公認心理師の過去問
第6回 (2023年)
午前 問1
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問題
公認心理師試験 第6回 (2023年) 午前 問1 (訂正依頼・報告はこちら)
公認心理師が被面接者の同意を得ずに行うことで、秘密保持義務違反に該当するものを1つ選べ。
- 被面接者が配偶者から身体的暴力を受けているという事実を知り、警察に通報した。
- 面接で自殺念慮と具体的な準備を語った被面接者の家族に、切迫した危険を伝えた。
- 面接した児童が親から虐待を受けている可能性があると考え、児童相談所に通告した。
- 被面接者の信条に関わる問い合わせを被面接者の職場の上司から受け、面接で知り得た関連情報を伝えた。
- 面接した高齢者が、家族によって食事も十分に与えられず、脱水を起こしかけているという事実を知り、市町村に通報した。
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この過去問の解説 (2件)
01
職業倫理、秘密保持義務(守秘義務)に関する設問です。
誤りです。虐待が疑われる場合は秘密保持義務の例外とされています。
誤りです。自傷他害の恐れがある場合は秘密保持義務の例外とされています。
誤りです。虐待が疑われる場合は秘密保持義務の例外とされています。
正解です。
被面接者の同意なく、職場の上司という第三者に面接で知り得た情報を伝えることは秘密保持義務に反する行為です。
誤りです。虐待が疑われる場合は秘密保持義務の例外とされています。
公認心理師法第41条に秘密保持義務が定められています。
秘密保持義務の例外として以下5点があります。
①自傷他害の恐れがある場合
②虐待が疑われる場合
③ケースカンファレンスなど直接関わりのある専門家同士が話し合いをする場合
④法による定めがある場合や医療保険による支払いが行われる場合
⑤クライエントからの情報開示許可の明確な意思表示があった場合
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02
公認心理師の秘密保持義務については、公認心理師法第四十一条に定めがあります。
「公認心理師は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。公認心理師でなくなった後においても、同様とする」
この問題では、選択肢にある状況が、知り得た情報を他者や他機関へ明かす場合に、「正当な理由」に当てはまるかどうかが問われています。
では、選択肢を見てみましょう。
正当な理由と言えます。
「配偶者からの防止及び被害者の保護等に関する法律」第六条に、「配偶者からの暴力を受けている者を発見した者は、その旨を配偶者暴力支援センター又は警察に通報するよう努めなければならない」とあります。
よって、この選択肢の状況であれば、公認心理師が通報する事は適切な対応と考えられます。
正当な理由と言えます。
「個人情報の保護に関する法律」第二十七条では、個人情報取扱事業者が第三者へ個人情報を提供する際の制限について記されています。その中では、「特定の場合を除いては、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない」とあります。
「特定の場合」には、「人の生命、身体又は財産の保護のために必要ながある場合」と記されており、この選択肢の状況であれば、生命の保護のために情報を開示する事は適切な対応と考えられます。
正当な理由と言えます。
「児童虐待の防止等に関する法律」第六条では、「児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない」とあります。
よって、この選択肢の状況であれば、公認心理師が通告する事は適切な対応と考えられます。
誤りです。よって、この問題での正答となります。
被面接者の信条に関わる内容を他者へ開示する事は不適切です。
「個人情報の保護に関する法律」第二条においても、個人の信条は個人情報に値すると記されていますので、被面接者の同意なく第三者へ情報を提供してはなりません。
正当な理由と言えます。
「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」第七条では、「養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない」とあります。
よって、この事例の状況では、公認心理師が通報する事は適切な対応と言えます。
個人情報を守りながら支援を行う事は大変重要な事です。ただし、クライエント本人や周囲の人の生命に関わるような状況や思考を知った場合には、必要に応じて第三者や他機関と情報共有する事が大切です。1人での判断が難しい場合には、同僚や上司などの指示も仰ぎながら適切な対応をするよう努めましょう。
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