一級建築士の過去問
平成27年(2015年)
学科4(構造) 問98

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問題

一級建築士試験 平成27年(2015年) 学科4(構造) 問98 (訂正依頼・報告はこちら)

コンクリートに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 高強度コンクリートの温度ひび割れの防止対策として、水和熱の小さい中庸熱ポルトランドセメントを使用した。
  • 設計基準強度80N/mm2以上の高強度コンクリートの火災時の爆裂防止対策として、コンクリート中に有機繊維を混入した。
  • 凍結融解作用を受けるコンクリートの凍害対策として、AEコンクリートとし、空気量を4.5%とした。
  • 計画供用期間の級が「長期」のコンクリートの練混ぜ水に、コンクリートの洗浄排水を処理して得られた上澄水を用いた。

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この過去問の解説 (3件)

01

1.設問の通り。
温度ひび割れとは、セメントの水和発熱および自己収縮に伴うコンクリートの体積変化が拘束されるために発生する温度応力により引き起こされるひび割れをいいます。
このコンクリートの体積変化=温度上昇を抑制する方法の一つに、水和発熱の小さいセメントを使用することができます。

2.設問の通り。
高強度コンクリートは、火災時の高温下で部材表層部の剥離や飛散といった爆裂破壊を起こすことがあります。それを防止するための一つの方法として、ポリプロピレンやビニロンの短繊維をコンクリートに混入させる方法があります。

3.設問の通り。
AEコンクリートの空気量は、一般に2%以下では耐凍害性の向上には効果がなく、また6%を越えると強度の低下や乾燥収縮が大きくなる傾向を示す。
また、空気量はコンクリートの種類、粗骨材の最大寸法等により規定されている。通常、粗骨材の最大寸法が20~40mmの普通コンクリートでは、4~7%を標準としています。

4.誤り。
 レディーミクストコンクリート工場の運搬車やミキサなどの洗い排水から、骨材を除いた水を回収水といいます。回収水は、セメントから溶出する水酸化カルシウム等を含むアルカリ性の高い上澄水と、スラッジ固形分(大部分が水和生成物で、一部骨材微粒子)を含むスラッジ水に分けられます。
計画供用期間が“長期”の級のコンクリートおよび高強度コンクリートでは回収水を使用しないよう定められています。

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02


1.設問の通りです。
高強度コンクリートを柱や梁などの比較的部材断面の大きい部材に打設すると、材齢初期に高温になるため、温度ひび割れが起きやすくなります。
このコンクリートの体積変化(=温度上昇)を抑制する方法の一つに、低発熱かつ材齢初期に高温になりにくい「中庸熱ポルトランドセメント」を使用することがあります。

2.設問の通りです。
高強度コンクリートは、火災時に爆裂破壊を起こすことがあります。耐火被覆を施す方法もあるが、ポリプロピレンやビニロン等の有機繊維をコンクリートに混入すると、火災時に溶けて空洞ができて熱応力を緩和するため、爆裂防止対策として有効となります。

3.設問の通りです。
AE剤を使用するとコンクリート中に微細な気泡が連行され、それがボールベアリングのように働いて軟らかくなり、ブリーディングが抑制され、一般にワーカビリティが向上する。また、気泡がクッションになり、凍結による圧力を吸収するので、凍結融解に対する抵抗性が増す。空気量は4.5%を標準としています。

4.誤りです。
計画供用期間の級が長期および超長期の場合は、回収水(上澄水やスラッジ水)を用いないよう定められています。レディーミクストコンクリート工場の運搬車やミキサなどの洗浄した排水から、骨材を除いた水を回収水といいます。

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03

1 〇
中庸ポルドランドセメントは水和反応に伴い発生する水和熱が少ないです。

2 〇
高強度コンクリートは組織が緻密なため、火災時は水分の膨張により、爆裂しやすいです。有機繊維は爆裂対策に有効な対策です。

3 〇
AE剤を用いるとコンクリートの空気量は、一般に4.5%を標準とします。

4 ×
長期・超長期の場合は処理水を用いてはいけません。

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