一級建築士の過去問
令和元年(2019年)
学科2(環境・設備) 問30

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は2です。

1.設問の通りです。
孔あき板と剛壁との間の空気層の厚さを大きくすると低周波数域に移動し、空気層の厚さを小さくすると高周波数域に移動します。また、孔あき板の開孔率を小さくすると低周波数域に移動し、開孔率を大きくすると高周波数域に移動します。

2.設問の記述は誤りです。
各用途によって室内騒音の許容値(NC値)があります。よって、吸音処理を避けることは誤りと言えます。

3.設問の通りです。
乾式二重床は足音などの軽量衝撃音には有効ですが、重量衝撃音にはほとんど効果がありません。

4.設問の通りです。
透過損失(TL)の公式を使用します。

TL=10log₁₀(1/t)〔dB〕

透過率tに1/10を代入すると、10log₁₀(10)となります。よって設問の通りと言えます。

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02

正解は2です。

1:設問通りです。
孔あき板は、剛壁との間にある空気層を大きくすると、吸音率のピークの周波数を低くすることができます。
また、開孔率を下げることでも吸音率のピークの周波数を低くすることができます。

2:吸音設備を設けるべきであり、誤りである。施設内からの音が外部への騒音トラブルになってしまうので、吸音設備が必要とされます。

3:設問通りです。
床板とスラブとの間の空気層をバネとする共振系が形成される場合、孔あき板と同様に考えられ、低周波の衝撃音には吸音率が低くなってしまいます。

4:設問通りです。
透過損失TLは以下の通りです。

TL=10log10(1/τ)
τ:透過率

これにより、透過率を1/10することで対数計算によりTLが10大きくなります。

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03

この問題は、吸音・遮音に関する問題です。

特徴をしっかり抑えた上で、計算問題にも対応できるようにしていきましょう。

選択肢1. 孔あき板と剛壁との間に空気層を設けた吸音構造の固有周波数は、空気層の厚みを大きくすると低周波数域に移動する。

正しいです。

孔あき板と剛壁との間に空気層を設けた吸音構造において、吸音率が最大となる固有周波数は空気層を厚くすることで低くなります。

選択肢2. 駅、空港、ショッピングモール等の公共施設においては、放送音声の聞こえやすさを確保するため、一般に、吸音処理を避けることが望ましい。

誤りです。

駅、空港、ショッピングモール等の公共施設においては、館内放送の聞こえやすさに配慮し、吸音処理を設けることが望ましいです。

選択肢3. 乾式二重床を採用する場合は、床板とスラブとの間の空気層をバネとする共振系が形成されることから、低周波数域において床衝撃音の遮断性能が低下することがある。

正しいです。

乾式二重床とは、スラブ上に防振ゴム等がついている支持脚を立て、床を支える構成のことです。

よって、重量衝撃に対しては、空気層がバネとなってしまうため共振が発生し、低周波域において遮音性能が低下することがあります。

選択肢4. 壁の音響透過損失を10dB増加させるためには、壁の音響透過率を現状の1/10にする必要がある。

正しいです。

透過損失は次式で表します。

 透過損失TL = 10log10 (1 / 透過率τ) [dB]

透過損失を10[dB]あげるためには、次式の通りとなります。

透過損失TL + 10

 = 10log10(1 / 透過率τ) + 10

 = 10log10(1 / 透過率τ) + 10log1010

 = 10log10(10 / 透過率τ)

 = 10log10(1 / (1/10 × 透過率τ))

よって、透過損失を10[dB]あげるためには、透過率τを1/10にする必要があります。

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