一級建築士の過去問
令和元年(2019年)
学科4(構造) 問94

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問題

一級建築士試験 令和元年(2019年) 学科4(構造) 問94 (訂正依頼・報告はこちら)

免震構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 免震構造は、一般に、上部構造の水平剛性が大きくなると、上部構造の床応答加速度も大きくなる。
  • 免震構造は、一般に、上部構造の質量及び剛性の偏在等によるねじれ変形が抑制される。
  • 免震構造に用いられる粘性ダンパーは、速度に応じた減衰力を発揮し、免震層の過大な変形を抑制する働きがある。
  • 免震構造に用いられる積層ゴムアイソレーターの水平剛性は、面圧(支持軸力を積層ゴムの水平断面積で除した値)の大きさによって変化する。

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この過去問の解説 (3件)

01

1.誤。免震構造において、上部構造の水平剛性が柔らかい場合、床応答加速度が増幅し、部材の塑性化や層間変形角が大きくなり、免震層でのエネルギー吸収能力が低下します。よって、上部構造の水平剛性が大きくなると、応答加速度は小さくなります。

2.正。上部構造の重心位置を決め、これに対して免震層の剛心を一致させることにより建物全体がねじれないようにします。

3.正。正しい記述です。

4.正。正しい記述です。

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02

正解は1です
免震構造は以下の目的で採用されます。
・上部構造への地震入力(上部構造が受ける地震動の影響)の低減
・床応答加速度(地震時に床に作用する加速度の最大値)の低減
・上部構造の層間変位(層ごとの変位量の差)の低減

1:誤りです
地震による水平力は構造物の中で一番剛性の高い(断面積の大きい)床に集まります。
その床の水平剛性が高いほど変位量は小さくなり各階の応答加速度を抑えることができます。

2:設問通りです
上部構造の質量及び剛性の偏在等によるねじれ変形は偏心率、層間変位や剛性率等に影響します。
免震構造にすることでこれらの影響を抑制することができます。

3:設問通りです
粘性ダンパーは積層ゴムアイソレータと組み合わせて免震構造に用いられます。

4:設問通りです
水平剛性はゴムの材質、形状(水平断面)に影響します。

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03

1. 誤りです。

免震構造とは、建物と基礎との間や建物の中間層に積層ゴム支承やダンパーを設け、地震時における振動エネルギーを吸収して、建物の揺れを低減する構造で、床応答加速度の低減を主な目的としています。
ゴム支承は水平方向の剛性を低減し、ダンパーは摩擦係数を小さくします。

上部構造の水平剛性が大きくなると、固有周期が大きくなり、床応答加速度や変形は小さくなります。
建物は免震層に変形を集中させることで、ゆっくりと変形します。

2. 正しく、記述の通りです。

免震構造の免震層によって、振動エネルギーが吸収されることで、上部構造の質量や剛性の偏在などによるねじれ変形は抑制されることとなります。

3. 正しく、記述の通りです。

粘性ダンパーとは、運動エネルギーを減退させるもので、粘性体を充填したケースにピストンを挿入したものです。
ピストンが移動する速度に応じた抵抗力が発生し、エネルギーを吸収します。

4. 正しく、記述の通りです。

一般的に、面圧が大きくなると鉛直剛性は上昇し、水平剛性は低下する傾向にあります。

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