一級建築士の過去問
令和元年(2019年)
学科4(構造) 問85

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

一級建築士試験 令和元年(2019年) 学科4(構造) 問85 (訂正依頼・報告はこちら)

鉄骨構造の設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 床面の水平せん断力を伝達するために、小梁と水平ブレースによりトラス構造を形成する場合、小梁は軸方向力も受ける部材として検討する必要がある。
  • 角形鋼管を用いて柱を設計する場合、横座屈を生じるおそれがないので、許容曲げ応力度を許容引張応力度と同じ値とすることができる。
  • H形鋼を用いた梁に均等間隔で横補剛材を設置して保有耐力横補剛とする場合において、梁を建築構造用圧延鋼材SN400Bから同一断面の建築構造用圧延鋼材SN490Bに変更することにより、横補剛の数を減らすことができる。
  • 圧縮材の中間支点の横補剛材は、許容応力度設計による場合、圧縮材に作用する圧縮力の2%以上の集中力が加わるものとして設計する。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

1. 正しく、記述の通りです。

床に水平ブレースを入れると、剛床となります。水平ブレースは水平力を伝達する役割を持っているため、柱、梁からの軸力を伝達するので、小梁は軸方向力を受ける部材として検討する必要があります。

2. 正しく、記述の通りです。

鋼管は曲げを受けても、横座屈が起きないため、幅圧比の制限に従う場合、材長に関わらず曲げ許容応力度の値として、引張り許容応力度の値を用いてもよいとしています。

3. 誤りです。

横補剛材は、梁の横座屈を防止するために設けるものです。強度の高い部材は、大きな力を負担するように設計します。鋼材は強度を大きくしてもヤング係数は変わらない(部材の固さは変わらない)ので、大きな力を負担すると、大きな変形が生じます。

梁に均等間隔で横補剛材を設ける場合、梁の弱軸周りの細長比(座屈長さ/断面二次半径)λが、次の式を満たすように、必要な横補剛材を設ける必要があります。(n:補剛数)

λ≦170+20n(SN400Bなど400N/mm²級炭素鋼)
λ≦130+20n(SN490Bなど490N/mm²級炭素鋼)

よって、必要箇所はSN490Bの方が多くなります。

4. 正しく、記述の通りです。

日本建築学会による、鋼構造塑性設計指針では、大梁の横補剛力は、梁フランジの圧縮力の2%と示しています。

参考になった数13

02

正解は3です。

1:設問通りです
床をトラス構造とすると剛床仮定(床にとりつく柱、梁が一体になって動く)となり軸力(水平荷重)は柱から梁、ブレースへ伝達されるので軸力の考慮が必要です。

2:設問通りです
横座屈はH鋼のように部材に強軸、弱軸がある場合、強軸方向に曲げを受けるときに弱軸方向に部材がはらみ出してしまう現象です。
角形鋼管のように強軸、弱軸がない部材は横座屈を起こしません。
したがって横座屈による許容曲げ応力度の低減を行わなくてもよいので許容引張応力度と同じ値とすることができます。

3:誤りです
高強度の梁ほど高い応力状態で横補剛を防ぐ必要があるため、保有耐力横補剛の間隔は鋼材強度が大きくなるほど短くする必要があります(ピッチを短くする必要があります)。


4:設問通りです
柱(圧縮材)をH鋼で設計する場合に用います。

参考になった数5

03

1.正。正しい記述です。

2.正。角型鋼管は横座屈が生じないため、横座屈による許容曲げ応力度の低減がなく、幅厚比の制限に従う場合、許容曲げ応力度は、許容引張応力度と同じ値とすることができます。

3.誤。強度の高い鋼材ほど、高い応力でも横座屈を防ぐ必要があるので、横補剛間隔を短くする必要があります。よって横補剛の本数を減らしてはいけません。

4.正。正しい記述です。

参考になった数4