一級建築士の過去問
令和元年(2019年)
学科4(構造) 問71
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問題
一級建築士試験 令和元年(2019年) 学科4(構造) 問71 (訂正依頼・報告はこちら)
等質で、図-1のような断面形状の部材に、図-2のように断面力として曲げモーメントMのみが作用している。この断面の降伏開始曲げモーメントをMy、全塑性モーメントをMpとするとき、M ≦ Myの場合とM = Mpの場合の中立軸の位置の組合せとして、正しいものは、次のうちどれか。ただし、中立軸の位置は断面下縁から測るものとする。
- M ≦ Myの場合:200mm M = Mpの場合:250mm
- M ≦ Myの場合:250mm M = Mpの場合:200mm
- M ≦ Myの場合:250mm M = Mpの場合:300mm
- M ≦ Myの場合:300mm M = Mpの場合:250mm
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この過去問の解説 (3件)
01
Sx=A1×y1+A2×y2=(100×300)×350+(300×100)×150=30,000×500
よって、図心y0は
y0=Sx÷(A1+A2)=30,000×500÷60,000=250㎜となります。
(M=Mpの場合)
断面の応力度は全てσyとなり、圧縮側の合力Cと引張側の合力Tが偶力となります。図の断面はフランジ、ウェブの断面積が等しく、その際中立軸は圧縮、引張の境界点となるため、中立軸の位置は図形の境界、すなわち下端より300㎜となります。
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02
・全塑性モーメント Mp...部材の全断面が降伏した状態であり、終局曲げに相当します。
・降伏曲げモーメントMy...部材の外縁部の応力度、つまり縁応力度が降伏点に達した時の曲げ応力となります。
・中立軸...断面の圧縮領域と引張領域の境界線のこと
・図心...降伏を開始するまでの曲げモーメントの中立軸
・断面1次モーメント...部材の図心を求めるために使用される
このことを踏まえ、M≦My,M=Mpの各条件を考えていきます。
<M≦My>
この場合は部材がまだ降伏を開始しておらず(許容応力度状態もしくは弾性範囲内)部材に曲げモーメントのみ作用している時の中立軸は図心となり、これを断面1次モーメントを用いて求めます。
断面一次モーメント:Sx=A×y A:断面積 y:図心距離
Sx=A1Y1+A2Y2
=(100×300)×350+(300×100)×150
=15×10⁶
よって全部材図心yoは
yo=Sx/A
=15×10⁶/6×10⁴=250mm
<M=Mp>
部材が全塑性状態になった場合、圧縮応力Cと引張応力Tは偶力(大きさが等しく並行で向きが逆の力の事)となります。
C=T=σy×bd/2 σy...降伏応力度
より各応力は面積に影響します。
設問ではフランジとウェブの面積は等しいのでC=Tとなるには、全塑性時の中立軸は各部材の境界線となります。
したがって300mmとなります。
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03
<M≦Myのとき>
許容応力度状態にあるので、中立軸は断面の重心を通ります。
図のT型断面を2つの長方形に分割して、それぞれの断面一次モーメントの合計Sを求めます。
断面一次モーメントは、図心の位置を求める際に必要です。図心は、降伏を開始するまでの曲げモーメントの中立軸です。
断面一次モーメントSとすると、
S=A×y
(A:断面積 y:対象軸から図心までの距離)
で求められます。
上部の長方形の断面一次モーメントと下部の長方形の断面一次モーメントの合計Sは、
S=(300×100)×350+(100×300)×150
です。
図心yは、y=S/A で求められることから、
y={(300×100)×350+(100×300)×150}/{(300×100)+(100×300)}=(350+150)/2=250mm
となります。
<M=Mpのとき>
全塑性モーメントとは、断面に最大の荷重がかかり、崩壊寸前の状態のことです。断面が大きいほど強くなります。
よって、M=Mpのとき、長方形に分割した上と下は同一面積なので、面積を半分にした線、つまりそれぞれの長方形の境界線が中立軸となり、300mmとなります。
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