一級建築士の過去問
令和元年(2019年)
学科4(構造) 問82

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問題

一級建築士試験 令和元年(2019年) 学科4(構造) 問82 (訂正依頼・報告はこちら)

鉄筋コンクリート構造の梁に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 最小あばら筋比は、曲げひび割れの発生に伴う急激な剛性の低下を防ぐために規定されている。
  • あばら筋の長期許容応力度は、SD295AからSD345に変更しても、大きくはならない。
  • 主筋のコンクリートに対する許容付着応力度は、下端筋より上端筋のほうが小さい。
  • 圧縮側の主筋は、長期荷重によるクリープたわみを抑制する効果がある。

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この過去問の解説 (3件)

01

1. 誤りです。

あばら筋は、せん断力に抵抗して建物に粘りを持たせるもの、ひび割れの拡がりを防ぐ、せん断補強筋です。基準法では、あばら筋を0.2%以上配筋することとしています。
曲げモーメントによって生じる引張力に抵抗するのは主筋です。

2. 正しく、記述の通りです。

SD295AからSD345に変更しても、長期許容応力度は大きくはなりません。どちらも195N/mm²となっています。

3. 正しく、記述の通りです。

梁断面で考えると、下部はコンクリートが沈んでくるので、下端筋の下部に空隙はできにくくなります。
反対に、上端筋の下部には空隙ができやすくなります。
よって、下端筋より上端筋の方が許容付着応力度は小さくなります。

4. 正しく、記述の通りです。

クリープとは、一定の持続荷重を長期間受けることによって変形する現象のことです。
圧縮応力はコンクリート及び鉄筋で負担します。
圧縮側の鉄筋量を増やすと、鉄筋で負担する圧縮力が増大します。これにより、コンクリートに生じる圧縮応力度が小さくなり、コンクリートのクリープ変形が小さくなります。つまり、クリープたわみが小さくなります。
圧縮鉄筋はクリープ対策には必要不可欠なものと言えます。

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02

正解は1です。

1:誤りです
梁のあばら筋はせん断力を負担するので梁の曲げを負担するわけではありません。
曲げ耐力を増やすには引張鉄筋比ptを上げる、鉄筋の引張鉄筋応力度ftを上げる、梁成dを上げる、等があります。

2:設問通りです
呼び名は降伏応力からきております。(JISより)
・SD295A
降伏耐力(短期強度F)=295N/mm²
長期曲げ引張強度=295/1.5=196→195N/mm²
せん断強度=195N/mm²
・SD345
降伏耐力(短期強度F)=345N/mm²
長期曲げ引張強度=345/1.5=230→215N/mm²
せん断強度=195N/mm²


3:設問通りです
付着応力、すなわち引張応力はコンクリート下端で引張応力を負担するので下端の方が大きくなります。

4:設問通りです
クリープとはコンクリート圧縮面で長期的に荷重が生じることにより変形が増大する現象です。したがって圧縮側の主筋が負担します。

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03

1.誤。計算上あばら筋を不要とする場合でも、短期的な応力の原因により、せん断ひび割れの発生を完全に防止することは困難であり、あばら筋はこれらのせん断ひび割れの拡大に伴う急激な体力低下を防ぐ役割があるため、0.2%以上のあばら筋比が定められています。

2.正。正しい記述です。

3.正。正しい記述です。

4.正。鉄筋はほとんどクリープ変形をしないので、鉄筋量を増やし、圧縮を負担することでコンクリートのクリープ変形を減らすことができます。

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