一級建築士の過去問
平成30年(2018年)
学科4(構造) 問84

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問題

一級建築士試験 平成30年(2018年) 学科4(構造) 問84 (訂正依頼・報告はこちら)

鉄筋コンクリート構造の保有水平耐力計算に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 柱の塑性変形能力を確保するため、引張鉄筋比ptを大きくした。
  • 梁の塑性変形能力を確保するため、崩壊形に達したときの梁の断面に生じる平均せん断応力度を小さくした。
  • 耐力壁の塑性変形能力を確保するため、崩壊形に達したときの耐力壁の断面に生じる平均せん断応力度を小さくした。
  • ラーメン架構と耐力壁を併用した建築物の構造特性係数Dsを小さくするため、保有水平耐力に対する耐力壁の水平耐力の和の比率buを小さくした。

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この過去問の解説 (3件)

01

1 誤。柱の塑性変形能力を確保するためには、せん断強度を高くし主筋を増やさないこと(主筋を増やすと曲げ破壊が起こりにくくなり、せん断破壊が先行して発生する可能性が高くなるため)が重要です。
引張鉄筋比ptを大きくすることは、主筋を増やすことになるので誤りです。

2 正。崩壊形に達したときの梁の断面に生じる平均せん断応力度τu/Fcは数値が小さいほど塑性変形能力が高くなります。

3 正。崩壊形に達したときの耐力壁の断面に生じる平均せん断応力度τu/Fcは数値が小さいほど塑性変形能力が高くなります。

4 正。保有水平耐力に対する耐力壁の水平耐力の和の比率βu=耐力壁・筋交いの水平耐力/保有水平耐力
βuが小さいと靱性が高くなるので、Dsを小さくすることができます。

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02

正解は1です。

1.設問の記述は誤りです。
引張鉄筋比を大きくすると、付着割裂破壊が生じやすくなるので、塑性変形能力は低下します。

2.設問の通りです。
梁の平均せん断応力度を小さくする場合、曲げ降伏後にせん断破壊に移行する危険性が低くなります。結果、曲げ降伏する梁の塑性変形能力は高くなります。

3.設問の通りです。
耐力壁の平均せん断応力度を小さくする場合、せん断破壊が生じる可能性が減り、塑性変形能力は高くなります。

4.設問の通りです。
架構に対する耐力壁の水平力分担率βu(耐力壁の水平耐力の和をその階の保有水平耐力の値で除した値)を小さくする場合、塑性型の建物となり、構造特性係数Dsの値を小さくすることができます。

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03

1. 誤り
  柱の引張鉄筋比を大きくする=主筋を増やすということなので、曲げ耐力
  が大きくなり、せん断破壊が先行する危険が高まるため誤りです。
  柱の塑性変形能力を確保するには、せん断強度を高くして、曲げ降伏を先
  行させます。

2. 3.設問の通り
  崩壊形における柱・梁・耐力壁の部材種別は、[平均せん断応力度τu/Fc]
  の数値が小さいほど塑性変形能力が高くなります。

  *合わせて覚えましょう
  靱性[高]…FA(柱・梁)、WA(耐力壁)
  靭性[低]…FD(柱・梁)、WD(耐力壁)

4.設問の通り
  βu=耐力壁・筋交いの水平耐力/保有水平耐力
  βuが小さいということは、脆性部材である耐力壁が負担する水平力の比率
  [小]=柱・梁などの靭性部材による負担[大]ということです。すなわち靱性
  が高いものとなり、Dsを小さくすることができます。

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