公認心理師の過去問
第6回 (2023年)
午後 問34

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

公認心理師試験 第6回 (2023年) 午後 問34 (訂正依頼・報告はこちら)

うつ病の症状として、最も適切なものを1つ選べ。
  • 思考途絶
  • 微小妄想
  • させられ体験
  • 物盗られ妄想
  • 睡眠欲求の減少

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (2件)

01

まず、うつ病によく見られる症状を整理しておきましょう。

精神症状として、次のようなものが生じます。

・落ち込んだ気分、抑うつ的な気分が続く。

・強いイライラや不安を感じる。

・興味や意欲がなくなる。楽しむ事ができない。

・思考力や集中力が低下する。疲れやすい。

・理由もなく自分を責める。自分はに価値がないと感じる(微小妄想)。

・死に対する思いを持つ。

身体症状として、次のようなものが生じます。

・頭痛、肩こり、めまい、耳鳴り、腰痛、発汗など。

・睡眠の障害(寝つきが悪い、早すぎる時間に目が覚めるなど)。

・食欲の低下。

・下痢や便秘。

また、朝は調子が悪いが、午後から夜になると回復するような日内変動も見られる事があります。

この問題の選択肢の中では、「微小妄想」が正答となります。

選択肢について詳しく見てみましょう。

選択肢1. 思考途絶

誤りです。

「思考途絶」は、統合失調症の症状の一つです。

思考が突然に中断、停止するような症状を言います。話していたのに突然黙ったり、唐突に話が始まったりする様子が見られます。

選択肢2. 微小妄想

正答です。

「微小妄想」は、うつ病の症状の一つです。

理由もなく自分を責める、自分には価値がないと感じる、自分を過小評価するような状態を言います。重い病気にかかっていると思い込む(心気妄想)、大きな罪を犯したと思い込む(罪業妄想)、経済的に苦労していると思い込む(貧困妄想)などがあります。

選択肢3. させられ体験

誤りです。

「させられ体験」は、「作為体験」とも呼ばれ、統合失調症に見られる症状です。

自分の意志ではなく、何かによって自分が支配されているような感覚になってしまう状態を指します。

選択肢4. 物盗られ妄想

誤りです。

「物盗られ妄想」は、認知症の方に見られる症状です。

誰かが自分のものを取ったと強く思い込んでしまう妄想です。財布、現金、宝石などの財産を盗られたと思い込む事が多いと言われます。

選択肢5. 睡眠欲求の減少

誤りです。

「睡眠欲求の減少」は、双極性障害の躁状態で見られる症状です。

非常に元気で、早い時間に目が覚めてしまう、眠りたいと思わなくなるような状態を言います。眠らなくても疲れを感じず、元気な状態がしばらく続く様子も見られます。

まとめ

うつ病は公認心理師がよく出会う疾患の一つです。基本的な症状や治療の必要性について、十分に理解しておきましょう。

病院以外の場で働く場合にも、公認心理師が症状を理解しておく事により、うつ病の可能性のある方を早期に見つける事ができる、早く医療につなぐ事ができるなど、多くの人の健康保持に役立てる事ができます。

参考になった数7

02

DSM5に記載されているうつ病の診断基準となる症状は次の9つです。

①抑うつ気分

②興味・喜びの減退

③食欲の減退または増加

④不眠または睡眠過多

⑤精神運動性の焦燥または制止

⑥易疲労性または気力の減退

⑦無価値観または罪責感

⑧思考力や集中力の減退

⑨死についての反復志向

各選択肢を見ていきましょう。

選択肢1. 思考途絶

思考の流れが止まってしまう状態で、統合失調症の症状の一つです。

選択肢2. 微小妄想

自分を無価値な存在と考え、実際よりも低く評価し劣っていると思い込む妄想です。

代表的なものに心気妄想、罪業妄想、貧困妄想があります。

選択肢3. させられ体験

作為体験とも呼び、自分の思考や行動が他人にあやつられていると感じる体験です。

統合失調症の症状の一つです。

選択肢4. 物盗られ妄想

現金や財布など大事なものを盗まれたと思い込むことで、認知症で生じやすい妄想です。

選択肢5. 睡眠欲求の減少

双極性障害の躁状態で多くみられる症状で、眠らなくても活気に満ちて行動でき、眠りたいと思わなくなる状態です。

参考になった数3