公認心理師 過去問
第5回 (2022年)
問147 (午後 問70)

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問題

公認心理師試験 第5回 (2022年) 問147(午後 問70) (訂正依頼・報告はこちら)

14歳の女子 A、中学2年生。元気がない Aの様子を心配した担任教師 Bからスクールカウンセラー Cに相談があった。Aは、おとなしく目立たない性格であり、成績は中程度である。学校生活では自信のない様子が目立つ。Cが Aと面接を行ったところ、次のことが分かった。中学2年生でクラス替えがあり、女子生徒の間ではすでにソーシャル・ネットワーキング・サービス〈SNS〉のグループが複数できていた。Aは孤立を感じ次第に登校が苦痛になってきた。厳格な親から SNSを禁止されており、いらいら感が高じ、自室にこもって、カッターで手首を傷つけるようになったという。
Cの初期の対応として、最も適切なものを1つ選べ。
  • 希死念慮の有無について Aに問うことは控える。
  • Aが手首を傷つけないよう Bに指導を依頼する。
  • 直ちに Aを精神科に紹介し、主治医の指示を待つ。
  • Aの自傷行為の習慣性についてのアセスメントを行う。
  • Bと連携して Aが SNSのグループに入れるよう、親に働きかける。

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この過去問の解説 (3件)

01

この問題の正解は、Aの自傷行為の習慣性についてのアセスメントを行う。 です。

各選択肢については以下の通りです。

選択肢1. 希死念慮の有無について Aに問うことは控える。

誤りです。Aについての問題は自殺の危険をはらんでおり、カウンセリングにおいて死にたいという意思を確認することは、その予防のためにも不可欠と考えられます。

選択肢2. Aが手首を傷つけないよう Bに指導を依頼する。

誤りです。手首を傷つけないようにという指導は、Aの孤立やそれによって生じる精神的な問題の根本的解決にはなりえず、不適切です。

選択肢3. 直ちに Aを精神科に紹介し、主治医の指示を待つ。

誤りです。Aについて、自傷行為に関する情報や精神状態を詳しく把握していないにもかかわらず、直ちに精神科に紹介することは最も適切な対応とは言えません。

選択肢4. Aの自傷行為の習慣性についてのアセスメントを行う。

正解です。Aの自傷行為の習慣性についてのアセスメントを行うことは、頻度による精神状態の分析など今後の対応を考えるうえで必要な情報を集めるためにも重要であるといえます。

選択肢5. Bと連携して Aが SNSのグループに入れるよう、親に働きかける。

誤りです。SNSのグループにまつわる対応は、Aの孤立やそれによって生じる精神的な問題の根本的解決にはなりえず、不適切です。

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02

この問題は中学2年生のAが自宅で自傷行為を行っているという状況に対して、スクールカウンセラーCが初期の対応として取るべき行動について問われています。以下では、選択肢ごとにそれぞれの解説を行います。

選択肢1. 希死念慮の有無について Aに問うことは控える。

希死念慮とは、自殺を意図する思考や感情を指します。この選択肢は希死念慮の有無についてAに問うことを控えることを示していますが、スクールカウンセラーとしては、Aの心の状態を確認することが重要です。そのため、この選択肢は最も適切なものではありません。

選択肢2. Aが手首を傷つけないよう Bに指導を依頼する。

この選択肢は、Aが手首を傷つけないように担任教師Bに指導を依頼することを示していますが、スクールカウンセラーCは、まずAの心の状態を把握して、適切なケアを行うことが求められます。そのため、この選択肢は最も適切なものではありません。

選択肢3. 直ちに Aを精神科に紹介し、主治医の指示を待つ。

この選択肢は、直ちにAを精神科に紹介し、主治医の指示を待つことを示していますが、現状ではAの心の状態について詳細な情報が得られていないため、この選択肢は最も適切なものではありません。

選択肢4. Aの自傷行為の習慣性についてのアセスメントを行う。

この選択肢は、Aの自傷行為の習慣性についてのアセスメントを行うことを示しています。スクールカウンセラーは、Aの心の状態を詳しく聞き取り、自傷行為の背景や頻度、その後の心の状態などを把握することが重要です。そのため、この選択肢が最も適切なものとなります。

選択肢5. Bと連携して Aが SNSのグループに入れるよう、親に働きかける。

この選択肢は、Bと連携してAがSNSのグループに入れるよう、親に働きかけることを示しています。しかし、現状ではAの心の状態について詳細な情報が得られていないため、この選択肢は最も適切なものではありません。

まとめ

スクールカウンセラーは、Aの心の状態を詳しく把握し、適切なサポートを提供することが求められます。アセスメントの結果次第では他機関への依頼や関係者への情報提供も必要になります。

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03

以下に解説します。

選択肢1. 希死念慮の有無について Aに問うことは控える。

希死念慮(自殺願望)の有無についてAに聞くことを避けるのは誤りです。自傷行為や自殺念慮があるかどうかの確認は、非常に重要です。自傷行為が見られる場合、心の中で自殺を考えている可能性もあります。このため、Aの状態を適切に把握するためには、希死念慮の有無を確認することが重要です。

選択肢2. Aが手首を傷つけないよう Bに指導を依頼する。

Aが自傷行為をしていることは重大な問題ですが、B(担任教師)が直接Aの自傷行為を管理することは限界があります。自傷行為の背景やその理由を理解し、適切にサポートするためには、スクールカウンセラー(C)が専門的なアセスメントを行い、その上で適切な対応策を講じることが必要です。Bに指導を依頼するだけでは不十分であり、専門家による支援が重要です。

選択肢3. 直ちに Aを精神科に紹介し、主治医の指示を待つ。

精神科への紹介をすぐに行うのは、Aの状態によっては適切な場合もありますが、この段階ではまず自傷行為の習慣性や心理的背景を理解するためにアセスメントを行うことが先決です。専門家の意見を仰ぐ前に、まずはスクールカウンセラーとして、Aの状態を詳しく評価し、その後必要に応じて精神科に紹介するかどうかを判断するべきです。

選択肢4. Aの自傷行為の習慣性についてのアセスメントを行う。

正解です。最も適切な初期対応は、Aの自傷行為の習慣性やその背景にある心理的要因について詳しくアセスメントを行うことです。自傷行為には感情の発散や心理的な緊張を和らげるために行っている場合も多く、その原因や頻度、他の症状(例えば不安や抑うつ症状)などを詳しく探る必要があります。

 

選択肢5. Bと連携して Aが SNSのグループに入れるよう、親に働きかける。

SNSのグループに参加できるように親に働きかけることは、Aの孤立感や孤独を解消するために有効な方法かもしれませんが、Aの自傷行為を引き起こす主な要因ではありません。まずは、Aの心理的な背景や自傷行為の動機を理解することが重要です。また、親がSNSを禁止している理由やその状況を考慮し、Aが健康的な方法でソーシャルなつながりを持つ支援を行うべきです。

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