起こされる、PTSDの一種です。
暴力被害者は、加害者からの暴力によって常に恐怖心や不安感にさらされています。
本ケースの場合はより適切な選択肢があります。
サバイバーズ・ギルトとは、自分が生き残ったことに対して、罪悪感や恥感を感じることを指します。
暴力被害者は、自分が暴力から逃れられないことに対して、自己責任を感じたり、自己価値を下げたりすることがあります。
本ケースの場合はより適切な選択肢があります。
トラウマティック・ボンディングとは、加害者と被害者の間に、強い感情的な結びつきが生じることを指します。
暴力被害者は、加害者からの暴力を受けながら、同時に加害者からの愛情や支配によって束縛されています。
そのため、加害者を離れることが、非常に困難であると感じることがあります。
本ケースでは最も適切な選択肢と言えます。
事例問題とDV関連の知識が必要な問題でした。
DVに関する問題も毎年出題されますので、DV防止法を含め周辺知識をつけましょう。
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02
この問題の正解は、トラウマティック・ボンディング です。
各選択肢については以下の通りです。
誤りです。バウンダリーは、自身と他者を区別するための境界のことです。
誤りです。ハネムーン期とはドメスティックバイオレンスのサイクルにおいて、加害者が暴力をふるったのちに謝罪したり優しい態度をとったりする期間のことです。
誤りです。複雑性PTSDとは、長期に持続するトラウマ体験によって感情の調整が困難になってしまう状態のことです。
誤りです。サバイバーズ・ギルトとは事件や事故で生還した人が他の人が亡くなったが自身が生き残ったことに対して罪悪感を抱くことです。
正解です。虐待やドメスティックバイオレンスなど暴力をふるう加害者と被害者の間に生じる依存的な結びつきで、本問と一致します。
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