一級建築士の過去問
平成30年(2018年)
学科3(法規) 問57
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問題
一級建築士試験 平成30年(2018年) 学科3(法規) 問57 (訂正依頼・報告はこちら)
図のような敷地において、建築物を新築する場合、建築基準法上、A点における地盤面からの建築物の高さの最高限度は、次のうちどれか。ただし、敷地は平坦で、南側道路、西側道路及び東側隣地との高低差はなく、北側隣地より1.2m低いものとし、門、塀等はないものとする。また、図に記載されているものを除き、地域、地区等及び特定行政庁による指定、許可等並びに日影による中高層の建築物の高さの制限及び天空率に関する規定は考慮しないものとする。なお、建築物は、全ての部分において、高さの最高限度まで建築されるものとする。
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この過去問の解説 (3件)
01
それぞれの制限は法第56条に載っています。
道路斜線制限については道路が2以上ある場合、令132条の2以上の全面道路がある場合の緩和が適用されます。
道路幅員が広い方の幅員を、その幅員の2倍かつ35メートルの範囲内と前面道路の中心線から10m以降の範囲について、広い方の幅員が適用されます。
そのため、設問の敷地での西側道路斜線制限の全面道路は8mとなります。
また、建物が道路境界よりセットバックしているため道路斜線制限が緩和され、セットバックの距離だけ反対側の道路境界線をずらして計算します。
西側道路斜線斜線→(2m+8m+2m+14m-6m)×1.25=25.0m
南側道路斜線斜線→(2m+8m+2m+4m+4m)×1.25=25.0m
隣地斜線制限については、設問の地域が第二中高層住居専用地域なので、隣地境界線までの水平距離に1.25を乗じて、20mを加えます。
東側隣地斜線制限→(4m+6m)×1.25+20m=32.5m
北側斜線制限については、設問の地域が第二中高層住居専用地域なので、隣地境界線までの真北方向の水平距離に1.25を乗じて10mを加えます。
北側斜線制限→令第135条の4より、建築物の地盤面が北側の隣地の地盤面より1m以上低い場合、高低差から1mを減じたものの1/2だけ高い位置にあるものとみなします。
緩和地盤面=(1.2m-1.0m)×1/2=0.1m
(2m+12m-4m)×1.25+10m+0.1mm=22.6m
よって、A点における地盤面からの建築物の高さの最高限度は22.6mとなります。
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02
最高高さの計算項目は以下の通りです
[1.道路高さ制限](法第56条第1項第一号)
(1)全面道路幅員の確認(令第132条第1項、令第134条第1項、2項)
(2)点Aから道路の反対側の境界線までの水平距離Lの測定(法第56条第2項、令第130条の12)
(3)L>20→容積率の計算後適用距離Lの決定(法別表第3(は))
(4)斜線勾配の確認(法別表第3(に))
(5)高さの最高限度の確認
(6)道路と敷地の高低差の補正
[2.隣地高さ制限](法第56条第1項第二号)
(1)点Aから隣地境界線までの水平距離Lと建築物から隣地境界線までの最小後退距離aの測定(法第56条第1項第二号)
(2)高さ最高限度の計算(住居系or非住居系)
[3.北側高さ制限](法第56条第1項第三号)
(1)点Aから真北方向の水平距離Lの測定(隣地or道路)
(2)高さ最高限度の計算(低層or高層、地盤高さ)
[4.最高高さ]
1~3の最小値となります。
[1.道路高さ制限]
(1)
点Aは最大幅員の前面道路の境界線(南面)からその幅員(8m)の2倍(16m)以内かつ35m以内にあるので点Aにおける前面道路の幅員は最大幅員(8m)となります。
(2)
L(西側)=8+2+8+2=20m
L(南側)=8+2+8+2=20m
(3)
L<20より容積率によるLの補正はありません。
(4)
設問は住居系建築物より1.25を採用します。
(5)
H1=1.25×20=25(南面、西面共通)
(6)
前面道路と敷地に高低差は無いので補正はありません。
[2.隣地高さ制限]
(1)
L(東側)=10m
L(北側)=10m
a(東、北側のうち最小の方)=2m
(2)
住居系より1.25を採用
H2=(10+2)×1.25+20=35m
[3.北側高さ制限]
(1)
真北方向が隣地なので水平距離は点Aから隣地境界線までの距離となります。
L=10m
(2)
令第135条の4より建築物の地盤面が北側の隣地の地盤面より1m以上低い場合は高低差から1mを減じたものの1/2だけ高い位置にあるものとみなします。
H´=(1.2-1)×1/2=0.1m
設問は第二種中高層住居専用地域より
H3=1.25×10+10+0.1=22.6m
[4.最高高さ]
H1=25m
H2=35m
H3=22.6m
より最小値は
H=H3=22.6mとなり
正解は2となります。
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03
この問題は、建築基準法上の高さの制限に関する計算問題です。
解き方をしっかりマスターしておきましょう。
用途地域は第二種中高層専用地域であることから、「道路斜線制限」「隣地斜線制限」「北側斜線制限」による最高の高さをそれぞれ求めます。
【道路斜線制限による最高の高さ(法第56条第1項第一号)】
令第132条第1項より、下記事項を満たしていれば、2方向道路による緩和規定が適用できます。
■幅員の最大な前面道路の境界線からA点までの水平距離がその前面道路の幅員の2倍以内で、かつ、35m以内である。
■その他の前面道路の中心線からA点までの水平距離が10mを超えている。
南側道路(最大幅員側):道路境界線からA点まで 10m ≦ 8m × 2 = 16m かつ 35m
西側道路(その他の幅員側):道路境界線からA点まで 16m > 10m
よって、緩和規定を適用できることにより、全ての前面道路を8mとみなします。
法第56条第2項により、前面道路の境界線から建築物が後退している場合は、セットバックによる緩和規定が適用できます。
西側道路斜線制限による最高の高さ
A点までの水平距離 × 1.25 = (2m + 8m + 2m + 8m)×1.25 = 20m × 1.25 = 25m
南側道路斜線制限による最高の高さ
A点までの水平距離 × 1.25 = (2m + 8m + 2m + 8m)×1.25 = 20m × 1.25 = 25m
【隣地斜線による最高の高さ(法第56条第1項第二号イ)】
北側隣地斜線制限による最高の高さ
Aまでの水平距離 × 1.25 + 20m = (2m + 2m + 8m) × 1.25 + 20m = 15m + 20m = 35m
東側隣地斜線制限による最高の高さ
Aまでの水平距離 × 1.25 + 20m = (4m + 4m + 6m) × 1.25 + 20m = 17.5m + 20m =37.5m
【北側斜線制限による最高の高さ(法第56条第1項第三号)】
A点までの水平距離 × 1.25 + 10m = (2m + 8m)× 1.25 + 10m = 12.5m + 10m = 22.5m
令第135条の3第1項第二号により、敷地の地盤面が隣地の地盤面より1m以上低い場合、敷地の地盤面は、当該高低差から1m減じたものの1/2だけ高い位置にあるものとみなします。
22.5m + (1.2m − 1m) / 2 = 22.5m + 0.1m = 22.6m
以上より、求めた値の最小値が、A点の最高の高さとなります。
よって、A点の最高の高さ = 22.6m となります。
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