一級建築士の過去問
令和元年(2019年)
学科4(構造) 問93

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この過去問の解説 (3件)

01

1. 誤りです。

合成梁において、上フランジは、床スラブによって横たわみとねじりの変形が拘束されます。そのため、座屈はしないものと考えることができます。
しかし、下フランジにおいては、そのような拘束がないため、座屈の検討は必要になります。

2. 正しく、記述の通りです。

一般的に、鉄骨梁と鉄骨コンクリートスラブから成る合成梁は、両者の接合に頭付きスタッドを用いるか焼抜き栓溶接を用います。これらによって、水平せん断力を梁と柱に伝達しています。
設問の通り、頭付きスタッドの設計に用いる水平せん断力は、曲げ終局時に合成梁の各断面に作用する圧縮力と引張り力の関係から計算ができます。

3. 正しく、記述の通りです。

柱脚は、鉄骨鉄筋コンクリート造とコンクリート造の接点となるので、令66条の規定によるほか、その応力を確実にRC部材に伝達できるように、原則として、埋め込み形柱脚で設計します。
やむを得ず埋め込み形柱脚以外とする場合は、十分な耐力と靭性が確保できるようにする必要があります。

4. 正しく、記述の通りです。

終局耐力とは、部材の最大の耐力(強度)すなわち、限界の耐力(抵抗力)のことです。終局耐力は材料強度×断面積で求めることができます。

一般的な鉄骨鉄筋コンクリート造(以下SRC造)では、鉄骨(S)とコンクリート(RC)の付着強度は極めて小さいため、部材に大きなせん断力が繰り返し作用した場合、鉄骨部材と鉄筋コンクリート部材はぞれぞれが曲げとせん断に抵抗することになります。

S部材とRC部材どちらも曲げ破壊となる場合、SRC部材は曲げ破壊とみなします。
S部材とRC部材のどちらかが曲げ破壊であるとき、どちらかがせん断破壊となる場合、及びS部材とRC部材の両方がせん断破壊となる場合は、SRC部材はせん断破壊とみなします。

よって、部材の終局せん断体力は、S部分とRC部分のそれぞれの軸方向力、せん断力、曲げモーメントに対して「曲げで決まる耐力」と「せん断で決まる耐力」のどちらか小さい方の耐力を足した力が終局耐力となります。小さい方の耐力とするのは、より安全側の考え方になるためです。

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02

正解は1です。

1:誤りです。
上フランジはスタッドによってスラブにとりついており、変形を拘束されているので座屈を起こすことがなくなりますが、下フランジについては拘束は無いので規定通り座屈の検討は必要です。

2:設問通りです
合成梁に正曲げがかかる場合、床スラブと鉄骨梁の合成効果によって、頭付きスタッドに作用する設計水平せん断力Qhは以下のように求められます
Qh=min(Cc,sA×sσy)
Cc:床スラブの有効圧縮力
sA:鉄骨梁の全断面積
sσy:鉄骨梁の鋼材の降伏点(=短期許容引張応力度)
したがってスタッドに作用するせん断力は合成梁に作用するスラブの圧縮力と鉄骨梁の引張応力との関係式によって求められます。


3:設問通りです
非埋め込み柱脚はベースプレートを基礎梁天端に定着させるのに対して埋め込み柱脚は基礎天端(基礎梁天端よりさらに下部)に定着させます。
地震時(水平加力時)に引張軸力が生じる場合の非埋込み式柱脚は,大きな横滑りによる破壊が生じる可能性があるので剛性を高める目的で原則として埋め込み柱脚とします。

4:設問通りです
SRC造は言葉通り鉄骨とコンクリートが一体となったものですが付着強度は低くせん断力がかかった場合には各々の構造体がそれぞれせん断と曲げに抵抗するので耐力はそれぞれの構造体が持つ耐力の和で求められます。
また各々の構造体は終局時の曲げ破壊、せん断破壊によって採用する耐力が変わってきます。
具体的には以下のようになります。
S:曲げ破壊 RC:曲げ破壊 →SRC:曲げ破壊とみなす
S:せん断破壊 RC:曲げ破壊 →SRC:せん断破壊とみなす
S:曲げ破壊 RC:せん断破壊 →SRC:せん断破壊とみなす
S:せん断破壊 RC:せん断破壊 →SRC:せん断破壊とみなす
したがって、終局せん断耐力はそれぞれの「曲げで決まる耐力」と「せん断で決まる耐力」のいずれか小さいほうの耐力を採用します。

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03

1.誤。合成梁の床スラブに接する上フランジは局部座屈は考慮しなくて良いですが、下フランジに曲げモーメントによる圧縮力を受ける場合は、横座屈・局部座屈についての検討をする必要があります。

2.正。正しい記述です。

3.正。正しい記述です。

4.正。部材の終局せん断耐力は、鉄骨部分と鉄筋コンクリート部分それぞれの曲げによる耐力、せん断による耐力のいずれか小さいほうの耐力の和を採用します。

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