公認心理師 過去問
第8回(2025年)
問54 (午前 問54)

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問題

公認心理師試験 第8回(2025年) 問54(午前 問54) (訂正依頼・報告はこちら)

心理的支援の過程で、自分が担当した要支援者が描いた描画データを量的に分析し、研究する場合の対応として、不適切なものを1つ選べ。
  • 研究参加者が自分の同意を撤回する機会を保証する。
  • 研究参加者の同意がある場合には、倫理審査委員会の審査を受けずに研究する。
  • 研究参加者が子どもであり、代諾者から同意を得る場合でも、当人の理解を得る努力をする。
  • 支援の記録としての観点とは別に、研究データとしての観点から保管方法と廃棄方法を定める。

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この過去問の解説 (2件)

01

正解は「研究参加者の同意がある場合には、倫理審査委員会の審査を受けずに研究する」です。

この問題は心理学の研究倫理に関するもので、自分が担当した要支援者は研究参加者、要支援者の描いた描画データは個人情報となるため、その取扱いについての倫理を理解しておく必要があります。

 

選択肢1. 研究参加者が自分の同意を撤回する機会を保証する。

適切です。研究にたずさわる者は、研究参加者の心身の安全に責任を持ち、その意思を尊重する必要があります。

そのため、同意の上で研究に参加したとしても、その同意を撤回することができるように配慮する必要があります。

選択肢2. 研究参加者の同意がある場合には、倫理審査委員会の審査を受けずに研究する。

不適切です。倫理審査委員会は、研究にたずさわる者が、個人の尊厳や基本的人権を尊重しながら、安心・安全に研究を行っているかを審査する組織として設置されています。そのため、研究参加者の同意がある場合においても、研究倫理が守られているかどうかを中立的に判断するために、倫理審査委員会の審査を受けた上で研究をすることが求められます。

選択肢3. 研究参加者が子どもであり、代諾者から同意を得る場合でも、当人の理解を得る努力をする。

適切です。研究参加者がどのような対象であったとしても、当人によるインフォームドコンセントが求められます。そのため、研究参加者当人からの同意を得ることがまず第一に求められ、それが難しい場合等に代諾者の同意により研究を進めることとなりますが、代諾者からの同意を得られるから当人からの同意は必要ない、ということにはなりません。

選択肢4. 支援の記録としての観点とは別に、研究データとしての観点から保管方法と廃棄方法を定める。

適切です。研究に関する倫理的配慮として、研究データに関する保管方法、研究終了後のデータの廃棄については定めておくことが求められています。

まとめ

心理的支援の実践の中で、その支援過程や研究データを分析したり、研究することは時折ありますが、その際には心理学に関する研究倫理を守った上で実施することが必要です。心理学の研究倫理と遵守事項については、一度目を通しておくと良いでしょう。

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02

心理学・臨床心理学の研究倫理の観点から整理して解説します。

選択肢1. 研究参加者が自分の同意を撤回する機会を保証する。

インフォームド・コンセントの基本原則です。
研究参加者はいつでも同意を撤回できる権利があり、撤回しても不利益を受けないことが保証されるべきです。

選択肢2. 研究参加者の同意がある場合には、倫理審査委員会の審査を受けずに研究する。

参加者の同意があっても、人を対象とする研究は必ず所属機関などの倫理審査委員会(IRB)の承認を得る必要があります。

選択肢3. 研究参加者が子どもであり、代諾者から同意を得る場合でも、当人の理解を得る努力をする。

子どもなど判断能力が十分でない参加者の場合、保護者など代諾者の同意に加えて、本人の理解・同意を可能な限り得ることが推奨されます。

選択肢4. 支援の記録としての観点とは別に、研究データとしての観点から保管方法と廃棄方法を定める。

支援記録と研究データでは保存期間や匿名化の必要性が異なるため、それぞれの観点から適切な管理規程を定める必要があります。

まとめ

同意があっても倫理審査は必須であり、省略は許されません。

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