一級建築士の過去問
令和元年(2019年)
学科4(構造) 問92
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問題
一級建築士試験 令和元年(2019年) 学科4(構造) 問92 (訂正依頼・報告はこちら)
プレストレストコンクリート構造の設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- プレキャスト部材を継ぎ合わせて、プレストレスにより圧着接合する場合、圧着部の継目に生じるせん断力は、摩擦抵抗機構のみで伝達するように設計する。
- ポストテンション材の緊張材定着部では、コンクリートの支圧破壊を避けるために、耐圧板とコンクリート端面との接触面積が広くなるように設計する。
- ポストテンション方式によるプレストレストコンクリート構造の床版において、防錆材により被覆された緊張材を使用する場合、緊張材が配置されたシース内にグラウト材を注入しなくてもよい。
- プレストレストコンクリート部材に導入されたプレストレス力は、緊張材のリラクセーション等により、時間の経過とともに増大する。
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この過去問の解説 (3件)
01
圧着接合面では、プレストレス(緊張材によって圧力を与える)により、外力に対して断面内に引っ張り応力を生じさせないようにします。また、接合面に作用するせん断力に対して、圧着接合面の摩擦力によって抵抗させるようにします。
2. 正しく、記述の通りです。
ポストテンション方式では、定着部における鋼材の引張り力は、定着ブロックや、定着具を通して、コンクリートに伝達されます。
そのため、これらの箇所が局部荷重に対してコンクリートが安全となるように補強筋を配筋したり、支圧破壊を避けるように設計します。
設問のように、接触面積を広くなるように設計する事で、支圧破壊を防ぐことができます。
3. 正しく、記述の通りです。
グラウトとは、充填剤のことで、サビから保護する役割を持ちます。設問のように、防錆材により被覆された緊張材であれば、シース内にグラウト材の注入は不要でも問題ありません。
4. 誤りです。
リラクセーションとは、PC鋼材に引張り応力を与えて一定の長さに保ったとき、時間の経過とともにその引張り応力が減少することを言います。
これは、プレストレスの減少に大きな影響を与えます。
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02
1:設問通りです
圧着部の継目に生じるせん断力は接合面にかかる圧縮力と接合筋(PC鋼材)の引張力による摩擦力が負担します。
また鉄筋コンクリートでは、せん断力などによって打継目やひび割れに平行の力が作用したとき、それらの面を交差する鉄筋にダウエル作用(鋼材棒に鉛直方向にかかる力)が生じます。このとき、鉄筋がそのせん断に抵抗するその効果を、ダウエル効果といます。
2:設問通りです
接触面積が小さくなるとコンクリートのプレストレス時に定着具によって局部に応力が集まり破壊が起きる可能性があります。
3:設問通りです
グラウト材とは空洞、空隙を埋めるために注入する液体の総称でプレストレスコンクリート造の場合だとPC鋼材が腐食するのを防ぐためにシース内に注入します。設問のように腐食の対策が必要なければグラウト材を注入する必要はありません。
4:誤りです
コンクリートのクリープ現象(部材に長時間荷重がかかる場合に時間の経過とともに部材の変形量が大きくなる現象)やPC鋼材のリラクセーション(時間経過とともに導力した力が抜けていくこと)によってプレストレスは減少していきます。
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03
2.正。正しい記述です。
3.正。ポストテンション方式によるプレストレスコンクリート構造では、PC鋼材を通したシース管にグラウトを注入するが、防錆材により被覆されたPC鋼材を使用する場合、すでにシース管内は防錆材にて充填されているためグラウトは不要です。
4.誤。部材に導入されたプレストレスは、コンクリートのクリープやPC鋼材の応力弛緩により、時間の経過とともに減少します。
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