問題
Aの主張について、G. M. Sykesと D. Matzaが提唱した中和の技術によって説明する場合、用いられている技術として、最も適切なものを1つ選べ。
この問題の正解は、責任の否定です。
本問で言われている中和の技術とは、犯罪行為の不適切な正当化のことです。
各選択肢については以下の通りです。
誤りです。Aは万引きをしたこと自体は認めており、加害の否定はされていません。
正解です。AはCのせいで仕方なくやったと述べており、万引きの責任を否定しています。
誤りです。被害者の否定とは、被害者が被害を受けて然るべきであるという考えのことで、本問のAには見られません。
誤りです。非難者への非難とは、自身に関して非難する人も問題行動を行っているため非難することはできないという考えのことで、本問のAには見られません。
誤りです。より高次な忠誠心への訴えは、自身の犯罪や問題行動は大義のためであると正当化することで、本問のAには見られません。
この問題では、16歳の女子Aが万引きをしたことをきっかけに、公認心理師Bが面接を行っています。Aは万引きの理由として、クラスメイトCがせがんできたためであると主張しています。
このような状況を中和の技術によって説明する場合、以下の選択肢から最も適切なものを選ぶ必要があります。
G. M. SykesとD. Matzaが1960年代に提唱した中和の技術とは、犯罪者が自分の行いを正当化するための様々な手段を持つという考え方です。これらの手段には、加害の否定、責任の否定、被害者の否定、非難者に対する非難、より高次な忠誠心への訴えが含まれます。
加害者自身が行った行為を否定することです。この場合、Aが実際に万引きを行っていることを否定することになりますが、Aは自らが万引きを行ったことを認めています。そのため、この選択肢は不適切です。
被害者や社会の期待に反して行動することを、自分に責任がないと主張することです。Aは、クラスメイトCが自分をせがんできたため、仕方なく万引きをしたと主張しています。そのため、Aが責任を持つことを否定していると考えられます。従って、この選択肢が正解となります。
被害者の存在や被害者の感情を無視することです。ここでの被害者とは盗難にあった店舗などになります。この場合、Aは万引きをした事自体の非を認めているため、この選択肢は不適切です。
「非難者に対する非難」とは、自分自身が問題行動を行っているため、自分を非難する人も同じように問題行動を行っていると非難することができないという考え方です。しかし、この問題のAにはこの中和の技術は見られません。
個人的な忠誠心や義務感を超えて、より高次な忠誠心や義務感に訴えかけることです。この場合、Aの主張には認められません。
今回の問題では、16歳の女子Aが万引きを行い、その理由としてクラスメイトCにせがまれたことを主張していました。中和の技術について知っていることで回答できますが、現場における支援の感覚で回答することができる事例問題とも言えます。